「仕方なく」始めたゴミ拾いが人生を変えた
福田さんは、なぜこの活動に参加するようになったんですか?

僕は、本当に不純な動機で参加しました(笑)
初めてゴミ拾いに参加したのは高校生のときです。当時ラグビー部に所属していて、大学の推薦を受けるためにエントリーシートを提出しなければなりませんでした。
そこには「社会貢献・ボランティア活動の経験」の項目があったんですが、僕にはそんな経験がまったくなく…。
空欄のまま提出したところ、校内放送で監督に呼び出され「空欄を埋めてこい」と一言。これはまずいと思い、急いでパソコンを開いて「東京 ゴミ拾い」と検索しました。
そこで見つけたのがグリーンバード。「誰でも参加できます」と書かれていたので「高校生でも大丈夫ですか?」と恐る恐る電話してみると、たまたま当時の代表が電話に出てくれました。 「おお、来いよ!」と、まるで仲間のように迎えてくれて、その気さくさに驚きつつも「じゃあ、行ってみようかな」と参加を決めたんです。
実際に参加されてみて、どのように感じましたか?
環境団体の活動ということで、いろいろな質問をされることを想定して、僕は英単語帳に「温暖化の原因」などの環境問題に関するカンペを用意していました。 「受験のために来ました」なんて言ったら怒られるんじゃないかと、正直ビクビクしていましたね。
当日、集合場所には8人ほどの参加者がいて、自己紹介をすることに。 「環境問題について学びます!」みたいな真面目なことを言わなきゃいけないのかなと思っていたら、最初の人が「原宿で美容師をやってます。お客さん募集中です!」と一言。 他の人も「占い師です」「音楽やっています」と、思ってもいなかった自己紹介ばかりで、本当に驚きました。
そして、いざゴミ拾いが始まると、みんなでおしゃべりしながら進んでいくのがすごく楽しくて。ゴミ拾い=真面目で堅い活動、というイメージが一気に覆されました。

※当時の福田さん
帰宅後、母に「今日どうだった?」と聞かれて「美容師さんや占い師さんと仲良くなったよ!」と答えたら「いや、あんたゴミ拾いに行ったんじゃないの?」と言われました(笑)。 でも、僕にとってはゴミを拾ったこと以上に、普段出会えないような人たちと話せたことがすごく楽しかったんです。
この「予想外の出会い」が、僕が活動を続ける理由になりました。そして、今度は自分がその予想外の出会いを提供する側になりたいと思うようになったんです。 もし、グリーンバードが「真面目な人たちが集まって、環境問題について熱く語り合う団体」だったら、たぶん僕はここにいなかったと思います。
社会貢献やボランティアって、それくらいカジュアルでいいんじゃないかと思うんです。それを、もっと同世代にも広げていきたい。それが、今の僕の一番の思いですね。
3代目の理事長として独自の活動のテーマはありますか

僕の代で初めて、NPO(非営利組織)を本業とし、社会貢献を仕事にすることにチャレンジしました。
とはいえ、以前は珍しかった企業のCSR活動も、時代とともに当たり前になりつつあります。 すでに自社で環境活動を行っている企業も多い中で、どうすればより多くの企業に協力してもらえるのか?グリーンバードを通じてゴミ拾いをする価値をどう提供できるのか? これは大きな課題でした。
そのために、創業当初の理念を大切にしながらも、ゴミ拾いだけにとどまらない新しいアプローチに挑戦しています。 15年以上ゴミ拾いを続けてきましたが、ポイ捨てはなくなりません。 「ポイ捨てのない社会」を本当に実現するためには、ゴミ拾い以外の方法でも人々とつながり、より多くの人に環境問題を意識してもらうことが必要だと考えています。
独自のユニークなアプローチについて、過去の具体的な取組みがあれば教えてください
1つは、原宿にタピオカ容器の形の「タピオカ専用ゴミ箱」を作ったことですかね。
2018年のタピオカブームの際、街中にタピオカ容器のゴミが溢れ返って、もうきりがないと思うほどに毎日毎日そのゴミを拾っていました。
そこで「ゴミを捨てるな」と言うのではなく、どうすれば当事者が前向きに協力してくれるかを考えました。 その結果、自然とそこに捨てたくなるような仕組みとして、タピオカ容器のデザインに合わせた専用ゴミ箱を作ることにしたんです。

※タピオカ専用のゴミ箱
こうした、気軽に楽しみながら参加できる取り組みを、日本でももっと増やしていきたいと考えています。
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