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未来を育てる学校 ─ リンデンホールスクールの環境教育

未来を育てる学校 ─ リンデンホールスクールの環境教育

福岡県筑紫野市にあるリンデンホールスクール中高学部は、国際バカロレア(IB)認定の私立一貫校。

 

英語イマージョン教育に加え、環境教育にも力を入れています。持続可能な社会を意識したカリキュラムを展開し、自然と共生する意識を育む授業やプロジェクトを実施。国際的な視野と探究心を持ち、環境問題に主体的に取り組める次世代リーダーの育成を目指しています。

 

今回は、リンデンホールスクールのみなさまに環境の取り組みについてお話を伺いました。

 

 

リンデンホールスクール中高学部|都築 明寿香 校長

リンデンホールスクール中高学部|都築 明寿香 校長

プロフィール

「個性の伸展による人生練磨」を建学の精神とし、国内外に学校や教育関連施設等を約40校運営してきた都築学園グループの副総長であり、学校法人都築育英学園理事長。 2007年に都築育英学園が運営する日本経済大学学長に就任、2010年にはリンデンホールスクール中高学部を開校。

 

都築学園グループの敷地内のイングリッシュガーデンが、小学生〜高校生の生物多様性・SDGs学習授業に活用され、自然と触れ合う機会の提供を通じて、 市民の環境保全意識の向上に貢献していることから2022年度の環境省「みどりの日」自然環境功労者環境大臣賞、2023年度福岡県の「環境保全功労者知事表彰」を受賞。

 

校長を務めるリンデンホールスクール中高学部は、「環境特例校」(文部科学省教育課程特例校)に指定されており、自分達が環境の一部であることを理解し、 そのために自らができることを考え、実行する力を育むことを目指している。

リンデンホールスクールの学校の特徴を教えてください

リンデンホールスクール中高学部

 

本校は「英語イマージョン教育」と「環境の特例校」という2つの軸を特徴としています。

 

英語教育は、国語以外のほぼ全ての授業を英語で行う「英語イマージョン教育」を採用しています。 校内では日常的に英語が飛び交い、まるで海外にいるような学習環境が広がっています。 高校では国際バカロレアプログラム(※)を導入しており、多くの生徒が海外にある大学への進学を目指しています。

 

環境教育にも力を入れており、「環境科」の授業では、地球規模の気候変動、エネルギー問題、食料問題など、様々な視点から環境について学びます。 座学だけではなく実際に土に触れたり、ビーチクリーン活動をしたり、環境問題を生徒自身に関わる問題として捉えられるような工夫をしています。

 

このような工夫からか、環境問題への関心が高い生徒が多く、大学へ進学しても環境に関連する分野を専攻するケースが増えていますね。 本校は、この「英語イマージョン教育」と「環境科」をカリキュラムの中に設置している学校として、文部科学省教育課程特例校に指定されています。

 

(※)国際バカロレア・ディプロマ・プログラム(IBDP)とは
スイスの国際バカロレア機構(IBO)が提供する16歳~19歳対象の国際的な大学入学資格プログラム。 世界140以上の国と地域で導入されており、批判的思考力、探究心、多文化理解を重視した教育が特徴。 プログラム修了後、国際的に認められたディプロマ(資格)が授与され、世界の大学入学に活用できる。

「英語」と「環境」の教育が、生徒の将来にどのような影響を与えると考えますか?

リンデンホールスクール中高学部|都築 明寿香 校長

 

「私たちが生徒に特に伝えたいのは、環境問題を「グローバルな視点で捉える」ことです。 気候変動や海洋プラスチックごみ問題など、環境の課題は一つの地域だけの問題ではなく、世界とつながっています。 そのため、まずは自分の身近な環境を理解しつつ、視野を広げて世界の動きを知ることが大切です。

 

また、英語は単なる言語ではなく、情報を発信し、共有し、解決策を考えるためのツールです。 特にグローバルな課題に取り組むうえで、英語を活用することは重要だと考えています。 生徒たちには、英語を使いながら世界とつながり、環境問題に対して主体的に行動する力を身につけてほしいと思っています。

環境教育は何年生から始まり、どのように学びが深まっていくのですか?

芋掘りをする商学部の生徒の様子|リンデンホールスクール

 

本校には小学校もあり、小学校時代から環境教育に触れてきた生徒が、中高でもその学びを深めたいと考えるケースが多く見られます。 実際に在校生の約7割が内部進学者であり、小学校1年生から田植えやコンポスト作りなど、身近な体験を通じて環境を学びます。

 

中高になると、学びの場はさらに広がり、ビーチクリーン活動への参加や、国際レベルの環境リサーチに挑戦し、英語と日本語で成果を発表する機会も増えます。 高い意識を持った生徒の中には、自主的に大学の研究者と連携し、リサーチを進めるケースもあります。

 

このように、小学校で育まれた環境意識の「土壌」が中高でさらに深まり「開花」していくイメージです。 環境への関心を持つ生徒が、小中高大と一貫して学びを深め、将来的に社会へ貢献できる力を養うことを、本校では大切にしています。

環境教育の場では、どのような取り組みが必要だと思いますか?

 

環境問題を考えるうえで大切なのは「なぜ?」と問い続けることです。ただ与えられた情報を受け入れるのではなく、自分で考え、行動に移すことが重要だと考えています。

 

自ら考え、行動する人が増えれば、環境問題の解決にもつながります。 日本は自然が豊かな国であり、その美しさを守りたいという感覚は、多くの人にとって身近なものではないでしょうか。 だからこそ、環境を大切にする意識を育み、自立して行動できる人が増えることが理想だと思います。

 

そのために、授業では単に答えを出すのではなく「なぜそう考えるのか?」と問いかけることを大切にしています。 無意識に思っていることでも、改めて言葉にすることで深く考えるきっかけになります。 こうした「思考の練習」を重ねることで、自分の意見を持ち、主体的に行動できる力を育てていきたいと考えています。

リンデンホールスクールは、日本初の通年におけるオーガニック給食を実践しているとのこと。「食育」について、学校としての具体的な取り組みを教えてください。

給食の様子|リンデンホールスクール

 

普通の給食だと「献立を考えてから食材を買う」という流れが一般的ですが、本校は逆。 「旬の食材に合わせて献立を作る」方式なんです。地元の農家さんと毎月採れる野菜についての打ち合わせをした上で、 栄養士さんが「じゃあこんなメニューにしよう!」と考えてくれます。これによって、食品ロスの削減やフードマイレージの低減にもつながっています。

 

さらに、生徒たちは実際に農家さんのところへ足を運び、取材や農業体験を通して「食材はどうやって育てられているのか?」「自然農法はどんな工夫があるのか?」といったことを学んでいます。 例えば、土の中の微生物がどんな役割をしてるのか、化学肥料を使わない農業ってどうやるのか、などを調べて、食と環境のつながりについて理解を深めています。

 

こうした取り組みを通じて、給食を単なる「ごはんの時間」にとどめず、持続可能な社会を学ぶ「食育」の場として活用しています。

給食に関しての保護者や生徒からの反応はどうですか?

給食の様子|リンデンホールスクール

 

ありがたいことに「おいしい!」ととても好評です。保護者の方や生徒からは「風邪をひきにくくなった」「花粉症の症状が楽になった」といった声もいただいています。 健康面でも良い変化を感じている方が多く、食事の大切さを実感してもらえていると感じます。

 

栄養管理も徹底しており、管理栄養士が毎日の献立ごとに栄養価やカロリーをしっかり計算しています。 また、味にも徹底してこだわっていて、料理長はレストランやホテルでの経験が豊富な元シェフです。 生徒達の健康と食育を考えて「うまみ」を育てる和食中心の献立となっており、自家製の「甘酒」や「漬物」を作り発酵食品を積極的に取り入れてくれています。

今後リンデンホールスクールをどのようにしていきたいですか?

リンデンホールスクール中高学部|都築 明寿香 校長

 

環境教育と英語教育は、これからも大切な柱としてしっかり継続していきたいと考えています。 また、より多くの人が環境問題に関心を持てるよう、生徒たちの学びを学校の中だけに留めず、外の世界にも広げていきたいです。

 

生徒たちには「自分たちの未来は自分たちでつくる」という意識を持ってもらいたいと思っています。 そのために、私たちも教育を通してサポートしていきます。彼らが30年後、50年後の地球の未来をどうしたいのかを考え、 それを実現するために大人たちも巻き込みながら、具体的な行動を起こせるような力を育んでいきたいと思っています。

 

【次ページ】:環境科学担当|Lisa Grimm(グリム リサ)先生

 

Profile

都築 明寿香 校長

「個性の伸展による人生練磨」を建学の精神とし、国内外に学校や教育関連施設等を約40校運営してきた都築学園グループの副総長であり、学校法人都築育英学園理事長。2007年に都築育英学園が運営する日本経済大学学長に就任、2010年にはリンデンホールスクール中高学部を開校。

 

都築学園グループの敷地内のイングリッシュガーデンが、小学生〜高校生の生物多様性・SDGs学習授業に活用され、自然と触れ合う機会の提供を通じて、市民の環境保全意識の向上に貢献していることから2022年度の環境省「みどりの日」自然環境功労者環境大臣賞、2023年度福岡県の「環境保全功労者知事表彰」を受賞。

 

 

校長を務めるリンデンホールスクール中高学部は、「環境特例校」(文部科学省教育課程特例校)に指定されており、自分達が環境の一部であることを理解し、そのために自らができることを考え、実行する力を育むことを目指している。

 

 

国際バカロレア認定校 リンデンホールスクール中高学部 | 都築学園グループ

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