環境にやさしい車(EV/水素自動車)って?
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電気自動車とEVシフト
そろそろ車検の時期なんだけど、子どもたちの送迎で使うから車はまだ手放せそうもないわ。「EVシフト」といって、ガソリン車からEVへと変えていく動きが世界であるのよね。日本では今どれくらいの人が電気自動車に乗っているのかしら。
2023年時点では、新車販売台数のうちEV(普通車)が占める割合は約1.7%なんだよ。軽自動車のEVも合わせると、約2.3%のシェアなんだ。日本政府は2035年までに電動車の比率を100%とする目標を定めていて、補助金を出したり、自動車税を減税したりして普及を推進しているよ。
ここでママに質問!「電気自動車」ってどんな自動車のことを言うでしょうか?!
えーっと……「電気自動車」っていうくらいだから、ガソリンや軽油を使わずに、電気で動く車のこと…で合ってる?
正解!EVというのは「Electric Vehicle」の略で、バッテリーに蓄えられた電気を使って、モーターを動かして走る車のことを言うんだ。
実はEVといっても、100%電気で走る車だけではないんだよ。EVの種類について説明するね。
\CO2排出量が多い乗り物は?/
電気自動車(EV)の種類
①BEV(バッテリー式電気自動車)
BEV(バッテリー式電気自動車)は「Battery Electric Vehicle」の略で、大型のバッテリーを搭載していて、エンジンはない車のことだよ。
つまり、100%電気で動く自動車のことよね。一般的に「電気自動車」といってイメージするのは、このBEVのことを指すのね。
車種は少ないけど、「軽BEV」と呼ばれる軽自動車のBEVの販売台数が伸びているんだ。実は軽自動車全体の新車販売台数のうち、軽BEVのシェアは約3.5%と、普通車のBEVのシェアを上回っているよ。
狭い道や駐車場は軽自動車だと便利だもんね。子どもたちが大きくなったら、軽BEVを検討してみたいわね。
②HEV・HV(ハイブリッド自動車)
HEV(ハイブリッド自動車)は「Hybrid Electric Vehicle」の略で、エンジンとモーターどちらも搭載している車のことだよ。ガソリン・電気どちらも使って走っていて、エンジンで走行しながら充電するから、外部電源を使って充電する必要がないんだ。ガソリン車を含めた日本国内のシェアはHEVが約55%だよ。
そういえば今乗っている車は「ハイブリッド自動車」だって、買った時に説明を受けたような気がするわ!ガソリンは入れているけど、確かに充電はしたことがないわね。エンジンで走りながら充電するっていう仕組みだったのね。
HEVの仕組みはメーカーによっても違うんだよ。動力をモーターに伝える方法によって、大きく3つに分類されるんだ。
- シリーズハイブリッド方式:エンジンで発電し、その発電した電力を使ってモーターを駆動。エンジンは発電・モーターは走行用になっており、車軸とエンジンは機械的につながっていない。
- パラレルハイブリッド方式:車軸にエンジンとモーターいずれも接続されている。エンジンの力、モーターの力のどちらか、もしくは両方の力を使って走行が可能。走行状況によって、エンジンとモーターの駆動配分を変化することもできる。
- シリーズ・パラレルハイブリッド方式:シリーズ式・パラレル式両方の機能を備える。発電用モーターも備えるため、2モーター式と呼ばれることもある。シリーズとパラレルを切り替えるために動力分割装置を使うものを、スプリット方式と呼ぶこともある。
ハイブリッド自動車にも色々あるのね。うちの車はどれなのかしら。後で買った時の資料をみてみようかな。
③PHEV・PHV(プラグインハイブリッド自動車)
PHEV(プラグインハイブリッド自動車)は「Plug-in Hybrid Electric Vehicle」の略だよ。電気でモーターを動かして走るけど、充電が切れた場合はエンジンを使って走ることもできるんだ。充電する時にプラグを挿すことから、「プラグインハイブリッド」と呼ばれているんだよ。
「プラグインハイブリッド」の言葉はよく聞くわね!BEVとHEVのいいとこ取りした車ってことね。充電が切れて動けなくなることがないのは、遠出する時には安心ね。
さっきHEVのシェアを教えたけど、次に多いのがPHEVで、約1.9%、BEVが約1.6%と、実はHEVが最も普及しているんだ。
よく考えたらうちの車がHEVだったように、よく知らずに乗っている人も多いのかもしれないわね。
④FCEV・FCV(燃料電池自動車)
FCEV(燃料電池自動車)は「Fuel Cell Electric Vehicle」の略だよ。水素と酸素の化学反応で電気を作って、その電気でモーターを動かして走る車のことだよ。排出されるのは、水のみなんだ。
燃料電池で発電しているってことは、充電がいらないのかしら?
その通りだよ!ただ、ガソリン車同様、水素ステーションで水素の補給が必要なんだ。燃料電池バスが導入される自治体が少しずつ増えていて、都内ではもう既に100台以上のFCバスが導入されているんだ。
ここまでに紹介したEV4種類を表にまとめてみたから、見てみてね!
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普及に向けての課題や水素自動車との違い
①普及に向けての課題
「EVのシェアは約1.7%」って教えてもらった通り、日本での普及率は高くない気がするわ。ガソリン車の販売を禁止するような国もあるのに、本当に2035年までに広まるのかしら。
そうだね。普及に向けての課題は色々とあるんだ。理由としてまず挙げられるのは、車両価格が高いことだよ。リチウムイオンバッテリーの製造コストが高くて、大容量なバッテリーが必要なEVはどうしても価格が高くなってしまうんだよ。
車って結構大きな買い物だから、少しでも安く済むならその方が良いのが現実よね。国や自治体の補助金を使って「ガソリン車よりちょっと高い」程度に抑えられるなら、検討の余地はあるかもしれないわね。
あとは充電設備の問題があるよ。充電スポットが増えてきているとはいえ、ガソリンスタンドと比べるとまだ少ないのが現状なんだ。政府は2030年に30万基の設置を目指して、各地のコンビニや道の駅、高速道路のSA・PAなどを中心に設置を増やしているよ。
うちは長距離運転することもあるし、行き先に充電設備が見当たらない場合はかなり不安よね…。充電時間が長いって話も聞いたことがあるし、特に遠出する時は事前の計画が大切そうね。
あと、発電する時に化石燃料を使っている場合、CO2削減の効果が減ってしまうというのも課題なんだ。環境への配慮を徹底したい場合、自宅の電気を再生可能エネルギー100%の電気に切り替える等、車を買い換えるだけの問題じゃなくなってくるよね。
充電スポットが再エネ100%の電気を使っているかどうかも分からないし、難しい問題ね。せっかく走行時のCO2排出が減らせるのに、発電時にCO2が多く排出されているのは残念だわ。
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②FCEVと水素自動車の違い
日本では化石燃料からの脱却を目指して様々な研究がされているんだけど、実は自動車分野でもEVではなく、水素を燃料としてエンジンで走る「水素自動車」の開発が進んでいるんだよ。
水素自動車?!FCEV(燃料電池自動車)とはまた違う種類なのかしら?
水素自動車はエンジンを搭載していて、ガソリンではなく、水素を燃料として走る車のことだよ。
さっき紹介したFCEVは水素と酸素を使って作った電気で走るけど、水素自動車はガソリン車と仕組みが一緒で、燃料だけを変えたものなんだ。
なるほどね。確かに電気にこだわらなくても、自動車から排出されるCO2が削減できれば良いんだから、水素に切り替える、という手段があってもいいわね。
あと、EV車はモーターで走行音がないのはメリットなんだけど、車好きな人は「エンジン音」や「車の振動」で運転時の迫力を好む場合も多いんだ。水素エンジン自動車で一般向けの車はまだ少ないのが現状だけど、自動車メーカーで共同開発が進められたりと、今注目されている分野なんだ。
日本全体が「水素社会」を推進しているものね。水素自動車は次の車検で乗り換えるには間に合わないけど、ニュースで聞くことがあったら注目してみるわね!
やっぱり次の車はPHEV車がいいかなぁ。どんな車が我が家にぴったりなのか、少し考えてみようっと。
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キーワードのまとめ
- 「電気自動車(EV)」とは、モーターを搭載し電気で走る車のこと。
- EVには、100%電気で走る「BEV」、モーターとエンジンを併用して走る「HEV・HV」、充電が切れた時にエンジンでも走れる「PHEV・PHV」、水素と酸素の化学反応を使って発電した電気で走る「FCEV・FCV」の4種類ある。
- 現在EVのシェアは約1.7%程度。普及に向けてはまだ課題も多くある。また、ガソリンではなく水素エンジンで走る自動車も注目されており、「水素社会」に向けて今後の開発が期待される。
(参考)
一般社団法人 日本自動車販売協会連合会| 「燃料別登録台数」
一般社団法人 次世代自動車振興センター| 「クリーンエネルギー自動車とは?」
経済産業省| 「充電インフラ整備促進に関する検討会 事務局資料」(2023年6月)
環境省| 「水素ってどんなエネルギー?」
Tokyo水素ナビ| 「燃料電池バスの導入」
森本雅之 監修| 『電気自動車のしくみ』 ナツメ社(2024年6月)
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