サステナブルコーヒーとは
まず、サステナブルコーヒーの特徴から見ていきましょう。
サステナブルコーヒーとは、どのようなコーヒーを指すのでしょうか?また、なぜ注目を集めているのでしょうか?
サステナブルコーヒーの定義
サステナブルコーヒーについて、日本サステナブルコーヒー協会はこのように定義しています。
「現在のことだけではなく未来のことも考えた上で、 自然環境や人々の生活を良い状態に保つことを目指して生産/流通されたコーヒーの総称」
文字だけだと難しく感じますが、例えば下記のような条件を満たしたコーヒーが、サステナブルコーヒーと呼ばれています。
- 生産、流通過程において自然環境に配慮している
アグロフォレストリー農法(他の樹木の下でコーヒーの木を育てる)による土壌侵食防止など - 生産者、労働者に公正な賃金を払っている
安定した収入は生産量の確保や地域社会の発展につながる - 認証マークを取得している
第三者機関が認めたマークを取得することで、一定基準を満たした信頼感のあるコーヒーであることが判断できる
「サステナブル」の語源が「サステイナビリティー(sustainability = 持続可能性)」であることを考えると、 サステナブルコーヒーのイメージもなんとなく掴めてくるのではないでしょうか。
サステナブルコーヒーが注目される理由
サステナブルコーヒーは、日本だけではなく世界的にも注目されています。 なぜならサステナブルコーヒーは、今までコーヒー業界が抱えてきた課題を解決できるからです。
コーヒー業界は長年、以下のような課題に直面してきました。
■ 価格が安定しない
これまでコーヒーの3割はブラジルで生産されていました。そのため、価格がブラジルの状況に大きく左右されるのです。
例えばブラジルで干ばつが発生すると、コーヒーの価格は急騰します。2014年の干ばつでは、生産者はもちろん消費者も価格高騰に苦しめられたでしょう。
■ 生産量が安定しない
コーヒーの木は、気候の変化に対応しにくい特徴があります。干ばつはもちろん、地球規模の気候変動の影響を受けて生産量が減ることも珍しくありません。
また森林伐採によって、コーヒーの木を育てられる土地が減っていることも理由に挙げられます。
■ 生産者への対価が少ない
コーヒーは先進国を中心に低価格化しています。価格が低いということは、生産者に入るお金も少ないということ。
ほとんどのコーヒーは小規模な農家でつくられているため、常に貧困状態で暮らしている方が多いのです。
現状をどうにか変えるため団体や企業などが活動しているのですが、 「サステナブルコーヒーならこれらの問題を根本的に解決できるかもしれない」と注目されるようになったのです。
サステナブルコーヒーの種類
サステナブルコーヒーといっても、その種類は主に3つに分かれます。
味はもちろんですが、生産方法で選ぶとまた新しい発見があるかもしれません。
シェードツリーコーヒー
“木陰での栽培”は、おいしいコーヒーをつくるための条件のひとつとされています。 シェードツリーコーヒーはその条件をクリアしているので、味はお墨付き。
かつてコーヒーは樹木の下で育てる(=シェード/傘)農法が主流だったのですが、近年は直射日光の下で育てる農法へと切り替わっています。 確かに、収益性や生産性の観点で見ると、広い土地に1本1本植えたほうが効率的と言わざるを得ません。
昨今、森林伐採が加速しています。そこで「樹木がないとコーヒーの木を栽培できない農法(シェード農法)を採用すれば、 森林伐採に歯止めをかけられるのでは」と期待されているのです。
オーガニックコーヒー
コーヒーに限らず、「オーガニック」の名称を耳にしたことのある方は多いかもしれません。
オーガニックとは、農薬や化学肥料に頼らず、自然の恵みを生かした農林水産業や加工方法をさします。 土壌汚染はもちろん、健康の観点からも化学薬品は避けるに越したことはないでしょう。
上記のことからオーガニックコーヒーは、自然の風味を楽しむことができる、おいしさと自然環境保護を両立させたコーヒーです。
フェアトレードコーヒー
フェアトレードコーヒーは、生産者に対して一定の収入を保証したコーヒーです。 これまで、コーヒー生産者や農家が手にする金額は決して多くありませんでした。 そのためコーヒー業界全体で、“労働力の搾取”として問題視されてきたのです。
フェアトレードコーヒーは、適正な価格・適正な賃金を保証しています。 特に発展途上国の生産者・農家にとっては、安定した生活につながるでしょう。
サステナブルコーヒーの認証マークは本物の証
コーヒーを買うとき、せっかくならサステナブルコーヒーを選んでみませんか?
どのようなコーヒーがサステナブルコーヒーなのか見分けるには、認証マークの有無がポイント。
サステナブルコーヒーの代表的な認証マークを5つ紹介するので、ぜひ参考にしてください。
レインフォレスト・アライアンス認証
レインフォレスト・アライアンス認証マークは、公正な取引についての証です。 生産者の労働条件(低賃金や強制労働などがないか)・環境保護(森林保護や土壌・水路の安全)・気候(森林破壊の防止や適切な土地管理)など、 厳しい条件をクリアした農園のみが取得できます。
UTZ Certifield認証
上記でレインフォレスト・アライアンス認証マークについて紹介しましたが、2018年1月にこちらの認証マークと合併しました。
認証の基準は、レインフォレスト・アライアンス認証マークと同様です。
UTZ認証マークがあるコーヒーを選ぶことで、生産者の保護や環境保全が期待できます。
バードフレンドリー認証
バードフレンドリー認証は、スミソニアン渡り鳥センターが推進している環境保護プログラムのひとつ。
森林保護により渡り鳥の居場所を守るのが目的で、収益の一部は渡り鳥保護のために還元されています。
認証されるには、オーガニック栽培や木陰栽培など厳しい条件をクリアしなければなりません。
国際フェアトレード認証
国際フェアトレード認証は、国際フェアトレード機構が定めた基準をクリアしたコーヒーが取得できます。
定められる基準として、たとえば適切な労働環境・環境に配慮した生産地・適正な価格・適正な取引などが総合的に調査されます。
国際フェアトレード認証のついた商品を選べば、生産者の生活保護や環境保全につながるでしょう。
有機JAS規格
有機JAS規格は、農林水産省が定めた基準をクリアしたコーヒーが取得できます。 コーヒーに限らず、別の食品で見たことのある方も多いかもしれません。
取得の条件は、「種まき・植え付け前2年以上および栽培中に、農林水産省が禁止している農薬や化学肥料が使われていないこと」。 有機JAS規格のついたコーヒーは、環境保全に関心のある方はもちろん、健康意識の高い方からも注目されています。
サステナブルのおすすめコーヒー4選
サステナブルコーヒーはさまざまな企業が販売していますが、どれを選べば良いか迷ってしまうこともあるでしょう。
そこでサステナブルのおすすめコーヒーを厳選して4つ紹介します。
どの企業も工夫を凝らして生産しているので、コーヒーの味はもちろんですが、“背景”にもぜひ注目してみてください。
1. 小川珈琲店 バードフレンドリー®ブレンド(豆)150g No.927
小川珈琲店は1952年の創業以来、「本物」のコーヒーをお届けするためにさまざまな取り組みをしてきました。エシカルコーヒーへの取り組みもその一つです。
例えば「バードフレンドリー®認証コーヒー」を日本で初めて販売開始。認証を受けた農園のコーヒー豆をプレミアム価格で買い取ることで
生産者を支援しながら渡り鳥を守る活動で、現地の生物多様性にもつながるなどあらゆる角度でのサステナブルを実現しています。
なおバードフレンドリー®コーヒーとは、森林の木陰を利用し有機栽培されたコーヒーのこと。森林は渡り鳥の休息場所になるので、コーヒーの木を育てることで森林伐採を抑止できます。 また、日光や風が直接当たらないため、森のなかでゆっくりと育つ品質の良いコーヒーを楽しめます。
2. HIRO オーガニックブレンド いながわ (100g)【スペシャルティコーヒー豆】 【中煎り】
「オーガニックブレンドいながわ」は、スペシャルティコーヒー豆専門店「ヒロコーヒー」が提供するコーヒーの中でも代表作として知られています。
使っているのはオーガニック認証の豆だけ。飲み口はマイルドで、ナッツフレーバーがふんわりと広がります。やさしい味を探している方におすすめの一品です。
2017年~2019年の3年連続で、モンドセレクション金賞を受賞。同時に『国際優秀品質賞(インターナショナル・ハイクオリティー・トロフ ィー)』も獲得した、殿堂入り級コーヒーです。
3. トップバリュ(イオン) サステナブルコーヒー芳醇に香るブレンド
「サステナブルコーヒー芳醇に香るブレンド」は、イオンが支援する「サステナブルコーヒープロジェクト」の商品のひとつ。
イオンは、“系列店を含めて、取り扱うすべてのコーヒーについて、2030年までに完全サステナブル商品へと移行する”という目標を掲げています。
イオン・生産農家・国際NGO・サプライヤー・現地教育機関などが一体となってすすめる、このプロジェクト。 毎日の「おいしい」が地球や社会に貢献できるなんて、なんだか夢がありますね。
4. GOOD COFFEE FARMS ドリップコーヒーバッグ “Geisha”
ドリップコーヒーバッグ “Geisha”には、最高品質かつ希少なゲイシャ種が使われています。その味は、数々の品評会で1位を獲得し続けるほどお墨付き。
オレンジなどの柑橘系や、やさしいフローラルの香りとともに、本物のコーヒーの味が口いっぱいに広がります。
GOOD COFFEE FARMSのコーヒーは、すべて自社生産・自社販売。
一般的には、生豆を取り出すときに機械が使われがちですが、GOOD COFFEE FARMSでは自転車タイプの脱穀機を使っているため空気を汚しません。
またコーヒーの木を伐採したらコースターやスプーンとして生まれ変わらせるなど、あらゆる角度からサステナブルな取り組みをすすめています。
まとめ
サステナブルコーヒーとは、生産者や地球環境などさまざまなことに配慮したコーヒーのことです。
サステナブルコーヒーの製造をすすめることで、コーヒー業界が長年直面してきた問題を根本的に解決できるため、日本だけではなく世界中からも注目が集まっています。
毎日のコーヒータイムを生産者の生活や地球の未来を考えた取り組みに変えていきませんか?
【参考】
日本サステイナブルコーヒー協会|サステイナブルコーヒーって?
全日本コーヒー協会|コーヒーとサステナビリティ | SDGsの取り組み
一般社団法人日本サステナブル・ラベル協会|サステナブル・ラベルを知ろう!
バードフレンドリー®コーヒー公式サイト|それは、「渡り鳥の森」で育つコーヒー。