今回は、カンキョーダイナリー(環境>)のスタッフが、武蔵野クリーンセンターの工場見学へ!武蔵野市 環境部ごみ総合対策課 クリーンセンター係の萩原様に案内いただきながら、ごみがどのように処理されるかについて学んできました。休日に親子で行きたいおすすめスポットです。
武蔵野クリーンセンターについて
武蔵野クリーンセンターについて教えてください。
2017年4月より稼働している武蔵野クリーンセンターは、武蔵野市役所の北側にある可燃ごみ、不燃ごみ、粗大ごみ、危険・有害ごみを処理しているごみ処理施設です。毎日およそ80台分、100tのごみが集められます。
耐用年数が30〜35年と言われている中、旧施設が稼働から30年を迎えたタイミングで旧施設を稼働させながら、新施設の建設が始まりました。後ほど、詳しくご説明しますが「まちに溶け込む」をテーマにしているため、一般的なごみ処理施設や工場とは異なり、温かみのある外観が特徴です。そのため多くの方に注目いただき、メディアに取り上げられることも多いです。
\おすすめ工場見学/
まちに溶け込むクリーンセンターとは
なぜこれほどおしゃれなクリーンセンターを作ることになったんですか?
武蔵野クリーンセンターの萩原さん
市民参加で話し合ったというのが大きな決め手ですね。初代クリーンセンターの時から、市民(周辺住民)の方を中心に構成された「運営協議会」があり、クリーンセンターの監視役として、現在も担っていただいております。
武蔵野クリーンセンターとその周辺環境
この二代目のクリーンセンターの整備についても、周辺住宅の方を中心に市民参加で行っています。専門家だけではなく、市民の方を含めた検討委員会で決めました。
その市民参加の検討委員会の中で「まちに溶け込む次世代型市民施設」というテーマと4つのコンセプトが決定しました。
①環境の保全に配慮した安全・安心な施設づくり
②景観及び建築デザインに配慮した施設づくり
③災害に強い施設づくり
④開かれた施設づくり
このメインテーマと4つのコンセプトを受け、デザイン監修を担当した武蔵野大学の水谷先生を中心に美術館や博物館のような外観の新クリーンセンター計画が進行しました。
なぜこのメインテーマとコンセプトになったんですか?
ごみ処理施設は、世間的には迷惑施設なんです。皆さんの家のすぐ近くにごみ処理施設があっても、あまりいいとは思わないですよね。それを歓迎施設に変えていきたかったんです。だから「まちに溶け込む次世代型市民施設」というテーマと4つのコンセプトに決まりました。
それぞれのコンセプトに対しては、こんな取り組みを行いました。
①環境の保全に配慮した安全・安心な施設づくり
・全国トップレベルの排ガス自主規制数値
・高効率のごみ発電
②景観及び建築デザインに配慮した施設づくり<
・地上3階建てのコンパクトで凹凸の少ない建物
・雑木林をイメージした景観づくり
③災害に強い施設づくり
・災害時エネルギー供給拠点としての機能
・大地震にも強い耐震設計
④開かれた施設づくり
・フロアを1周するだけでわかる見学通路
・自由見学可能な施設
・イベントの開催(年10回ほど)
また、エリア整備をする際には「市民に親しまれ、環境に優しいまちづくり」のために、できるだけ既存の樹木を保存して緑の充実を図ったり、市民の方が住みやすいように歩道の整備も行いました。
デザインのこだわりポイントを教えてください。
デザインに関しては、3つのデザイン方針があります。
\ごみ清掃芸人滝沢さんのインタビュー/
環境に優しいクリーンセンター
樹木を保存するなど環境配慮をしているとのことでしたが、他にも環境に配慮しているポイントはありますか?
その日の発電状況がわかるモニター
はい、環境性に優れたごみ処理施設となるためごみ発電と太陽光発電による、再生可能エネルギーの導入をしています。
ガスコジェネレーションの説明
また、エネルギー供給施設として機能できる設備も備え付けており、周辺公共施設へ安定的にエネルギーを供給するために電力自営線の敷設、災害時にも供給できるガスコージェネレーション設備の導入をしています。
こういった地域全体でエネルギーを融通するプロジェクトを「エネルギー地産地消プロジェクト」と呼んでいます。食べ物の地産地消と言葉の意味は一緒で、自分達で作り上げたものを自分達の地域で使っていこうというものですね。これにより、地域全体のCO2排出量の削減につながります。
各施設の電力状況が見れるモニター
また、公共施設は夜間のエネルギー使用量が急激に減少し、昼夜のエネルギーバランスが崩れて不均衡を起こします。そこで、蓄電池の設置、自己託送制度の活用、公共施設の省エネ改修等、さまざまな取り組みを通じて昼夜のエネルギー需給のギャップの平準化を行い、CO2排出削減とエネルギーの地産地消の向上を図る地産地消プロジェクトがスタートしました。このプロジェクトにより、約2,300t以上のCO2が削減されています。
以前のごみ処理場も環境啓発施設「むさしのエコreゾート」として活用していますよね。
旧ごみ処理場をリノベーションしたむさしのエコreゾート
はい、これも市民参加で決めました。環境への配慮から、リノベーションしてごみをはじめ、さまざまな環境について一緒に考え、学び合い、行動、活動するための施設を作ることになりました。旧クリーンセンターは建設までに多くの議論があったため、その歴史を継承したいという想いもあり、このような形で残すことになりました。
むさしのエコreゾートの1階
1階の「フリースペース」と「ものづくり工房」は、旧プラットホームの雰囲気を残しています。市民の方々が、環境問題に触れ合えるワークショップやイベントを実施しているスペースです。
市民同士のおちゃわんリユースコーナー
環境関連の本が並ぶコーナー
\カンキョーダイナリーおすすめの本/
今後、環境のために取り組みたいことはありますか?
地産地消エネルギーのさらなる効率的、効果的な利用について検討していきたいです。
あとは、先ほど紹介したエコreゾートとクリーンセンターの共同イベントもやっていきたいです。やはり多くの方にこちらへ来ていただき、知ってもらえるきっかけを増やしていきたいです。
読者の方へのメッセージ
新たな気づきや学びを得る場に
ぜひ気軽に、武蔵野クリーンセンターとむさしのエコreゾートへお越しください。イベント開催時はもちろん、普段もお散歩やご飯を持ち込んで食べたり、芝生で遊んだりとどなたでもご利用いただける施設となっています。たくさんの方に利用していただくことでクリーンセンターをもっと身近に感じて欲しいです。きっと違った気づきや学びが得られ、ごみの分別の意識にも繋がっていくことと思います。皆様のお越しを心よりお待ちしています。
\おすすめ工場見学/
編集後記
スタッフが子どもの頃に見学したごみ処理場は、ごみの独特な匂いが今でも忘れられないような施設でした。今回の訪問ではゴミとの距離が近いプラットホームに行ってもあまり匂いがせず、スタッフ全員が驚きました。もちろん技術の進化もありますが「まちに溶け込む」ための工夫が随所に感じられました。
確かにこのような市民が行きたくなるようなごみ処理場があると、日頃のごみの捨て方にも配慮が生まれますよね。ぜひ皆さんも武蔵野クリーンセンターやお近くのごみ処理場を見学して、新たな発見をしてみてください。