地球にやさしく暮らしたいけど、どうしたらいいかわからない。
そんな皆さんのお悩みにエシカル先生が分かりやすくお答えします。
#5は「紙ごみのリサイクル」についてです。
質問| 紙ごみをリサイクルしなかった場合、どれくらいの資源が無駄になるの?わかりやすいものに置き換えて、教えてください。 |
❑ 解説
ご質問ありがとうございます。
紙のリサイクルをすることで、いったいどのくらいの資源を有効活用できているか気になりますよね。今回は少しでもイメージをしてもらいやすいように、私の住んでいる静岡県富士市のデータに当てはめてご説明しましょう。
富士市では令和3年に年間1,397,910kgの紙ごみを回収しています。もしこの紙ごみを回収できなかったとしたら、人口の約70.5%が年間に使用するトイレットペーパーを製造するために必要な古紙量が確保できない計算になるんです。(2023年4月現在人口約24.8万人が1人当たり年間48個使用した場合)
これは、あくまでも富士市が回収した分のみなので民間事業者が回収している分は含まれていません。さらに日本全体で見ると、1,790万t(令和4年)の紙ごみが回収されていて、回収率は79.5%にまで上ります。これは他国と比較してもトップレベルなんですよ。
令和3年度に富士市が実施した燃えるごみの組成分析調査によると、燃えるごみに混入していた古紙の割合は6.41%だそうです。家庭でもSDGsに貢献できるアクションとして、さらに分別に取り組み、紙資源を有効活用しましょう。
(協力)富士市廃棄物対策課
(参考)公益財団法人 古紙再生促進センター「数字で見る古紙再生」
紙ごみのリサイクルに関する3つの疑問
Q1. 紙ごみは何になるの?
ティッシュペーパー、トイレットペーパー、段ボール、新聞紙、お菓子の箱に生まれ変わります。
Q2. どうして紙ごみは細かく分別しなければいけないの?
紙にはグレードがあって、グレードによって生まれ変わるものが変わります。だから、分別はとても大切なんです。
紙パックやオフィスペーパーは良質古紙としてティッシュペーパーやトイレットペーパーに生まれ変わり、少し質の落ちる段ボールは段ボールに、新聞紙は主に新聞紙に、そして雑誌は段ボールやお菓子の箱に生まれ変わります。
Q3. 紙をリサイクルした時のメリットとデメリットは?
❑ メリット
01.省資源・省エネルギー
新しい紙を作るより、少ない水やエネルギーで紙を作ることができる。
02.温室効果ガスの排出を削減
新しい紙を作るより、製紙工程で発生する温室効果ガスの排出量が削減できる。
03.森林保全
新しい紙を作るために必要な木材を減らすことができるので、資源を守れる。また、生態系への影響も少なくできる。
04.廃棄物の削減
リサイクルに回すことで廃棄物の量を減らすことができる。ごみを処理するには多くのエネルギーが必要なので、エネルギーの削減にもつながる。
❑ デメリット
01.質の低下
新しい紙と比べると質が低くなる。インクなどの汚染物質を取り除く作業もあるが、食品に触れるといった一部の用途には適さないことがある。
02.コスト
新しい紙を作るよりも多くの労力が必要なため、製品の価格が高くなることがある。