紙加工メーカー大昭和紙工産業が運営するカンキョーダイナリー(環境>)では、環境問題に関わる現場からも学びのある情報をわかりやすく発信中!
今回は運営スタッフが、使い終わった下着を回収して燃料にリサイクルする取り組み「ステドキッ!」を体験すべく、取り組みを運営する「株式会社HEAVEN Japan」さんのポップアップショップにお邪魔してきました。
HEAVEN Japanについて
株式会社HEAVEN Japanは、女性用下着の商品企画、製造、販売までを一貫して行う企業です。下着業界ではネット販売からはじまったSPA(製造小売)企業としては、日本で初めての会社です。下着を通じて女性が心身ともに、より豊かに過ごせるよう、ウェルビーイングの概念を軸とした「適正下着®」をコンセプトに商品の開発を行っています。「脇肉キャッチャー」「夜寄るブラ」「ハリジェンヌ」など、インパクトのあるネーミングの商品が多いのも特徴です。
HEAVEN Japanでは、SDGs12.「つくる責任 つかう責任」の取り組みとして、下着の選び方・使い方についての発信や、災害時の備え「防災下着」に関する発信活動のほか、不要な下着を回収しリサイクルする取り組み「ステドキッ!」を運営しています。
使い終わった下着を有効活用する取り組みとは
みなさまは下着の“捨てどき”ってご存じでしょうか。捨てどきがわからない、捨て方がわからない…という利用後の悩みを解決するのが、「ステドキッ!」という取り組みです。 「ステドキッ!」では、ブラの“捨てどき”について発信し、“捨てどき”のブラを無料で回収しています。回収したブラはRPFという固形燃料にリサイクルされ、発電所や工場などで石炭に替わるエネルギーとして活用されています。
元々「ブラの捨て方」について積極的に発信を行っていたそうですが、ワイヤーやホックを分別するのが面倒、そもそも肌に直接身につけるものを燃えるゴミに出すのに抵抗がある、というお声が多くあったそうです。そんなお客様のお声を受けて、不要なブラを回収する「ステドキッ!」の取り組みが誕生しました。
下着回収は大阪、東京にあるフィッティングサロンから開始しましたが、限られたお客様しか利用できないこともあり、オンラインやポップアップショップでも受付を始めました。開始2年間で、総回収量は1t超え!多くの方々から好評いただいているそうです。
オンラインではお買い物のついでに「専用回収袋」を頼めるので、袋を用意することなく、入れて送るだけでやりとりできるのが便利です。(※「ステドキッ!」送料はお客様負担)
また、フィッテイングサロンやポップアップショップでは、袋に入れて持参するだけでOKな手軽さが魅力です。今回はスタッフがポップアップショップにお邪魔して、実際に取り組みを体験してきました。
詳しい取り組み内容はこちら
取り組みに参加してみました!
ポップアップショップへスマートムーブで移動
イベント初日の午後、東京都日本橋のオフィスから有楽町マルイまで、「スマートムーブ」を意識して徒歩で向かいました。取材や通勤以外では椅子に座りっぱなしなので、軽い運動になって気持ちいい!20分ほど歩いて、有楽町マルイで開催されているポップアップショップに到着しました。
取り組みを体験
実際にスタッフの家に眠っていた“捨てどき”のブラを袋に入れて持ってきました。ホックやワイヤーなどを分別する必要はなく、洗濯して、袋に入れるだけで準備OKです。入れる袋は何でも良いそうですが、ここは環境を意識し紙袋に入れて持参しました。
▲“捨てどき”の下着を準備!
店頭でスタッフさんにお声をかけ、回収していただきました。HEAVEN Japanさんの商品だけではなく、どんなメーカーのブラでも受け付けていただけるのは嬉しいですね!
1回のポップアップショップで30件〜50件ほど回収し、毎回段ボール3箱ほどになるそうです。回収したものは袋ごと回収業者で細かく粉砕され、金属や異物を取り除いた上で、RPFという固形燃料に生まれ変わります。
▲回収してくださいました
ポップアップショップでは、「ステドキッ!」を利用すると、「ドキガチャ」を回せます。スタッフが回してみたところ、「ブラ神様」からのお告げが!「知らんけど」が大阪発の企業らしくて、思わずクスッと笑ってしまいました。裏面は商品が当たるチケットになっています。
▲「ドキガチャ」を回します
▲「ブラ神様」からのお告げが入っていました!
ポップアップショップは全国各地で開催されていますが、中には「ステドキッ!」のサービスだけ利用しに来店するお客様もいらっしゃるそう。楽しく取り組みに参加できる工夫がされているので、スタッフもまた「ステドキッ!」を利用したくなりました。
元々ゴミになる予定だったブラがリサイクルされ、燃料として有効活用してもらえるのは嬉しいですね!下着回収はオンラインやフィッテイングサロンでも行っていますが、楽しいガチャを回せるのはポップアップショップだけ。お近くにお住まいの方は、ぜひポップアップショップで「ステドキッ!」を体験してみてくださいね。
ポップアップショップについて
ポップアップショップに持参する場合、下着は洗濯し、袋に入れて持ち込んでください。(袋は何でもOKです)
下着はどんなブランドのものでもOKですが、洗濯していないもの、濡れているもの、ブラ以外のアイテムは回収ができません。
袋ごと回収するため、個人情報の記載や同梱はしないようにご注意ください。
<今回お邪魔したポップアップショップ>
開催場所:有楽町マルイ 4階 カレンダリウムD12
開催期間:2025年1月14日(火)~27日(月)
営業時間:11時~20時 ※最終日は17時最終受付 18時閉店となります。
ポップアップショップは全国で実施されています。みなさんの住まいのお近くで開催されたら、“捨てどき”のブラを持って参加してみてください!
ポップアップショップの実施予定はこちら
豆知識1|どれくらいの服がゴミになってしまうの?
近年では繊維・アパレル産業は石油産業に次ぐ「環境汚染産業」として挙げられており、まだ使えるのに廃棄されてしまう「衣服ロス(ファッションロス)」は世界中で問題となっています。 フランスでは2022年に世界初の「衣類破棄禁止法」が施行され、企業が売れ残った新品の洋服を焼却したり、埋め立てしたりして廃棄することが禁止され話題となりました。
日本では年間約47万トンもの衣類が廃棄され、そのうち95%に当たる約44.5万トンもの衣類が焼却・埋め立て処分されています。この数値を換算すると、大型トラック約120台分を毎日焼却・埋め立てしていることになります。(2022年度調査)
今回ご紹介した下着を始め、衣類はファスナーやボタンなどパーツによって異なる素材が使われていたり、素材自体も表の生地と裏地で素材が異なったり、複数の素材が混紡されているものがあったりと、リサイクルが難しいという点も問題となっています。生地に関しては、2種類以上の混紡を分離する技術の研究も行われていますが、リサイクルにもコストがかかり、ライフサイクル全体でみた時の環境負荷についても疑問視がされています。
\衣類と環境問題について詳しく知る/
豆知識2|RPFってなに?
画像提供:株式会社HEAVEN Japan
RPFとはRefuse Paper & Plastic Fuel の略で、「紙くずと廃プラスチックの燃料」という意味です。古紙の中でもリサイクルできない「禁忌品」(ラミネート加工された紙やガムテープなどの粘着テープ)や、廃プラスチック以外に、衣類から出る繊維くずもRPFにすることができます。
RPFは廃棄物を混合して小さく固めて製造された固形燃料で、石炭の代替となる燃料として工場の熱源や発電用途などに使用されます。
RPFは、発生した過程が明らかな産業廃棄物や、選別された一般廃棄物を原料として使用しています。その為、不純物が混じりにくく、乾燥などの前処理も不要です。製造のためのエネルギー消費量が少なく、かつ品質の安定した高カロリーの燃料が作れることが利点です。
石炭と比較して低価格であるという経済的なメリットがあり、化石燃料削減によってCO2も削減され地球温暖化にも寄与します。石炭と比較して、CO2排出量を約30%も削減できるというデータもあり、注目を集めている燃料です。
\紙はどのようにリサイクルされるの?/
カンキョーダイナリーでは、環境問題に対していま私たちができることを、「紙で環境対策」という視点で情報発信しています。カンキョーダイナリーとコラボしたい方、運営会社である紙加工メーカー大昭和紙工産業の取り組みについて興味のある方など、お気軽にお問い合わせください。
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参考・引用文献
一般社団法人 日本RPF工業会|RPFとは
環境省|サステナブルファッション
環境省|ファッションと環境
経済産業省|2030年に向けた繊維産業の展望(繊維ビジョン)
国民生活センター|衣料廃棄物について考える(2021年4月)
消費者庁|事例 フランスのファッション業界の取組
環境活動探訪記シリーズ