地球にやさしく暮らしたいけど、どうしたらいいかわからない。
そんな皆さんのお悩みにエシカル先生が分かりやすくお答えします。
#7は「海岸侵食」についてです。
質問| 海岸侵食って何?どうして海岸がなくなるの? |
❑ 解説
ご質問ありがとうございます。
海岸の砂浜がなくなっているなんて、あまり想像がつかないですよね。でも実は、昭和53年から平成4年頃までの約15年間における砂浜面積(海岸線位置の変化による国土の消失面積)の減少速度は160ha/年と言われています。もしこの状況が30年間続いた場合には、6,000haある東京都 三宅島と同面積の砂浜が消えるとされています。
では、どうして海岸の砂浜が波にさらわれてしまうのでしょうか。海岸の侵食は、海岸での土砂収支バランスが崩れることで発生し、その発生要因は様々な要因が複合的に作用していると言われています。その要因例としてあげられているのが、ダム建設の影響などから供給土砂量が減少していることや、気候変動に伴う海面水位の上昇、また海岸への車輌乗り入れによる植物帯の分断なども原因と考えられています。
私たちがイメージする綺麗な砂浜の海を守ることは、台風等による想定浸水地域の被害軽減効果やウミガメの産卵地の保護にも繋がります。まずは、この「海岸侵食」という問題を理解し、問題を解決するためにできることを探してみましょう。
海岸侵食から守るための対策
日本では国でもテトラポットを設置するなど様々な取り組みを行っていますが、今回はカンキョーダイナリーを運営する大昭和紙工産業が支援している海洋保全団体の特定非営利活動法人サンクチュアリエヌピーオーさんが取り組んでいる海岸侵食対策をご紹介します。
サンクチュアリエヌピーオーさんが活動する静岡県浜松市の遠州灘海岸でも、1980年代後半からオフロード車が砂浜を走るようになり、砂浜の荒廃が急速に進みました。さらに、近年の大型台風の多発や、砂浜の形成維持に欠かせない海浜植物の減少によって、その浸食のスピードはますます加速しているそうです。
土のう袋で保護
海の波から砂浜を守るために麻袋や紙製の米袋の中に砂浜を入れた土のう袋を設置しています。積み上げた土のう袋は、海の波で徐々に砂が重なり、さらに中に詰めていた砂浜が出てくることによって、本来の広い砂浜に蘇ります。
また、紙製の土のう袋は少しずつ分解されて自然に還っていくので自然にも優しく安心!引き続き環境にやさしい紙製の土のうを普及できるように、今後も定期観察、製品改良を進めていきます。
紙製米袋を活用した土のう袋
海浜植物も大活躍
海浜植物 ハマボウフ
シーズンによっては、先ほどの土のう袋の中に海浜植物のタネも一緒に入れていきます。これにより、風や波で土のう袋が破れ、海浜植物の根が地を張り、さらに目を出し花を咲かせます。海浜植物は波に負けないよう根を張り巡らせるため、自然の力によって波に負けない強い砂浜に生まれ変わっていきます!
\インタビュー記事はこちら/
(参考1)国土交通省「【参考資料】砂浜保全に関する中間とりまとめ(令和元年6月20日)」
(参考2)Slow Surf Style「海岸侵食とは?原因・影響・対策を解説」