地球にやさしく暮らしたいけど、どうしたらいいかわからない。
そんな皆さんのお悩みにエシカル先生が分かりやすくお答えします。
#3は「紙は森林破壊の原因?」についてです。
質問| 授業で紙は環境に優しいって習ったけど、森林破壊につながらないの? |
❑ 解説
ご質問ありがとうございます。
紙は、木材資源を使っているので、森林伐採につながるイメージを持つ方も多いですよね。でも、決して森林資源を無駄にしているわけでなく、むしろ循環利用をしているんです。例えば、建材などに使用されずに余った木材は紙の原料のパルプとして有効活用することができます。
一方、日本では戦後に人工林として多くの木が植樹され、収穫期を迎える樹々が全国で70%を超えていると言われており、問題になってることも事実です。
さらに、森林は適切な管理をされないままだと、土砂災害が起こる可能性があって、とても危険です。また、成熟した老木は成長速度が落ち活発な光合成はしなくなるため、CO2の吸収量よりもCO2の放出量が多くなるとも言われています。地球に優しい健全な森林を守り続けるためには、間伐や伐採が必要。そして、その木材を有効活用できるのが紙ということなんです。
でも、だからといって紙を無駄遣いしてもいいというわけではありません。サステナブルな素材とはいえ、紙を作るためにもエネルギーは必要です。決して無駄遣いはせず、使用後の紙はリサイクルしていきましょう。
森林資源を守るためには
1. 現状を知ろう
国連の報告によると、2015年以降毎年失われる天然林の面積は、約10万平方キロメートルとされており、これは東京都と同じくらいの大きさの森が1週間ごとに失われ続けているということになります。
それにより大きな被害を受けているのが、野生動物です。森林をすみかとする世界の野生生物のうち、絶滅の危機が高いとされる種の数は、1万4,000種以上にものぼると言われています。また、共生の関係や食物連鎖でつながっている森以外の環境にすむ野生生物もいるため、さらに多くの命の危機にも繋がるとされています。
また、人間への影響も忘れてはいけません。森は木材や薬の原料、農作物の原種など世界中の人たちの暮らしに欠かせない恵みをもたらしてくれます。森林破壊は、森に頼って生きている人たちの生活を奪い、人権をおびやかす深刻な問題です。
2. 環境省や企業の取り組みを知ろう
日本では、国等の公的機関が率先して環境への負荷ができるだけ少ないものを選んで購入することを定めたグリーン購入法(国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(平成12年法律第100号))を施行しています。グリーン購入法では、違法伐採対策として、木材・木材製品については「合法性」「持続可能性」が証明されたものとする措置が導入されています。
また健全な森を守るためには、森の管理も非常に重要です。収穫期を迎えた木の伐採や植樹、全ての木に栄養が行き届くように木を間引く間伐といった取り組みがあります。このような森林を適切に管理することの重要性を広める活動や、間伐材を活用した製品開発を行っているのが、森林保全団体more treesです。
カンキョーダイナリーを運営する大昭和紙工産業も、more treesの日本の森を育む活動に賛同し、協賛をしています。また、岐阜県にあるmore treesの森の木材を使った原紙more treesペーパーの開発やその紙を使って作った紙袋 more trees paper bagの提供もしています。
\動画でもっとわかりやすく/
3. 私たちにできることを探そう
環境に配慮した製品を選んで買うことは、みなさんにも簡単にできる健全な森を守るための取り組みです。紙パッケージの裏面を見ると、環境への想いやパッケージに使用している紙へのこだわりがマークになって示されているかもしれないので、ぜひチェックしてみてください。
また、環境保全団体への寄付やリサイクル、CO2の削減といった取り組みもオススメです。今は、家庭で使う電力を担う電力会社にも環境に配慮した電気料金プランがもあったりするので、そういったものに変更するのも一つの方法です。まずは無理せず、あなたにできることから一つずつ挑戦してみるのがいいかもしれませんね。
\カンキョーダイナリーの植樹活動レポート/
\紙資源を分別する理由を解説/
\森林を守るための税金って?/
(参考1)林野庁ホームページ「よくある質問」
(参考2)WWFジャパン「今日、森林破壊を止めるためにできること」
(参考3)環境省「国際的な森林保全対策」