ダイナリー図書館では、これからの地球のために、自分ごととして環境問題に取り組むキッカケとなれるよう、カンキョーダイナリー(環境>)おすすめの本や映画などをご紹介していきます。
山は巨大なポンプだ!
健康な森ってどんな森?
私たち人間が健康に暮らすために、澄んだ空気と綺麗な水は欠かせません。
都市部で暮らす人間こそ、心と身体の癒しを求めて山や森へ足を運びます。
そんな私たちを受け入れてくれる森であっても、澄んだ空気と綺麗な水を必要としています。
本書では、利便性を求めて繁栄してきた人間の生活が森に与える影響を解説。これから、どのように森の健康を守り、その恩恵を受ける我々の人間の安全を守るのかを図解を交えて分かりやすく紹介されています。
森にも潤いが必要。
良い土が、良い森を育てます。
健康な森が育つ土とは、通気性、浸透性、貯水性に優れていて、雨として降り注いだ水分を根から吸い上げ、その水分は高い木々から蒸散され地表に生息する植物や菌類、動物の営みに役立っています。そしてまた、地中に吸収され湧水となって地表に流れ出る仕組みになっています。
つまり、森はポンプの役割をしていて、水分を循環させることで健康な森を作るだけでなく、自然災害を防ぎ人間の安全な生活にも大きく役立っています。
私たちが健康に暮らすためには、健康な森を育むことが必要だということです。
木を使うことは悪いことじゃない!
木は収穫するもの!
建築資材や紙などの原料となる木は、40年から50年をかけて成木となります。
後に原料として収穫するために植林された木を、収穫期を迎え主伐をしているのに「森林伐採だ!」と言われてしまう…。これは、事実と異なりとても悲しいことです。
健康な土を育てるためには、健康に根を張った木を育てる必要があります。
そのためには、適切に育て、適切に間伐し、適切に収穫して、適切に使い、適切に植樹することが大切です。また、二酸化炭素をたくさん吸収する健康な若い木を育てることで、地球温暖化の解決にもつながるのをご存知ですか?
ポイントは「適切」という点です。
林業を営む森のプロが、適切な処置を行うことができるより良い環境整備が必要です。
森林の放置は花粉症も促進する?
日本各地には、戦後国策として植えられたスギやヒノキが老木となり放置されています。
これは、安い輸入材の台頭により国産材の需要が減ったためとも言われ、林業の衰退にともない不健康な森がとても増えています。
また、老木となったスギやヒノキは、光合成による二酸化炭素の吸収量が減るだけでなく、若木に比べ多くの花粉を放出しているのはあまり知られていません。
日本国内に広がる花粉症患者のためにも、適切な木の収穫は必須と言えます。
【目次】
・プロローグ 始まりは、土石流についての小学生の質問から
・chapter 1 土中環境の基礎知識と山・川・里・海のつながり
・Chapter 2 現地レポート&再生プロジェクト
・chapter 3 土中に働きかける10のアクション
【著者紹介】
著者 高田宏臣(タカダヒロオミ)
NPO法人地球守代表理事。株式会社高田造園設計事務所代表。 一般社団法人環境土木研究所代表理事。
1969年 千葉県生まれ。東京農工大学農学部林学科卒業。1997年 独立して高田造園事務所を開設。2003〜2005年 日本庭園研究会幹事。2007年 (株)高田造園設計事務所設立。2016年〜2019年 NPO法人ダーチャサポート理事。2016年〜 NPO法人地球守代表理事。
2022年5月 一般社団法人環境土木研究所設立 代表理事。国内外での造園・土木設計施工ののち、今は環境再生施工及び指導。土中環境の健全化、水と空気の健全な循環の視点から、住宅地、里山、奥山、保安林等の環境改善と再生の手法を提案、指導。大地の通気浸透性に配慮した伝統的な暮らしの知恵や土木造作の意義を広めている。行政や民間団体からの依頼で、環境調査、再生計画の提案、講座開催、および技術指導にあたる。
主な著書に『土中環境』(建築資料研究社)『これからの雑木の庭』(主婦の友社)、共著に地球守の自然読本シリーズ、他。
【商品詳細】
出版社:PARCO出版
発売日:2022/8/8
言語:日本語
単行本:160ページ
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