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【海洋汚染の原因と現状】農工大プラごみ減らし隊の“私たちにできること”

【海洋汚染の原因と現状】農工大プラごみ減らし隊の“私たちにできること”

世界的な問題となっているプラスチックごみによる海洋汚染は、海がない場所でも無関係ではありません。プラスチックを使う全ての人が、できることから取り組んでいく必要があります。

 

東京農工大学では、海洋プラスチック汚染に立ち向かうために「農工大プラスチック削減5Rキャンパス」と「農工大プラごみ減らし隊」が発足しています。大学・学生・企業・近隣住民が一体となってプラスチックごみを減らすためにどのような取り組みが行われているのか。

 

プラごみ減らし隊に所属する3名の学生(左から、木村さん、横川さん、村井さん)と、顧問の小瀬亮太准教授にお話を伺いました!

海洋汚染とは

海洋プラスチック問題とはどのような問題なのでしょうか?

木村さん|
地球全体で毎年約800万トンのプラスチックが海に流出しているという問題です。ウミガメがマスクを食べたというような最近のニュースで、多くの人が認識するようになったと思っています。私が映像を見て衝撃的だったのは「海鳥がプラスチックを食べて飛べなくなってそのまま亡くなってしまった」というものです。海沿いの街に住んでいる訳ではないので普通に暮らしていると気が付かないのですが、世界に目を向けてみると、そういうことが起こっていたことに衝撃を受けました。

 

村井さん|
問題は、プラスチックを動物が誤飲することだけではありません。プラスチックが環境中に流出することで、人間にも悪影響を及ぼすことがあります。流出したプラスチックごみは、海洋中に含まれる有害な有機化合物を吸着します。そのプラスチックをプランクトンや小魚が食べることで、吸着していた化学物質が体内に蓄積されます。さらにそのプランクトンたちを魚が食べ、その魚をより大きな魚が食べる…と段階を踏むことで、生物体内における化学物質の濃度が高くなる「生物増幅」が起こります。そのため、魚を食べる人間も悪影響を大いに受けると考えられています。このことを私は大学の授業で習いましたが、農工大の学生以外のひとにももっと知る機会があるといいなと思います。


農工大 プラごみ減らし隊 村井陽香さん

 

横川さん|
何より問題なのが、マイクロプラスチックは有害な物質(添加剤)が含まれていること。「環境ホルモン」という言葉もありますが、体内に入って良くない働きをするということが分かっている物質もあります。私もそういうことを全然知らなくて、「プラスチックという人工的なものが体に入ることが悪い」というのは分かるのですが、「どのように悪いのか」という具体的なところまでは分かっていませんでした。実際プラスチックって普段ペットボトルで飲んだりして口に触れているじゃないですか。これが悪くなるっていうのは想像がつかないんですよ。だからみんなプラスチックが悪いって思えないんじゃないかなと思います。

 

村井さん|
「理系だから難しいよね」と敬遠されてしまっていることが、多くの人が知ろうとしないことに繋がっていると思っています。分かりやすい言葉で理解しやすい媒体を作成することや、学生の間でワークショップを企画し、子供から大人まで幅広い人に伝えていく必要があると感じています。

 

木村さん|
マイクロプラスチック研究の第一人者である高田秀重先生の研究で、「ペットボトルの水を飲んでいる人は、水道の水を飲んでいる人に比べて糞便中のマイクロプラスチックが多かった」というものがあります。このような身近な「分かるかも!」という研究の発信の仕方が大事なのかなと思います。

 

\プラスチックの問題が楽しく学べる/

海洋プラスチックごみはどこから発生しているのでしょうか

木村さん|
日常生活に近いところで言うと、ごみ拾いをしていてもプラスチックごみは結構あると感じます。。煙草の中にプラスチックの成分が含まれていたり、そういう身近なところから発生しています。以前見た映画では、国によってゴミの処理が適切に行われておらず、大量に川がごみであふれてそのまま海に流れてる映像もありました。


農工大 プラごみ減らし隊 木村将成さん

国や自治体によって分別のレベルって違いますよね。

村井さん|
私は半年間、タイに留学していたのですが、タイはプラスチック大量消費国だと感じました。例えば、食事は大抵屋台で購入していたのですが、その際もプラスチック容器や袋に入れてでの提供でした。私はそれが嫌だったので、スーパーで買った容器に入れてもらっていました。プラスチックを使うことや分別の意識は国によっても異なるものなのかなと感じました。

 

また、製品になったものが流出する以外にも、例えば「レジンペレット」と呼ばれる石油から作られたプラスチック製品の原料が、船で日本に輸入する際に意図せず海洋に流出して散布されてしまっている、というのも大学の授業で知りました。

 

「レジンペレット」について
米粒ほどの大きさのレジンペレットは、㎏単位で管理されています。最近の日本では、工場からの流出には気を付けている、という話もあるようですが、トラックでの陸上輸送の際や、運び込みなどでもこぼれる可能性が指摘されています。

 

\見えないプラスチックに注目/

海洋プラスチック問題の解決には何が必要だと思いますか?

木村さん|
起きている問題を自分ごとにするという意識の変化が必要だと思います。そのためには、自分から行動してみること、特にごみ拾いなど仲間と一緒に継続しやすい活動が大事だと思っています。私はごみ拾いをすることで、環境問題を自分ごととして捉えることができるのかなと思い、プラごみ減らし隊に入りました。

 

横川さん|
プラスチック製品を減らしたり、プラスチックごみを拾ったり、そういうことをして解決できるのが一番理想なのかなって思います。

 

村井さん|
私は、徐々に輪を大きくしていくのが大事だと思っています。例えばペットボトルではなくマイボトルを持ち歩くなど、まずは自分で行動し、家族や友達に伝えていくことで輪が大きくなっていくと考えます。

 

\自分にできることを探してみよう/

<プラスチックを減らすためにおすすめのアイテムはありますか?<

村井さん|
代表的なのはペットボトルからマイボトルへの切り替えや、マイボトルやマイバックを持ち歩くことですね。


農工大 プラごみ減らし隊 の取り組み_マイボトル

 

木村さん|
今、大学の生協とコラボして紙素材のペンを作ろうという、学園祭のプロジェクトが進行中なんです。紙のペンを使うことで、少しでもプラスチック消費量が減ったり、何で紙にしたんだろう?っていうところから、プラスチック問題について関心を持つ人が増えるんじゃないかなって思います。11月開催の学園祭で、大学グッズとして販売できたらと思っています。

 

\サステナブルな日常のヒント/

東京農工大学のプラスチック問題への取り組み

「農工大プラスチック削減5Rキャンパス」と「農工大プラごみ減らし隊」はどのような活動・団体ですか?

村井さん|
私たち「農工大プラごみ減らし隊」は、今社会で起きているプラスチック問題について、楽しく脱プラを始められる情報発信するということ、プラスチックごみについて解決したいと思っている学生たちが集まって一緒にアクションしていくこと、を目的にした団体です。

 

2019年に東京農工大学が「プラスチック削減のため5Rキャンパスを行います」ということを掲げたのが始まりです。5Rとは、3RとRenewable+Researchの5つのRのこと。今まで3RとRenewableまでの4つのRに取り組んでいるところは多かったのですが、東京農工大学ならではの「研究」の分野にも取り組んでいます。


農工大 5Rキャンパスの取り組み

 

大学自体で行っている活動としては、ペットボトルゼロの自販機・給水機の設置・プラスチック削減の大学グッズがあります。大学にある自動販売機ではペットボトルを販売しているものはありません。

 

当初は大学が運営するという形をとっていましたが、もっと学生に親しみやすいようにしたいという学校側と、自分たちで動いてみたいという学生側の意見から「プラごみ減らし隊」という名前がつけられました。

 

\「プラごみ減らし隊」について/

これまでどんなことに取り組んできましたか?

村井さん|
主に以下の4つがあります。

 

①SNSの発信
プラごみ減らし隊に入っている学生自身がプラスチックを減らすために取り組んでいることを紹介しています。例えば、糠(ぬか)で洗うことで石鹸を使わずお皿をキレイにすることができるアイデアや、量り売りのお店に行ってみた、という取り組みを発信しています。


量り売りのショップ

 

②学内の交流会
「どうしたらプラスチックが問題になっていることを知ってもらえるか」を考えた時に、視覚から得る部分が大きいと考え、映画「プラスチックの海」の鑑賞会を開催しました。環境活動家の方にもお越しいただいて、一緒にディスカッションも行い、参加者からは高評価を頂きました。


鑑賞会の様子

 

③コンタクトケースの回収
昨年からコンタクトレンズ専門店にお願いして、回収ボックスを提供して頂きました。学内で回収していて、初回は1kgくらいだったのですが、去年数ヶ月集めて4kgくらいになりました。コンタクトケースは純ポリプロピレンでできていて、リサイクルしやすいことを知り、この活動を始めました。どうしてもリサイクルすると質が落ちてしまうので、ボールペンやマスクケース、蛍光ペンなどになるそうです。


コンタクトレンズの空ケースの回収ボックス

 

④ごみ拾い活動
SNSで周知して行っています。その他にも、メンバーの中には国分寺の市民の方や近くの大学の学生とゴミ広いの企画をしている学生がいます。

これまでどんなことに取り組んできましたか?

村井さん|
プラごみ減らし隊に所属しているのは20名程度です。全ての学年・学科に周知はしていますが、もっと広げていきたいと思っています。「国分寺を活発化させていこう」という想いを持った若者の団体とも繋がりがあり、前回の野川の会は東京農工大だけでなく、近くの東京経済大学やICUの学生が各3~4名ずつ集まっていました。東京農工大にいると理系に偏ってしまいがちな気がするので、他大学との交流を通して色んな視点を知れて楽しかったです。

 

木村さん|
他大学との交流だと、「プラスチック5Rキャンパス」という取り組みを大学としてやっていることが珍しいので、他大学からオンラインでヒアリングを受けるという繋がりもあります。

東京農工大学がプラスチック問題に対して取り組みを行うことになったきっかけは?

村井さん|
私たちが所属する環境資源科学科の、マイクロプラスチックを研究されている高田秀重先生が主体となって始まりました。

 

木村さん|
研究の第一人者でありながら、地元での講演や絵本などで分かりやすく伝える努力をされている先生で、日常と研究を結びつける、ということをやられています。


農工大 高田秀重教授著 プラスチックモンスターをやっつけろ プラスチックの現実と未来へのアイデア

顧問を担当されている小瀬亮太准教授はどのような研究を行っているのですか?

小瀬先生|
パルプとセルロースナノファイバーを使って環境調和性の高い材料を作ることをコンセプトに研究しています。何をもって「環境調和」とするかという定義は立場によって違うのですが、僕の研究室では「廃棄した材料が意図せず環境流出した場合に、環境負荷の小さいマテリアルを作ること」、つまり「セルロースの分子構造を変えないという制約条件下で材料を作る」ということに取り組んでいます。

 

もちろんセルロース分子を化学的に修飾すれば優れた機能を持つ材料を作れますが、あくまでもセルロースの分子構造を変えない、という範囲の中で、パルプ・セルロースナノファイバーを対象に、これから役立つであろう材料をどこまで作り出せるのかを研究しています。


農工大 小瀬亮太准教授

 

「紙だから環境負荷が無い」と言っている訳ではなく、セルロースという分子構造は自然界に昔から存在し、当然生分解性があるので、「石油から作られたプラスチック、分子構造を人間が一から作ったものに比べて」環境中に流出しても環境負荷が小さいと考えられる、ということになります。

 

\セルロースナノファイバーとは/

 

以下、私の個人の考えを説明しますね。このマイクロプラスチックの海洋汚染問題の捉え方というのは「予防の原則」に立っています。環境負荷を考える時には「リスク論」と「予防の原則」という大きく2つの立ち位置があると思っており、リスク論というのは「これだけ流出したら人体にこれだけの被害が出る可能性がありますよ」ということをエビデンスベースで議論していきます。しかし、問題が地球規模になり、時間軸がとても長くなると、科学的なエビデンスの取りようがなくなってしまいます。リスク論の限界はそこにあって、リスク論で詰めていってしまうと、長期間の問題や地球規模のスケールの大きな問題に対して、本当なら事として起きてしまったら深刻な問題を無視してしまう可能性があります。

 

 

そのため、マイクロプラスチック関係は「予防の原則」に立っています。例えば「癌の発生リスクが高まっている」というようなエビデンスがまだなくても、それが顕在化してしまった時には取り返しのつかないことになってしまうので、できる限りリスクをゼロにしていこう、というスタンスです。なので、紙と環境調和を結びつける議論というのは、そういったところを整理しながら「何でもかんでも環境に優しいですよ」というのではなく、何と比べて・どの視点で、という風に議論するのが重要なポイントかなと思います。

 

もう一歩踏み込むと、環境問題を解決した姿というのは、人間みんなが同じものを想像しているかと言われるとそうではありません。例えば「人間社会にとって影響が出ないレベルの環境汚染なら許容する」と考える人と、「他の生物に影響が出ていてもダメ」という人がいます。例えば「人間社会にとって影響が出ないレベルの環境汚染なら許容する」と考える人と、「他の生物に影響が出ていてもダメ」という人がいます。前者はまだ人間には影響が出ていないから、プラスチックを使う余地があると考えます。逆に後者にとっては、今この段階で決定的にダメージがあると考えます。環境問題を語るときには、問題の性質上解決した姿というのが人によって少しズレている、という前提で取り組んでいく必要があります。

農工大プラごみ減らし隊の取り組みから学ぶ、海洋汚染について私たちにできること

「農工大プラスチック削減5Rキャンパス」の削減策に取り組んでみて、どのようなことが見えてきましたか?

木村さん|
給水器は学生もけっこう利用していて、大半が満足しているというアンケート結果もあります。


農工大5Rキャンパスの取り組み 給水機の設置

 

村井さん|
ペットボトルゼロの自販機に関しては不満を持っている学生もいるみたいです。大学から依頼を受けて、どういう部分が不満なのかアンケートをとり、種類の問題や、容量の少なさ、値段が高い、という声があったので、今後対策していきたいです。


農工大5Rキャンパスの取り組み ペットボトルゼロ自動販売機の設置

 

木村さん|
あとは、蓋付きの容器が少ないく不便だという声よく耳にするので、学生の利便性もある程度損なわない形で、いかに脱プラができるかということが課題だと感じています。

そうなってくると飲料メーカーの方にも関わってきますよね。店舗での使い捨てプラスチックごみ廃止というのは?

木村さん|
大学生協では基本的に紙袋を使っています。紙袋自体も、大きい教科書を買った時は渡されますが、渡さないのがデフォルトとなっています。

持ち帰った紙袋ってどうしていますか?

村井さん|
ストックしておいて、本のカバーにしたりしてます。

 

横川さん|
大学生協の紙袋は結構頑丈で、普通の手提げバッグみたいに使い倒してます。

 

\紙袋をもっと活用したい/

学生への啓発については?

村井さん|
プラスチックについて話し合うイベントを開催しても参加してくれる学生は少数だと思います。なので、映画鑑賞会を開催する、ランチ会を開く、などより参加しやすい雰囲気作りを心がけています。また、ゴミ拾い活動に積極的に参加してくれる学生もいるので、体験を通した企画が大切だと感じています。プラごみ減らし隊とは別に「ごみダイエットNOKO」という団体も大学内に存在し、そう言った団体の学生にも参加してもらうことで、、プラごみを拾っている流れで、交流の機会にもしています。

 

横川さん|
ごみ拾いしながら喋るのが楽しいんですよね。これがこの活動の醍醐味の一つかもしれません。

実際に参加してもらって、そこから輪を広げるということですね。ごみ拾いで友達になるって面白いなと思いました。

村井さん|
ごみ拾いも今、いろんな楽しみ方があるんです。プロギングってご存知ですか? そういう要素もどんどん入れていけば、楽しみ方が増えていくなと考えています。

 

\プロギングとは/

学業の面では何を専攻しているんですか?

農工大 プラごみ減らし隊の3人

 

木村さん|
地域生態システム学科に所属しています。地域からグローバルな問題について考える学科で、私は森林について学ぼうと思い、森林科学プログラムを履修しています。木材や竹のライフサイクルアセスメントなど、データとしてはいろいろありますが、市民に伝わっていかない問題があります。そこに対して、しっかり科学的なエビデンスをとって、企業や市民にしっかり伝わるような研究をしたいなと思っています。

 

横川さん|
私は、環境資源科学科に所属しています。環境と資源の関係から、幅広く環境問題について学べる学科なんですが、具体的にどういう研究をしたりとか、今はまだ全然決められてないです。

 

村井さん|
私は、横川さんと同じ環境資源科学科に在籍しています。資源系の研究室に所属し、キノコについて研究しています。キノコの酵素や特性を調べ、解明していくことで社会に活かすことができれば良いなと考えています。他にも、小瀬先生が取り組む紙の研究をはじめ、資源系の研究室も複数あり、それぞれいろんなプロセスから最終的に環境問題や社会問題にアプローチしています。環境と資源というように名前は分かれていますが、環境問題を今ある資源でどのように解決していくかを研究する学科です。

みなさんが「農工大プラごみ減らし隊」に参加したきっかけは?

村井さん|
農工大ならではの環境で、プラスチック問題について考えてみたいと考えたことがきっかけです。私の地元は東京湾に隣接していて、川も近くにあります。犬の散歩をするときに川沿いを歩いてたら、排水溝のような場所に魚がたくさん死んでいるのを見つけました。一緒に流れ着いてるプラスチックごみを見て「綺麗だと言われている日本も汚い」と、強く感じました。そういった問題を勉強するきっかけにもなることや、周知していくこと等、今後やりたいことを考えたときに、プラごみ減らし隊であれば実現できそうだと感じたので、参加を決めました。

 

所属してる学生の1人に高田先生の研究室の先輩もいて、より詳しく研究なさっている立場から、環境問題について詳しく教えてもらうのは刺激になります。


農工大 プラごみ減らし隊 村井陽香さん

 

横川さん|
私は今2年生ですが、去年の5月頃に開催された、プラごみについて語り合う座談会がきっかけです。新入生歓迎会としてのイベントだったんですが、先輩たちの白熱した議論を目の当たりにして、ここでだったら良い刺激を受けられそうだなって思ったので入りました。

 

村井さん|
座談会は、円状の机を囲んで「どうやったらプラスチックごみを減らせるか」「何が問題なのか」といった議題に対して、10〜20分ごとにステップを踏みながらディスカッションしていきました。最後に「普段の生活でもいいし大学だからこそできることはないか」等についてみんなで話し合いました。

 

横川さん|
けっこうゆるいですよね。話しやすい雰囲気です。

 

村井さん|
人数が少ないからこそっていうのもあるかもしれないです。

 

\プラスチック問題の基礎知識/

 

木村さん|
他の学科の授業を受けられる農学基礎ゼミという授業がきっかけです。高田先生のゼミに2〜 3ヶ月ぐらい毎週1回ずつお試しで入る機会があって、そこでプラスチック問題について知りました。その授業がすごく分かりやすかったんです。研究や授業っていうと、化学物質の説明とかが続くイメージがありましたが、分かりやすく自分の身近な生活にどう影響するのか語ってくれて、自分事に感じられたので、自分も何かやってみたいと思いました。


農工大 プラごみ減らし隊 木村将成さん

 

村井さん|
農学部の学生は、高田先生の授業に必ず1回は触れる機会があります。面白いし、分かりやすいです。1回の授業でも、入口が入りやすくて、だんだんと詳しくなっていくので、学生も引き込まれていると思います。

活動に参加する前後で意識の変化はありましたか?

村井さん|
以前に比べて、自分の意見を発言しやすくなったと感じます。どこにも所属せず自分の考えを発するよりも、プラごみ減らし隊に入っていることで興味を持っている学生と巡り会いやすかったり、より深い議論ができます。また、この団体が学生だけの運営ではなくて、大学からも助けていただいていることもあり、企業さんからのお声掛けで工場見学をさせて頂いたり、包装紙のパネルディスカッションに登壇させて頂いたりなど、特別な機会を設けていただけることが多かったので、自分の成長にも繋がってると感じます。

 

横川さん|
自分の意見を言ったり、何かしたいなって思って実行することは、すごく難しいことだと思うんですけど、プラごみ減らし隊での活動を何回か繰り返していくうちに、積極的に発言したり行動するってことにあまり抵抗がなくなりました。実際に、外部のボランティアのごみ拾いにも自主的に行くようになりました。そこで新しい繋がりを作れるようになったっていうのが大きいです。自分は積極的に動ける人間じゃなかったんですけど(笑)いい人たちに感化されて、いい勉強になってます。


農工大 プラごみ減らし隊 あやのさん

 

木村さん|
楽しく脱プラができてるなって思えるようになりました。やっぱり問題として捉えてしまうと義務感でやることになると思うんですけど、コミュニティがあることによって、みんなと話せるし、環境問題に関わるような楽しい企画をみんなで考えようっていうことに繋がるんです。やりたいことと楽しいことが一致して、楽しく脱プラがみんなでできるようになったなって思います。

「農工大プラごみ減らし隊」の活動をする上で抱えている課題や難しさはありますか?

村井さん|
参加者をなかなか増やせないことです。自分たちは楽しく活動をしているのでいいのですが、現状に満足してしまうと、この代で終わってしまうこともありえます。人を集めることは大事なポイントだと思います。

 

木村さん|
ペットボトルがない自動販売機のアンケートを集計する中で、意識の違いがこんなにも目に見えてわかるんだっていうのを感じました。ペットボトル削減に関して肯定的な人もいれば、否定的な人もいて、関心のない人たちに対してどうやって発信して巻き込むかっていうところまでは、まだアプローチできてないかなって。今は関心のある側から徐々に広げていこうっていうアプローチの仕方なので、どう届けるかっていうのはすごい難しさを感じています。

今後の活動方針や目標はありますか?

木村さん|
大学周辺には普段は気にならないところにも、見落としてしまうようなごみがあることを、ごみ拾いを通して実感します。今までよりももっと情報発信をして、地域との交流や他の団体や企業とコラボすることでさらに輪を広げたいです。

 

横川さん|
プラスチックごみに関するテーマを一つ決めてディスカッションする座談会を開きたいです。普段はプラスチックごみに対する意識があっても、それを誰かに言うことってなかなかないと思うんです。座談会の場をプラごみ減らし隊が作って、みんなで意見を交換して、さらにそこから自分たちにできることを考えて、実践するところまでいけたらいいなと思っています。

 

木村さん|
新入生が入る時期なので、ちょうど今後の方針について話し合いをしていて、「知って、話して、行動する」っていうのはどうかなと考えています。まず知ることで何か思うことがあって、思ったことについて話して、実際に行動してっていうサイクルを回して行くことを今年のテーマにしたいです。


農工大 プラごみ減らし隊 木村将成さん

 

特に固定された活動はないので、一年生でも自分が興味関心のあることから話し合いをしたり、企画も自由に出せます。大学院の先輩からも企画を出してくれたりします。自由な発想の中で「知って、話して、行動する」を実践していきたいです。

読者の方へのメッセージ

村井さん|
プラごみ減らし隊の企画したイベントに参加していただいたり、一緒に企画をすることは大歓迎です。

 

木村さん|
ごみ拾いをやってるとか、お誘いいただければどこでも飛んでいきます。

カンキョーダイナリーの今後の活動でもぜひコラボできたらいいですね!

農工大プラごみ減らし隊

Profile

農工大プラごみ減らし隊

農工大プラスチック削減5Rキャンパスの活動を学生主動で推進していくための団体です。2020年2月に立ち上がり、有志の農工大生が活動中。農工大プラごみ減らし隊の活動は下記からご覧いただけます。

ウェブサイト:https://sites.google.com/st.go.tuat.ac.jp/5r-stvol
Twitter:@TUAT5Rvolunteer
Instagram:@tuat5rvolunteer
2022年2月26日(土) 、東京都環境局主催のウェビナーに「農工大プラごみ減らし隊」が参加
2022年10月13日(木)、農工大プラごみ減らし隊が「TOKYO PACK 2022」に登壇
2022年11月、「農工大プラごみ減らし隊」が使い捨てコンタクトレンズケースの回収ボックスを設置

【海洋汚染の原因と現状】農工大プラごみ減らし隊の“私たちにできること”

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