地球にやさしく暮らしたいけど、どうしたらいいかわからない。
そんな皆さんのお悩みにエシカル先生が分かりやすくお答えします。
#6は「リサイクルできない紙」についてです。
質問| リサイクルができる紙とできない紙があるのはどうして? |
❑ 解説
ご質問ありがとうございます。
紙は木材資源でありながら、リサイクル率の高い優秀な素材。皆さんもできるだけリサイクルに貢献したいと家庭や企業で取り組んでいただいていますよね。でも、意外と多くあるのが禁忌品と呼ばれる紙。新しく靴やカバンを買ったときに緩衝材として入っている紙は、汚れてもいないし、リサイクルできる紙と見た目も大きく変わらないのにどうしてリサイクルできないのだろう、と思う人もいますよね。
リサイクルできない紙 | リサイクルできない理由 |
昇華転写紙(靴やカバンなどの緩衝材など) |
古紙処理工程で取り除けず、カビ状の斑点が出てしまうため。 |
感熱性発泡紙(点字の印刷物) |
古紙処理工程で取り除けず、表面に凹凸が発生するため。 |
汚れや臭いがついている紙 |
臭いが残ったり、衛生上問題があるため。 |
耐水加工/ラミネート加工 |
紙ではない成分が含まれているので、製紙できなかったり、印刷不良が起こるため。 |
圧着ハガキやシール・粘着テープ |
のりが完全に取り除けず、粘着物が機械やリサイクル製品についてしまうため。 |
感熱紙や複写用紙 |
特殊なインクを完全に取り除けず、 発色して斑点が出てしまうため。 |
金紙・銀紙・箔押し加工された紙 |
古紙処理工程で取り除けず、リサイクル製品が金属反応を起こすため。 |
果物類のクッション材 |
色が抄き込まれているので、水に色が付いたり、リサイクル製品に色が付くため。 |
みなさんが迷いやすいであろう禁忌品の種類をピックアップしてみました。リサイクル出来ない理由としては、古紙処理工程で異物が残ってしまいリサイクル製品に悪影響を及ぼしたり、機械が故障する恐れがあるといったものが多いですね。
このような禁忌品は、リサイクルができないので燃えるごみとして捨てましょう。またアルミ付き紙容器は、一部のスーパーで回収をおこなっています。ご近所に回収できるスーパーがある場合には、持ち込んでリサイクルするのもいいですね。
▼アルミ付き容器の回収拠点はこのサイトで確認できます。
日本テトラパック「アルミ付き容器回収拠点等検索」
平安時代から取り組んでいる!?紙のリサイクル
紙のリサイクルの歴史は長く、なんと紫式部や清少納言が活躍した平安時代から取り組まれていました。まだ墨を抜く技術が未熟だったため、再生された紙に墨色が薄く残っていたために、抄き返した紙は「薄墨紙(うすずみがみ)」と呼ばれていたようです。
その後、紙の値段が下がって紙が広く普及したのは江戸時代に入ってから。その頃には使用済みの古紙を集める「紙屑屋」という商売が現れ、集めた古紙は、古紙問屋から漉き返し業者に売られて再生紙になるという現代の紙のリサイクルにも通じるシステムが確立されていたといいます。
江戸時代には紙だけでなく、古着、傘、ロウソク、灰、髪の毛を集める業者もすでにいたそうです。傘は剥がした紙も洗って使ったり、灰は洗剤として活用したりと、限られた資源を有効活用して生活していたことがよくわかります。
現代の私たちも取り組みたい紙のリサイクル
便利なものに溢れている現代では、リサイクルをしなくても影響がないように思えますよね。しかし、もし紙ごみのリサイクルをやめた場合、古紙が不足し、今まで古紙を使用していた製品の品切れや価格高騰が引き起こされるかもしれません。また、原料となる木材資源を早いスピードで消費してしまうことにもつながります。今、私たちが資源に恵まれた便利な状況で過ごせているのは、一人ひとりが家庭や企業でリサイクルに努めているからなんです。
紙のリサイクルは、個人にも取り組みやすい環境に配慮した行動の一つです。省資源・省エネルギー、温室効果ガスの排出削減、森林保全、廃棄物削減といったメリットがあります。 改めて、資源の有効活用を図るためにも紙をランクごとに分別し、ワンランクアップしたリサイクルに取り組んでみましょう!
(参考1)公益財団法人 古紙再生促進センター「紙のリサイクルの基礎知識」
(参考2)日本製紙連合会「紙の歴史」
(参考3)山陽製紙株式会社「再生紙とは?平安時代から続く紙のリサイクル文化」
(参考4)日本橋ぐるり「江戸時代にあった、1000ものリサイクル屋」