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学校で環境問題のSDGs教育は必要? 子どもたちができることや小中学校の事例を紹介!

学校で環境問題のSDGs教育は必要? 子どもたちができることや小中学校の事例を紹介!

環境問題を解決するために重要な役割を果たす施設が学校です。SDGs教育がうまくいけば、子どもたちが教員、地域の大人を巻き込むことで、より多くの人が持続可能な社会作りに向けて動き出します。

 

今回は、学校の教員や企業を含む学校関係者、子どもたちが、あらためて環境問題について理解を深められるよう、身近な環境問題の概要をおさらいしつつ、学校におけるSDGs教育の必要性や、子どもたちができることなどをご紹介します。小中学校が取り組む環境問題に関する事例も紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。

教師・学校関係者が知っておくべき身近な環境問題

 

学校で環境に関する教育をする(または企業を含む学校関係者が教育を支援する)場合、身近で発生する環境問題にはどのようなものがあるのか知っておく必要があります。

 

代表的な環境問題は下記の通りです。

 

  • 地球温暖化
  • 大気汚染
  • 森林破壊
  • ゴミ問題
  • 海洋汚染

 

まずはそれぞれの環境問題について解説します。

地球温暖化

地球温暖化は、二酸化炭素やメタンといった温室効果ガスが、宇宙に対する地球表面の熱放出を阻害し、地球の気温を上昇させる現象です。

 

地球温暖化が進むと、暑い日が増えたり寒い日が増えたりします。熱中症のリスクが高まれば、学校の子どもたちにも危険が及ぶでしょう。そのほか、豪雨の頻発や台風の強大化などの異常気象にも関係しているようです。

 

温室効果ガスは石油や石炭、天然ガスの燃焼によって多く発生します。地球温暖化対策としては、サステナブルな天然由来の紙に置き換える紙化など、資源の利用について見直すことが必要です。


[参考]

環境省|地球温暖化ってなあに?

文部科学省|環境を考慮した学校施設づくり事例集

大気汚染

大気汚染とは、大気中に排出された物質が自然の状態よりも増加し、人を含む生態系に直接的・間接的に影響を与える汚染現象です。

 

大気汚染の原因としては第一に自動車の排ガスに含まれる一酸化炭素が挙げられます。排ガスに含まれる窒素酸化物は、紫外線によって光化学スモッグ現象も生じさせ、学校で活動する子どもたちの眼や呼吸器に悪影響を与える恐れもあります。

 

そのほか、エアコンに使われるフロンガスは、上空の成層圏に到達してオゾン層を破壊することもわかってきました。環境問題を悪化させないためには、排出を抑制すべき物質について正しく理解することが必要です。


[参考]

環境省|大気汚染の定義と汚染物質

環境科学国際センター|「光化学スモッグ注意報」って何?

環境再生保全機構|排出物質:フロン

森林破壊

森林破壊は、違法伐採や焼き畑農業、燃料用木材の過剰な摂取などで森林を破壊する行為です。

 

森林は、斜面崩壊や土石流の防止、洪水の緩和、海岸林による津波被害の軽減などの役目を果たしています。

 

森林の放置や過剰な伐採が行われることで災害の抑制効果も減少するため、地震や豪雨による二次災害のリスクも高まるでしょう。子どもたちを守る資源を破壊しないよう、企業は事業が森林に与える影響に配慮し、適切に育て適切に収穫しなければなりません。


[参考]

環境省|世界の森林を守るために

環境省|森林と生きる

ゴミ問題

海洋プラスチックゴミによる海洋汚染に触れましたが、ほかにもゴミに関する問題があります。ゴミ問題として代表的なのが食品ロスです。食品ロスとは、食べられるのに食品が捨てられてしまうことをさします。

 

日本の食品ロス量は年間523万トンで、毎日大型トラック(10t車)約1,433台分の食品が廃棄されています。

 

大量の食品ロスが発生すると、多くのごみを廃棄しなければならず、処理コストが増えます。焼却によるCO₂排出や灰の埋め立ても環境に負荷をかける恐れがあるため、学校でも食品を無駄にしない取り組みが重要です。


[参考]

政府広報オンライン|今日からできる!家庭でできる食品ロス削減

海洋汚染

海洋汚染とは、海洋生物や人間にとって有害な物質が、人間の生活により海に放出されて発生する水質汚染です。海洋汚染の原因は、船の事故による油の流出や、ゴミの不法投棄などさまざま挙げられます。

 

近年は特に、海洋プラスチックゴミの問題が深刻化しており、毎年800万トンものプラスチックゴミが流出し、生分解することなく海面や海中に蓄積され続けています。なんと、2050年には魚よりも海洋ゴミのほうが多くなると言われています。

 

海洋ゴミの7~8割は街から川や水路に流出して海に至るため、学校でも子どもたちがゴミを減らす意識を持って、対策しなければなりません。


[参考]

日本海事広報協会|海と船なるほど豆事典 海の自然のなるほど

日本財団ジャーナル|【増え続ける海洋ごみ】今さら聞けない海洋ごみ問題。私たちにできること

 

\クイズで楽しく環境問題を学べるダイナリーチョイス!/

学校で環境問題のSDGs教育が必要な理由

 

学校で環境問題と向き合うきっかけになるのがSDGs教育です。SDGsの意味をおさらいしたうえで、学校のSDGs教育が環境問題に果たす役割を解説します。

SDGsの意味

SDGsはSustainable Development Goalsの略称であり、持続可能な開発目標を意味します。持続可能とは、1つしかない地球で暮らし続けられることです。

 

大気汚染や森林破壊などによって地球環境が破壊されてしまえば、持続可能な未来が失われてしまいます。教員や企業を含む学校関係者が、子どもたちと一緒にSDGsの達成を目指さなければなりません。


[参考]

unisef|SDGsって何だろう?

学校のSDGs教育が環境問題に果たす役割

人間の生活が環境問題の原因であるなら、人間が生き方を変えれば解決できるかもしれません。ただ、長い年月をかけて定着した大人の習慣は、そう簡単に変えられないでしょう。

 

その点をふまえると、子どもはこれからの生き方を定めていく成長期の過程にいます。

 

子どものうちから環境意識が根付いていれば、大人になっても当たり前のように環境に配慮した生き方ができるでしょう。したがって、学校におけるSDGs教育は極めて重要な役割を果たすといえます。

 

\こどもにもオススメの環境問題がテーマの本をご紹介!/

環境問題の解決に向けて学校で子どもたちができること

 

環境問題の解決に向けて、子どもたちにできることは何でしょうか。ここでは、学校で子どもたちができることを電気・水・ゴミ・食品ロス・リサイクルの分野に分けて解説します。

電気

学校にはたくさんの部屋があり、照明やエアコンが設置されています。気が緩むと、電気の無駄遣いが発生しやすい環境です。

 

したがって子どもたちが、誰もいない部屋の電気をこまめに消したり、エアコンの温度を必要以上に高温・低温にしないように調整したりする節電対策が求められます。

 

子どもたちと一緒に、窓を覆うようにアサガオなどを育てて日光を抑えるグリーンカーテンを作り、エアコンの電力消費量を減らすことも可能です。


[参考]

福島民報|【学校でSDGs】喜多方一小(喜多方市)児童427人 気候変動に具体的な対策を 節電、節水積極的に

ゴミ

子どもが直観的に取り組める環境対策としてゴミの削減も挙げられます。

 

たとえば、ノートを最後まで使い切ることや、不要なプリントの裏紙をメモ帳がわりに使うことなどが、取り組みやすい対策でしょう。

 

ポイ捨てをしたゴミは、雨水によって川や海に流れる恐れがあります。子どもたちに、外で出たゴミを家で捨てさせることも大切です。

 

そのほか、子どもたちが登校中にゴミ拾いできる清掃活動を学校として実施するのもよいでしょう。


[参考]

福岡市|紙ごみをへらそう

福岡市|ポイ捨てゴミをなくそう

食品ロス

学校で子どもたちができる環境問題の対策として、給食による食品ロスを減らすことも挙げられます。

 

たとえば、子どもたちに給食の準備時間を短縮させることが重要です。配膳を素早く完了させれば食事の時間が増えるため、食べ残しを減らせます。

 

準備時間を短くする意味がわからなければ、子どもたちが素早く準備をしてくれないかもしれません。準備時間を短くする必要性を説明しましょう。タイマーを使って準備時間を測定するのも効果的です。給食中に結果を発表すれば、ゲーム感覚で準備を楽しんでくれるでしょう。

 

そのほか、家庭科実習でピーマンなどの野菜を無駄なく切る方法を教えて、子どもに家庭で実践してもらうのも、食品ロスの削減につながるでしょう。


[参考]

京都府宇治市ごみ減量推進課|リデュース ザ 食べ残し

リサイクル

学校では教科書や制服、クレヨンなどさまざまな学用品を使います。ただ、子どもたちが大きくなるにつれて使わない学用品が増えがちです。

 

最近では、NPO法人を通して不要になった学用品を開発途上国の子どもたちに寄付できる仕組みも整ってきました。

 

子どもたちに不要な学用品を寄付してもらうよう呼びかければ、リサイクルを促進できるでしょう。


[参考]

TOSHOREX|【SDGs / 不用品募集】不要になった学用品を開発途上国の子ども達へ

学校で水を流しすぎなければ節水になります。

 

具体的にできることとしては、洋式便座はなるべく「小」のハンドルを使うことや、歯みがきで口をゆすぐときにコップを使うこと、掃除用具を洗うときにバケツを使うことなどが挙げられるでしょう。

 

蛇口の水の止め忘れを子どもたち同士で呼びかけし合うのも重要な取り組みです。


[参考]

佐賀市|佐賀市学校版環境ISOニュースレター

 

\実はけっこう身近にある給水スポットをめぐってみた!/

小学校での環境問題に関する取り組み事例

 

環境問題の解決に向けて学校で子どもたちができることを解説しました。実際の教育現場では、環境問題に関するさまざまな取り組みが、子どもたちによって実践されています。

 

SDGs教育の実施に役立つ、小学校での環境問題に関する取り組み事例をご紹介します。

事例1.大津市立逢坂小学校

大津市立逢坂小学校では、各委員会が環境問題に関する取り組みを主導していました。

 

エコキララ委員会では、節電・節水を意識させるプレートを作成し、電灯のスイッチや蛇口の近くに貼っています。教室の古紙を収集するリサイクルボックスも定期的に点検・回収して、リサイクルに気持ちよく取り組める環境を整備しました。

 

自然キラキラ委員会では、雨水タンクの水を活用してパンジーやビオラなどを育てました。水道水を使わないエコ活動への意識を醸成しています。


[参考]

大津市立逢坂小学校|平成27年度 エコ・スクール、環境教育モデル校活動報告書

事例2.神奈川県鎌倉市⽴⼩坂⼩学校

鎌倉市⽴⼩坂⼩学校4年4組の児童27⼈は、食品ロスを減らすために「フードロス00」を結成して、「君が動けば、世界が変わる!!」というタイトルの手書き新聞などを作成し、学校内や地域で啓蒙活動を実施しました。

 

新聞には、フードロスの具体的な量や、世界食料計画による食料援助量、飢餓に苦しむ人々について掲載しています。地域からは「大人たちも食品ロスについて考え直すきっかけとなった」との声も寄せられました。


[参考]

神奈川県鎌倉市⽴⼩坂⼩学校|「君が動けば、世界が変わる‼」 ⼩学4年⽣の児童らが⾷品ロス削減を発信

事例3.水上村立岩野小学校

水上村立岩野小学校では、環境問題を解決するために、職員だけでなく児童の行動目標をISO宣言として学校に掲示しています。

 

節水の取り組みとしては、コップ1杯の水で歯みがきをしたり、水を使ったら蛇口を下に向けて水が止まったことを確認したり、バケツ半分の水で雑巾をきれいにしたりするようにルールを定めていました。

 

この取り組みにより、節水を意識しながら行動できる子どもが増えたとのことです。


[参考]

水上村立岩野小学校|平成28年度水上村立岩野小学校 「学校版環境ISO」の取組

 

\小学生が今日からできる!身近な取り組みとは?/

中学校での環境問題に関する取り組み事例

 

次に、中学校での環境問題に関する取り組み事例をご紹介します。

事例1.宮城県名取市立閖上中学校

宮城県名取市立閖上中学校は、生徒会の整備委員会を中心に環境整備活動を実施していました。具体的な活動は、環境学習林の整備作業、海岸清掃、漂流物調査などです。

 

落ち葉を熊手あるいは手で集めて防砂林を整備したり、海岸でゴミを拾って分別したり、漂流物を広いながら種類を記録したりします。


[参考]

宮城県名取市立閖上中学校|生徒会が中心となった環境整備活動

事例2.八雲中学校

八雲中学校では、昭和30年代から森林保全活動を継続しており、平成27年からは「みーもの森づくり事業」を通して植樹も実践しています。

 

みーもの森づくり事業は、原則として県民が企画・立案・実行する植栽活動や県産材利用、森林環境学習を行う事業です。

 

子どもたちは、森林組合の指導のもとでヒノキ200本を植樹したことがあります。そのほか、植栽した箇所について下草刈りするなどの保育活動にも取り組んでいるようです。


[参考]

東部農林水産振興センター|八雲中学校「森林保全活動」が行われました

事例3.高崎市立大類中学校

高崎市立大類中学校では、子どもたちがボランティア委員会を中心としたリサイクル活動に取り組みました。

 

回収したペットボトルキャップは、エコキャップネットワーク事務局を通じて、800個でワクチン1本分として発展途上国に届けてもらえる仕組みです。

 

子どもたちはやりがいを感じ、活動意欲も高まっているようです。

 

\環境問題の真実を知り中学生に学んで欲しいこととは?!/

まとめ

今回は主な環境問題の概要をおさらいし、解決に向けて子どもたちが学校で取り組める対策や、小中学校の取り組み事例をご紹介しました。

 

実際には節電を呼びかけるプレートの貼り付けや、雨水による花の育成、ペットボトルキャップの回収など、さまざまな取り組みが実施されていました。

 

教員や学校関係者が協力してSDGs教育を実践していくことで、子どもたちが環境問題と向き合うきっかけを作れます。

 

今回紹介した事例を参考に、学校で子どもたちが節電や節水、リサイクルなどに取り組みやすい体制を整備してみてはいかがでしょうか。

ライター

常木城伸(つねきしろのぶ)

ビジネスに特化したWebライターとして活動し、各社のオウンドメディアに記事を投稿。執筆テーマは環境問題やSDGs、DX、ESGなど多岐にわたる。水質関係第1種公害防止管理者やFP二級技能士、第三種電気主任技術者、基本情報技術者などの資格を保有

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