カンキョーダイナリー(環境>)を運営する大昭和紙工産業株式会社は、環境問題解決カンパニーとして舵を切り始めました。「陸」「海」「空」全方位的に環境配慮をするという取り組みの一つとして、長野県に「カンキョーダイナリーの森」を設置。今回は、実際に長野森林組合さんにお手伝いいただきながら植樹活動を行ってきた様子をお届けします。
長野県に誕生!カンキョーダイナリーの森
2022年に新設されたカンキョーダイナリーの森は、長野県信濃町、ナウマンゾウの化石が出土したことで知られる野尻湖に程近い、標高1,875mの霊仙寺山の麓にあります。長野駅から植栽地までは車で1時間弱。植樹現場近くにある、お土産や食事、景色を楽しむことができる「道の駅しなの」で森林組合さんと合流し、作業へ向かいます。
▲道の駅しなの
樹齢60年を超える収穫期を迎えたカラマツ林の一角に、長野森林組合さんが整備してくださった植樹地があります。初めての植樹体験を実施した2022年は、ほとんど梅雨を感じることのないまま猛暑に突入し、当日も35℃を超える炎天下での植樹活動となりました。地球温暖化による異常気象を肌で感じながら、小さな一歩でもできることから何とかしなければ!という使命感に駆られます。
毎年、初年度に植えた苗木の様子も確認することができます。まだまだ「木」と呼ぶには幼いですが、しっかりと成長しているようで一安心。
▲2022年に植えたカラマツの木 (2023.06.09 撮影)
紙の原料にもなるカラマツを植える
植樹体験で植えるのはカラマツの苗木。
成木となり収穫された針葉樹のカラマツは、主に建築資材として生まれ変わります。カラマツに含まれる樹液や木の特性から、合板として使用されるため最近では需要が高まっているとのこと。特に私たちは紙加工メーカーという立場から、植樹をするなら紙の原料となるパルプの元にもなる針葉樹と決めていました。
森林組合が解説!カラマツの需要の変化について
日本の林業では、世界的なウッドショックの影響により合板を中心に国産材回帰が進んでいます。これまでカラマツはスギやヒノキよりも使いにくい「残念な木」と言われていたそうですが、近年は合板に向いた強度の高い木として需要が伸びているとのこと。しかしながら建材や土木用途だけでなく、バイオマス発電用途や薪需要も伸びているようで、カラマツの供給は不足気味だそうです。
苗木が主伐を行えるようになるまでには約60年の年月がかかります。苗木から植えられたカラマツは、その間様々な自然災害を乗り越えなければなりません。また、例え困難を乗り越えたとしても、植えた木によっては、世界情勢の変化によって価値が下がってしまうこともあるんだとか...。林業の難しさが分かるお話でした。
木と人にやさしい技術革新!
今回植樹したカラマツの苗木は、コンテナ苗といわれるもの。
カラマツのコンテナ苗は、苗木の出荷時に根切りをしないため、根を痛めないだけでなく、初期成長に優れ、植樹後の根の張りが良く活着率が良いのが特徴。地球温暖化による異常気象で、年々被害が大きくなる台風により、根元から倒れる大樹が見受けられますが、この苗が育てばこのリスクの解消も期待できるとのこと。
何より最大のメリットは、従来に比べて植樹作業が格段にラクという点!
①植え付け専用器具を使って、苗木にジャストサイズの穴を掘る。②その穴に苗木をセット。③地面を少し踏み固め、苗木と地面の活着を良くして、軽く表面を慣らせば完了です。
植えた苗木は「我が子のように見守って」
林業は、担い手が足りないことや、代替わり等で登記が曖昧になり山林の管理者を把握できていない地域が多いことなど、様々な問題を抱えています。そんな問題を解決しながら、森林の循環をつくることは簡単なことではありません。森林と環境の文脈ではどうしても植樹だけに目を向けがちですが、植えて終わりという訳にはいかないのが現実。むしろ、植えた後の草刈りや間伐などの作業の方が重労働だと言います。
植えた苗木を「我が子のように見守って、時々見に来てもらいたい」という森林組合の職員さんの言葉には、人と森林資源の関係を長い目で考えてほしい、という想いが込められているように感じました。
植樹で地球に還元したい
2023年の植樹体験ではカンキョーダイナリーの森に植樹したカラマツの苗木は全部で50本。
カラマツは40年程度で収穫期を迎えます。その成木になるまでの過程で吸収するCO2の量は、カラマツ1本あたり250kgと言われています。
▲植えたばかりの苗木
つまり、この植樹で見込まれるCO2の削減量は、なんと12.5トン。
私たち大昭和紙工産業は紙加工メーカーとして、エネルギー削減に日々努めています。でも、生産活動を行う上でCO2排出をゼロにすることはできません。製造メーカーとして、地球で暮らす人間としての責任を少しでも果たすべく、私たちは毎年カンキョーダイナリーの森に植樹をすることで、地球に還元していきたいと考えています。
ひとことメモ|木の年輪について
木の年輪をよく見ると、中心の方は幅が広く、外側に行くにつれて幅が狭くなっているのが分かります。これは、成長のスピードがだんだん遅くなるから。数十年経った木は、成長が遅くなり二酸化炭素の吸収量も少なくなっていることが、木の年輪から見えてきます。
なお、カンキョーダイナリーでご購入いただいた売上の一部が、この植樹活動に役立てられます。環境に配慮された商品を購入いただき、国内の元気な森林を増やしてCO2削減を促進させましょう。また、私たちの取り組みにご賛同いただいた取引先様には、紙袋や紙箱の製造時に発生するCO2を植樹によりオフセットし、実質排出量をゼロにした製品のご提供も行っています。是非とも各企業様のSDGsの取り組みの一つとしてご利用ください。
ビニール袋からマーク入りの紙袋にリニューアル!
長野県森林組合さんも以前はビニール袋を使っていたそうですが、環境への配慮から紙袋に変更。木目のように見えるストライプがおしゃれなデザインです。
紙袋の側面には、もちろん「木を植えるマーク」が。紙袋の底にマークを入れる場合が多いですが、「持った時に見えるように」というこだわりで、側面にマークを付けたそうです!
各年の植樹活動を見る!
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