東京・原宿で2002年にスタートした、ゴミ拾いを行うNPO法人 green bird(グリーンバード)。現在、その活動は国内にとどまらず海外にも広がり、年間およそ3万人もの人が参加しています。
なぜ「ゴミ拾い」にこれほど多くの人が集まるのか? その背景には、ただゴミを拾うだけでなく、人と街をつなぎ、新しい価値を生み出すユニークな仕組みがありました。
今回は、グリーンバードの活動内容やその目的について、3代目理事長・福田圭祐さんにお話を伺いました。
“ゴミ拾い”のイメージを「おしゃれで楽しくカッコイイ」へ

グリーンバードの事業内容を教えてください
僕達はポイ捨てのない社会の実現のために、ゴミ拾い活動を行う団体です。北海道から沖縄まで日本各地、パリやシドニーなど海外にも広がり、約70チームで活動しています。
2002年、原宿で「自分たちの住む町をきれいにしよう」と思い立ったことがきっかけで、以来ずっと「ポイ捨てのない社会」を目指し、ゴミ拾いを続けてきました。 2018年頃からはゴミ拾いだけにとどまらず、さまざまなアプローチにも取り組んでいます。
例えば、ラグビーワールドカップでは、ゴミを拾うのではなく、ゴミ袋を配ることで観客のマナー向上を促す活動を行いました。また、ポイ捨てをしない子どもたちを増やすために、夏休みの自由研究と環境問題を組み合わせた教育プログラムも実施しています。
「ポイ捨てのない社会」の実現に向けて、多方面からアプローチし、日々活動を続けています。
ゴミ拾いの活動はどのように行われているのですか?

今では国内だけでなく海外にも拠点があり、年間の参加者は約3万人にのぼります。各チームごとに活動の曜日や時間、場所を決め、毎月できる限り継続して取り組んでいるのが基本的な流れです。
会員制ではないため「いつ来なければならない」といった義務やルールもありません。 掃除用具もすべてこちらで用意するので、特別な準備は不要。手ぶらでふらっと参加して、また気が向いたときに来てもらえれば大丈夫、という気軽なスタンスです。
実際の参加者も「朝の散歩ついでに来ました」「仕事前にちょっとだけ寄りました」など、自分のペースで参加される方が多いですね。
グリーンバードが他と違うのはどんなところですか?

「いわゆる環境団体っぽくない」ことが、グリーンバードの特徴だと思っています。
よくあるゴミ拾い活動だと「下を向いて一生懸命ゴミを拾いましょう」「汗をかいて何個拾いましょう」といった雰囲気になりがちですが、僕たちはそうではありません。
ゴミ拾いをしながら、街の景色を楽しんだり、参加者同士で会話をしたりすることも大切にしています。
参加してくれている人たちも「社会貢献しよう!」という意識よりは「なんかちょっといいことしてみよう」くらいの感覚で来てくれる方が多いですね。 ゴミ拾いだけを目的にすると、どうしても負担に感じてしまうこともありますが、僕たちは「街がきれいになったら嬉しいし、いろんな人と話せたらもっと楽しいよね」というスタンスです。
だからこそ、誰でも気軽に参加できて、みんな楽しんでくれているんだと思います。
なぜ目立つ服装で活動するのでしょうか?

一番の理由は、ゴミ拾いのイメージを変えたかったからです。
どうしても「ゴミ拾い=かっこ悪くて地味」というネガティブな印象がありますよね。でも、せっかくやるならおしゃれでかっこよくしたいと思ったんです。
例えば、サッカーや野球の選手が着るビブスをゴミ拾いでも着たら、おしゃれじゃない? そんな感覚でした。
もう一つの理由は、目立つこと。20年前に活動を始めたころは「ゴミ拾いをしている人がいるなんて珍しい」と、良い意味で注目されていたと思います。 ゴミ拾いをしている姿が目に入れば、ポイ捨てをやめる人が増えるのではないかと考え、目立つこと・知ってもらうことも目的の一つでした。
でも、今はそれが当たり前の光景になってきています。 ゴミ拾いをしている人が珍しいのではなく「なんか楽しそうにやってるな」と思われるようになってきた。 そんなふうに、ゴミ拾いが日常に溶け込んできたことが、時代の変化を象徴しているように感じます。
この活動の目指すところを教えてください

僕たちの最終的なゴールは、ただゴミを拾い続けることではなく「ポイ捨てそのものがなくなる社会」をつくることです。
ただゴミを拾うだけではなく、ポイ捨てをしない人を増やすための教育活動やイベントなど、さまざまなアプローチをしています。 例えば、子どもたちに環境問題を身近に感じてもらう授業を行ったり、企業と協力してサステナブルな取り組みを推進したり。 ゴミ拾いという行動だけでなく、意識や価値観を変えていくことも大切だと考えています。
僕たちの活動が、誰かの小さな気づきにつながり、それがまた次の誰かへと広がっていく。 そうやってポジティブな連鎖が生まれ、いつか「ポイ捨てをしないのが当たり前」の社会になることを願っています。
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