紙加工メーカー大昭和紙工産業が運営するカンキョーダイナリー(環境>)では、環境問題に関わる現場からも学びのある情報をわかりやすく発信中!
今回は運営スタッフが、磯焼けの解消や海中での酸素供給などの、海の環境保全に役立つ「コンブ」を養殖する「幸海ヒーローズ」さんの加工作業に参加してきました。 実際の体験内容や魅力をお届けいたします。
いざ!作業体験へ!
漁港へ向かうスタッフ
2024年4月11日ー
東京23区の北東部に住むスタッフは朝4時30分に起床。
自宅を出て神奈川県横浜市にある 「金沢漁港」に向かいます。
集合時間は8時。天気もよく、とても見晴らしの良い景色でカメラのシャッターを押す手が止まりません。予定時間近くになると続々と参加メンバーが集まってきました。
体験説明と海についてのお話
「サーフィンやマリンアクティビティなど海に熱中して育ってきている人でも、漁港に来る機会なんてなかなか無いと思います。海は今、 海洋プラスチックの問題や、 磯焼け、 海水温上昇など様々な環境問題に直面しています。今日は海と、海が育ててくれたコンブを実際に触って肌で体感しながら、海でどんな問題が起きているかということや、健全な海がもたらしてくれる価値を持ち帰ってもらって、今後、地球や環境問題のことを考えるきっかけにしていただければ幸いです!」
体験の説明とともに今の海に起きている問題について話をするのは、体験会を主催する 幸海ヒーローズ代表の 富本龍徳(とみもとたつのり)さん。参加メンバーもそれぞれ自己紹介。環境問題に興味がある方や、地球と触れ合いたい方など、様々な目的を持って参加されていました。
作業工程
本日行う作業の内容は大きく分けて 4工程。実際には明確に作業工程を分けるというより、臨機応変に必要箇所に作業しにいくという方法で効率よく作業が進みました。 下記の工程で、水揚げされた状態のコンブが出荷されるまでの過程を参加メンバーでお手伝いします。
加工作業開始!
水揚げされたコンブをコンテナから取り出し、ビニールシートの上にいっぱいになるまで広げます。 コンブとのファーストコンタクト!みなさん「 粘りがすごい!」「 思ったより大きくて立派ですね!」と興奮気味に会話を楽しんでいました!
コンブの束の根元には「 ガニアシ」と呼ばれる根っこがあります。1束分のコンブがここで繋がっているので1枚ずつバラけるようにガニアシからコンブの先端をカットしていきます。また、プランクトンや、藻が多く付着していることがあるので 洗浄するのもこの工程です。
コンブが1枚ずつになったらカゴに詰めていきます。1カゴで10キロ強に分けていくのが決まりです。 皆さん作業が進むうちにだんだんと目分量と感覚で重さがわかるようになってきました。 10キロ超えのカゴを何度も運ぶのでなかなか腰に負担がかかります!体験の際は気をつけてくださいね!
重さを計測!一回の計測で適量のコンブにできると「ピタリ賞だ!」と喜びの声が上がり、全体の士気も上がっていました。
袋詰めして小分けにしていきます。コンブは 空気に触れていると変色していってしまうので、なるべく空気を抜きながら密閉するのがポイント!これを段ボール箱に1つずつ梱包すれば作業完了です。
無事、出荷されていくコンブたち。
55箱分、約550kgのコンブの加工が終わりました!ここからはトラックで必要とされる場所に出荷されていきます。ここまでの作業で 約4時間!お疲れ様でした!
コンブとコンブを使った商品の試食会のご褒美も!
幸海ヒーローズさんが養殖するコンブは 短い期間で収穫されるため、厚みが生食にちょうど良く、しゃぶしゃぶで食べても美味しい!ということで加工作業のご褒美として、自分たちで処理したコンブを数枚選んで試食会を行いました!
幸海ヒーローズさんが開発に関わった「はまコンブポン酢」で味付けしていただいたコンブは「コリコリしていて美味しい!」と絶賛!水分補給には昆布を肥料にして開発された「サーキュラーティー」、別メニューとしてこちらも幸海ヒーローズさんが開発に関わる「手作り子持ちコンブ」をいただき、コンブ尽くしのお昼でした。
体験会主催 幸海ヒーローズ富本さんのメッセージ
私は今、 環境問題に関わるヒーローが不在しているなと思っていて、私自身がこの海の環境問題に直面して「これは時間を割いてでもやるべきだ」と考えたようにもっと環境問題に関わってくれる人が一人でも増えてくれたらいいなと考えています。そんな中、私がやっている活動は、海に関わる取り組みの中でも企業さんや個人の方々が第一歩として関われる ソフトコンテンツ。ですので、興味本位でも構いません。ぜひ現地に来て味わったことのない体験をして、この思い出を持ち帰ってください。それがいつか未来のヒーローが生まれるキッカケになればと思っています。
\富本さんの活動について詳しく!/
豆知識|コンブに海の環境を守る力があるの?
海中の環境問題「磯焼け」
今、日本各地の海で問題となっている「 磯焼け」。どのような現象かご存知でしょうか? カンキョーダイナリーでも取り上げている通り、地球では地球温暖化が現在進行形で進んでおり、昨年には国際連合の事務総長がさらなる地球温暖化の悪化に対して「地球沸騰化」というワードを使ったことも有名です。この地球温暖化によって 海水温が上がることにより、海の中で活発になった魚やウニが海藻を食べ尽くしてしまうことや、海藻が枯れたり溶けたりして、海底が焼け野原のようになってしまうことを「磯焼け」といいます。コンブやその他の海藻の養殖は、直接海の森を増やすことにつながるので磯焼け解消に向けての対策として、水産庁でも実施事例の1つとして挙げられています。
海の生態系が豊かに
海の生物のすみかにもなるコンブ。貝やプランクトンなどの生物が成長期に必要な すみかになることで海の生態系を守っています。また、コンブを含む藻類と呼ばれる海藻は陸にある植物と同じように光合成をして、二酸化炭素を吸収し、酸素を放出します。二酸化炭素が減少することで、コンブを含む藻類は 海洋酸性化を防ぐことにも貢献しています。また、栄養分として窒素やリンを吸収するため、 水質浄化にも一役買っています。
ブルーカーボン
コンブは二酸化炭素を吸収し、貯蔵できます。海の中の生態系によって貯蔵される炭素は「ブルーカーボン」と呼ばれ、地球温暖化対策の有効な施策として近年注目されています。ブルーカーボンに関しては陸の植物によって生まれる「グリーンカーボン」に比べて未だ未知なことが多いですが、陸の植物よりも二酸化炭素の吸収量が多いと試算されているため、今後の展開が期待されています。
\ブルーカーボンについて詳しく知る!/
カンキョーダイナリーでは、環境問題に対していま私たちができることを、「紙で環境対策」という視点で情報発信しています。カンキョーダイナリーとコラボしたい方、運営会社である紙加工メーカー大昭和紙工産業の取り組みについて興味のある方など、お気軽にお問い合わせください。
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