今回は、カンキョーダイナリー(環境>)のスタッフが、武蔵野クリーンセンターの工場見学へ!武蔵野市 環境部ごみ総合対策課 クリーンセンター係の萩原様にご案内いただきながら、ごみがどのように処理されるかについて学んできました。休日に親子で行きたいおすすめスポットです。
まるで美術館のようなごみ処理場
クリーンセンターへ到着
武蔵野市役所前でバスを降り、市役所の南側にあるおしゃれな建物。まるで美術館のような外観ですが、実はここが武蔵野クリーンセンター。2017年4月より稼働している、もうすぐ6周年を迎えるごみ処理施設です。
今日はこちらの工場見学を武蔵野市 環境部ごみ総合対策課 クリーンセンター係の萩原様にご案内いただきながら見学していきたいと思います。ちなみに一般の方向けの工場見学は、午前10時〜午後5時まで予約不要で自由に見学が可能です。
おしゃれな外観
やはりまず目に止まるのがおしゃれな外観。ブラウンをベースとした7色のテラコッタルーバーが使われています。テラコッタとは素焼きという意味で、クリーンセンターの外壁に使われているルーバーは、全て素焼きです。そのため温かみのある、クリーンセンターとは思えないおしゃれさを感じられます。
テラコッタルーバーが施された煙突
煙突にも同様のテラコッタルーバーが使われていました。このルーバーは、木よりも高くならないよう工夫したりと、こだわりが詰まっています。また、煙突の外筒は前の工場からのものを再利用しているそうです。
武蔵野クリーンセンターのテラコッタルーバー
さっそく見学通路へ
天井に多摩産の木材を使った見学通路
中は、白基調の自然光がたくさん降り注ぐ暖かい雰囲気。見学通路の天井には、多摩産の木材を使用していたり、天井にはリサイクルガラスを使ったペンダントライトが。
ガラスを再生利用したペンダントライト
クリーンセンターを建築する際に伐採しなければならなかった木は、ベンチへと生まれ変わっていたりと、各所に資源を大切にしているこだわりが詰まっていました。
伐採した木を活用したベンチ
まずは中央制御室
中央制御室の様子
24時間運転の武蔵野クリーンセンターでは、コンピューターで自動制御をしています。そのシステムを管理しているのが、この中央制御室。常に3人の従業員がいます。中には、クレーン操作スペースもあり、ごみをクレーンで持ち上げていました。クレーンは、とても大きく迫力があって見応えあり!
左奥の窓からクレーンを操作している様子
\ごみ清掃芸人滝沢さんのインタビュー/
ごみはどうやって処理されるの?
ごみを集める
可燃ごみピット投入口
武蔵野クリーンセンターには、毎日およそ80台分、100tのごみが集められます。ごみを集めるプラットホームは地下にあり、入り口には高速シートシャッターとエアカーテンがあるので、外に匂いを出さない仕組み作りがされています。
ヘルメットを被って、特別にプラットホームを見学
今回は、特別にプラットホーム内を見学させていただきましたが、ごみの匂いはほとんどしませんでした。まずは、可燃ごみの処理の仕方からご紹介。
5階建てのビルが入る大きさの可燃ごみピット
家庭や事業所から回収された可燃ごみは、収集車にてクリーンセンターの地下にあるプラットホームへ運ばれ、5階建てのビルが入る大きさの可燃ごみピットへ投入。ピットには、約6日分のごみが貯められるそうです。
ごみを混ぜる
クレーンでごみをかき混ぜる様子
ピットに溜めているごみは、大きな爪を持つごみクレーンバケットでゴミをつかんでは離すを繰り返し、偏りがないように混ぜていきます。思ったよりも高いところからごみを落とすので、ゴミの中身も意外と見えます。大人も思わず見入ってしまうおもしろさがあり、子供も楽しめること間違いなしです。
いよいよ焼却
焼却炉の様子
焼却炉は、ストーカという階段状の床になっていて、床が前後に動くことでゴミが押し出される仕組みとなっています。ゆっくり進みながら850°以上の高温で2〜3時間かけて完全燃焼させます。ゴミの水分をとる乾燥帯、ゴミを完全に燃焼させる燃焼帯、完全燃焼した灰を送り出す後燃焼帯という3つの燃焼段階を経て、排ガスと灰となります。排ガスと灰の行方は、次のページで詳しく紹介します。
不燃ごみと粗大ごみは?
粗大ごみの分解をしている様子
不燃ごみと粗大ごみは、不燃粗大ごみピットへ集めます。マットレスや家具などの大型のものは、作業員の方が手で分解してから、ピットへ運んでいました。
その後は、クレーンでごみをつかみ、コンベアに乗せ、低速の1次破砕機でゆっくり砕き、高速の2次破砕機でバラバラにしていきます。磁石で鉄やアルミなど資源になるものを選別し、残りの木屑や廃プラスチックを可燃ごみピットへ運んでいきます。
\笑いあり!涙あり!ごみ清掃員の物語/
排ガスと灰はどこへいくの?
排ガスの行方
蒸気が出ている煙突
ごみを燃やすと出る高温の排ガスは、ボイラ内のファンを通る水を沸騰させ、蒸気を作ることで冷やされます。その後、フィルターを通り、有害物質が取り除かれた後に煙突から排出されます。これらの排ガス処理装置は、中央制御室にあるコンピューターにより制御され、全国トップレベルの排ガス自主規制数値をクリアしています。実は、煙突から出ているものは綺麗な蒸気なんです。
蒸気タービン発電機の仕組み
また、ボイラで作られた蒸気は、蒸気タービン発電機へと運ばれ、タービン内にある金属の羽根車を高圧蒸気の力で回転させて発電していきます。毎分8000回転、蒸気は400度にまで達します。
ここで作られた電気は、クリーンセンターだけでなく、市役所や総合体育館など周辺公共施設でも使われています。また、蒸気タービン発電機の途中から取り出した蒸気は、市役所と総合体育館の空調、温水プールの熱源に利用されています。
灰の行方
灰選別室の様子
焼却炉から出た灰は、灰選別設備で細かく砕いて、金属などを取り除き、粉のような灰にします。この灰をトラックで日の出町にある二ツ塚最終処分場まで運んでいきます。
エコセメントで作った人形
これまでは埋め立てていましたが、近年は日の出町に施設を建設し、エコセメントにして有効活用されています。エコセメントで作られたブロックやベンチは、歩道や公園で使われているそうです。
\エコセメントってなに?/
工場見学のまとめ
ごみの分別が、地球に優しい身近な行動
ごみがどのように処理されているかわかりましたか?武蔵野市では、最新鋭の技術により、エネルギーや資源を無駄にしない方法でごみを処理しています。しかし、技術力ではカバーできない部分もあります。それが、分別です。
皆さんは、お住まいの地域のごみの分別ルールを守れていますか?ルールが細かく、わかりにくい部分も多いかもしれませんが、分別ができていないとCO2排出量が増え、環境負荷が高くなってしまいます。さらには、処理するためのエネルギーも多く必要となるため、税金もその分必要となります。皆さんの税金を大切に使うためにも一人ひとりがルールを守ることが大切なんです。
また、ぜひ見ていただきたい動画がこちら。
職員の方が周知啓発のために、手作りした動画です。武蔵野市では、リチウムイオン電池は危険・有害ごみで出すルールになっています。もし、燃やさないごみで出してしまうと、どこかの処理の工程で発煙、発火の恐れがあります。武蔵野クリーンセンターでも過去7回、消防を呼ばなければならない火災事故が発生しており、とても危険なものです。
燃えたリチウムイオン電池
ごみの分別は、環境配慮・税金の有効活用・危険な発煙発火を防ぐために大切なことです。ぜひ、武蔵野クリーンセンターやお住まいの地域のごみ処理施設を訪れて、私たちが出しているごみがどんな人たちによって、どのように処理されているかを学んでみましょう。
アクセス
武蔵野クリーンセンター
株式会社むさしのEサービス(運営事業者)
〒180-0012 東京都武蔵野市緑町3丁目1番5号
TEL:0422-38-5516
開館時間:午前10時から午後5時まで
休館日:火曜日、祝日(月曜日が祝日の場合は開館、その週の水曜日休館)、年末年始
交通アクセス情報は武蔵野クリーンセンターホームページから
環境活動探訪記シリーズ