朝礼でのスピーチのネタに困っていませんか?そんな時におすすめなのが「環境問題」に関するスピーチです。「環境問題なんて難しそうでよくわからないし、うまく話せるかわからない」という方に環境問題について朝礼でスピーチをするとどんなメリットがあるのか?また「環境問題の朝礼スピーチを1分でまとめるコツ」などをご紹介します。環境問題を話題にすることで、周りから一目置かれる朝礼スピーチを目指しましょう。
目次
朝礼で環境問題のスピーチを1分でまとめるコツとスピーチを行うメリットとは?
今「朝礼で環境問題についてなんて語れない」と決めつけてしまうのはもったいない!地球温暖化や気候変動、CO2削減については誰もが「どうにかしないといけない」と感じている、いわば「共通の話題」です。ここでは「誰もが簡単に朝礼で環境問題について語れる」ように、1分にまとめるコツや朝礼で環境問題を話題にするメリットについて紹介します。
環境問題のスピーチを1分でまとめるコツ
【コツ1】「身近な」がキーワードに
「環境問題の話なんて、難しすぎて無理」と思うかもしれません。確かに「環境問題」という4文字からは、一体どこから取り組めばいいのか、私たちを躊躇させてしまうほどの堅苦しさを感じます。ですがここに「身近な」という3文字をつけるとどうでしょう。「自分ごと」として引き寄せられた感じを受ける人もいるかもしれません。朝礼では「自分の身の回りに起きている」「身近な環境問題」をテーマにスピーチを考えるとよいでしょう。
【コツ2】専門性はあまり気にしない
私たちは環境の専門家ではないので、例え朝礼という公的な場面であっても、必ずしも専門的なことを話す必要性はないと思います。むしろ【コツ1】で紹介した「身近なテーマ」を「初めて聞いた人にもわかりやすく」話すことが大切です。もちろんそれにはちょっとした知識は必要ですが、このあとの項目で「身近な環境問題」についてまとめましたので、参考にしてみてください。
【コツ3】「1分は300字」と心得る
ネットの記事などをはじめとする活字は「1分で読める文字量=300字程度」といわれています。最近では400字詰めの原稿用紙はすっかり見かけなくなりましたが、それよりも100字少ない文字量というと想像がつくでしょうか?
この「1分=300字」は一説によるとNHKのアナウンサーがニュース原稿を読むスピードと同じといわれています。確かに彼らの話し方は適度にゆっくりとして聞き取りやすく、内容がスッと入ってきやすいですよね。この「1分=300字」を目安にして、話す内容を文章としてまとめてみましょう。
【コツ4】話す時間は最長3分まで
朝礼のスピーチ時間は一般的に1分から3分が主流といわれています。「1分=300字」とすると、3分は900字程度になりますね。役員や社長クラスでも3分までが「聞き手が集中できる時間の限界」といわれているので、あまり長くならないように気をつけて、内容をまとめたら実際に声に出して読んでみましょう。
【コツ5】内容を欲張らない
話す内容を欲張らないことも大切です。せっかく【コツ1】で「身近な環境問題」をテーマに決めたのなら、「我が家の節水について」など、ごく身近なことから始めるのも手です。その中で世界の環境問題などに触れたい時は「SDGs(エス・ディー・ジーズ)」など、どこかで一度は聞いたことがある言葉を取り入れてもいいでしょう。
あまりガチガチに専門用語を入れたりせず、聞いている人にも「身近に感じてもらいやすい内容」や「雑学」「小ばなし」程度にとどめるといいかもしれません。この記事では後半に簡単な「例文」も公開していますのでぜひ参考にしてみてください。
\小論文を書く場合の基礎知識/
朝礼で環境問題のスピーチを行うメリットとは
【メリット1】一緒に考える
一般的に企業や学校など、働く場でも最近は環境問題とまったく無関係ではありません。社内や校内でゴミの分別やリサイクルに取り組むのは今や当たり前となっています。また業種によっては、環境に関する厳しい法律や独自のルールのもと、業務を行っている職場もあると思います。そうした中、朝礼で環境問題について話すことは、会社や組織全体が抱えていることについて「一緒に考えるきっかけ」になるのではないでしょうか。
会社の環境問題のことは専門の部署が取り組めばいいという考え方や、直接の担当者に対しての遠慮もあるかもしれません。例え専門家でなくても「生活者の目線から」環境問題を考えたり、ちょっとした「気づき」を話したりすることで、会社や組織の連帯感が生まれたり、担当者へのエール(応援)につながると思います。
【メリット2】解決につながる
朝礼で環境問題についてスピーチをすることで、それまでにあったちょっとした社内の問題の解決につながるかもしれません。例えば「ペットボトル飲料の利用者が多く、事業系のゴミ処理費用がかさんでいる」という事例を想定してみましょう。
社内の自販機から飲み物を購入することが当たり前となっていたA社。ペットボトルの使用量が増え、処理について問題になっています。もしメンバーの誰かがそこに気がついて、朝礼で「寒くなったので自販機購入からマイボトルに替えてみた」などという話をしたとします。それをきっかけに「寒い時期だけでも自販機の使用を減らして、お茶やコーヒーなどの温かい飲み物を飲みたいよね」とか「マイカップやマイボトルを使うのもいいよね」などと話が広がれば、少しずつではありますが、結果的にペットボトルの削減につながるかもしれません。
【メリット3】共有できる
最近ではエコな活動に対して、若干の疲れを感じる「エコ疲れ」や、自分が何もできていないことに「罪悪感」を抱く人が増えているという話をよく聞きます。「環境問題って、絶対にどうにかしないといけないとみんな思っているけど、大したことはできないし、私一人ががんばったところでどうにもならないところまできているのでは?」と思うのも仕方のないことかもしれません。
そんなモヤモヤとした思いこそ、朝礼という公的な場で会社の同僚や学校の仲間にぶつけてみてはどうでしょう。環境問題のことは気になっているけど、実は何もできていないということを「共有する」ことで一体感が生まれ、個人個人が抱えている罪悪感もほんの少し軽くなるかもしれません。そこから【メリット1】「一緒に考える」や【メリット2】「解決につながる」ようになれば、朝礼で環境問題について話すことが「日常」となり、今よりもっとこの問題を聞いている人たちに「身近に感じて」もらえるでしょう。
スピーチ成功のために準備しておきたいこと
朝礼で環境問題についてスピーチするコツやメリットがわかったら、スピーチを成功させるために事前に準備しておきたいことを4つ紹介します。まずは世界と日本で起こっている身近な環境問題の基本的な事柄を知り、環境問題に関するウェブサイトを見たり、テレビ番組や本などもチェックして、「引き出し」を広げておきましょう。
1.話す前に知っておきたい|世界と日本 身近な環境問題
地球温暖化
環境白書によると、地球温暖化の議論の始まりは19世紀の末ごろ。科学者たちの間では「大気中のCO2濃度が上がると気温が上昇する」という原理はすでにその頃から共通の認識だったようです。 戦後にハワイの観測所でCO2濃度の定期的な観測が始まると、科学者たちによる地球温暖化の報告が活発化。1985年に開かれた科学者たちによる国際的な会議では「21世紀の前半には、地球の平均気温の上昇が人類未曾有の規模で起こり得る」という声明が出されました。今から約40年も前に地球温暖化の問題が懸念されていたのです。
世界気象機関(WMO)は11月、2024年1月〜9月の世界平均気温を巡り、産業革命前の平均気温と比べた上昇幅が1.54度を越えたと発表しました。このまま気温上昇が続けば、地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」が目指す上昇幅を「1.5度」に収める目標達成は極めて難しい状況までに追い込まれています。またこうした平均気温の上昇は日本各地で農作物の生育不良や、観測史を更新するような豪雨災害を引き起こしたり、夏場の熱中症関連死など、様々な影響を及ぼしています。
大気汚染
大気汚染というと70年代の高度経済成長期に問題となっていた「公害」を連想しますが、日本国内では環境対策基本法などの法規制により、大気汚染による呼吸器系疾患などの健康被害は減少に転じているといわれています。近年ではPM2.5など、日本国内だけでなく遠く大陸から有害物質が飛来する「越境大気汚染」が常態化。こうした大気汚染は、石炭火力による発電や輸送などで使用される石油など化石燃料の燃焼、山火事などでも起こるといわれ、世界中で大きな問題となっています。
ユニセフのサイトによると2021年の時点で世界全体で大気汚染が主要因で命を落とした人は810万人。中でも5歳未満の幼児の死亡者数は70万人以上と、この年齢層では栄養不良に次いで世界第2位の死亡リスクとなっています。幼い子どもは発育の途中で大人よりも大量の空気を必要とするため、大気汚染での健康リスクが他の世代より極めて高く、そのダメージは母親の胎内から始まり、生まれてからも一生続くといわれているのです。
海洋汚染
近年大きな話題となっている海洋汚染。海に囲まれた日本に住む私たちにとってとても身近で、見過ごせない問題です。海洋汚染で気になるのは、家庭ゴミなどのプラスチックの一部が海に流れ出ること。紫外線と海水にさらされたプラスチックは劣化し、直径5ミリ以下の「マイクロプラスチック」に変化し、海の生態系や水質汚染などの海洋環境に多大な影響を与え続けています。
最近の研究ではマイクロプラスチックが海水中にあるダイオキシンなどの有害化学物質を取り込みやすいということがわかってきました。海の生物がマイクロプラスチックを食べてしまうと、巡り巡って私たちが口にする魚介類から、そうした有害物質が人体に影響を与える影響が懸念され、日本国内でも人の血液から「ナノプラスチック」と呼ばれるさらに粒子の細かいプラスチックが含まれていたという報告もあります。
生物多様性の危機
地球上には3000万種類もの生き物がいるといわれています。これらの生き物は、地球の長い歴史の中でそれぞれが進化を続けながら、生きながらえてきました。どんな動物や植物もお互いにつながり、直接的・間接的に支えあって生きている。私たち人間もその中の一員です。「生物多様性」とは単に生き物の種類の多さを表すのではなく、生き物の相互の「つながり」を表す言葉と捉えられています。
IUCN(国連自然保護連合)によると2023年12月の時点で、絶滅の恐れのある野生動物の種の数は4万4016種とされています。野生動物が絶滅の危機にあるのは、森林伐採や河川改修、沿岸部の埋め立てなどの開発行為により生き物の生息地がおびやかされたり、鑑賞・販売などの目的での乱獲によるところが大きいとされています。また人によって持ち込まれた外来種が在来種を捕食したため数が減ったり、人間活動に起因する地球温暖化による気候変動で生き物の分布域や生育状況が変化したことなども原因といわれています。
水不足
雨が多く、山に囲まれた日本。水不足という言葉は主に夏場、例年通りに雨が降らず、ダムの貯水率が下がった時にニュースなどで聞く程度で、あまり身近な問題として捉えられていないかもしれません。しかし世界の多くの国では、安全な水を手に入れられない人々が22億人もいて、希少な淡水(海水以外の水)域が干ばつなどの気候変動で年々減り続け、人口の増加で河川や貯水池は生活排水や工場排水で汚染され、そんな少ない水を奪い合うことから紛争に発展するなど、水が足りないことで起こる様々な問題の解決が急務なのです。
国連の食糧農業機関(UN)では、2025年までに世界人口の3分の2が水不足に陥る可能性を示しています。実は世界の水不足の問題は、私たち日本人もまったく無関係ではありません。年間の降雨量は年々減少。雨が大量に降っても河川から海へと流れてしまい、大地に蓄えられる地下水は案外少なく、一人当たりが使える水の量は世界平均の2分の1以下と、意外に少ないのだそうです。また食糧のほとんどを輸入に頼っているため、他国の水を使って生産された輸入品を消費することで、他国の水資源を奪うことにもつながっていると示唆されています。
2.環境問題のウェブサイトをチェック!
続いてスピーチを成功させるための準備として「環境問題について取り上げているウェブサイトのチェック」をおすすめします。環境問題はこれまでに挙げたことだけでなく、CO2削減問題や水質汚染、資源の枯渇など多岐に渡り、世界中で絶えず起こっています。朝礼スピーチのネタとしてだけでなく、仕事面での意識改革や業績アップ、得意先との商談など営業活動や就活・転職活動にも有効です。日頃から公的機関や国際的なNGO団体などのウェブサイトをチェックして、環境問題に関する基礎知識をアップデートしていきましょう。
【おすすめの環境系ウェブサイト】
子どもから大人まで、楽しく環境を学べるサイトです。メディアでも大人気な「紙袋屋が教える紙袋リメイク」、小学生から学べる環境クイズ「DAINARI CHOICE」、実際に地球にいいのかやってみて検証する「地球にいいことやってみた」、食品ロス削減につながるレシピなどを紹介する「暮らしのアイデア帖」など、実際にスタッフが実践してみる企画が人気です。
□環境省「ecojin(エコジン)」
環境省が発信しているエコ・マガジン。「図解でわかる!環境問題」という特集では、食品ロスなどの身近な環境問題についてイラストや表を多用したわかりやすい構成で解説しています。アスリートやタレント、アーティストなどへのインタビューも読み応えありです。
□国立研究開発法人 国立環境研究所「A-PLAT KIDS こどものための環境教室」
国立環境研究所が運営する子ども向けの環境サイト。「過去100年間の気温の変化」をもとに「気候変動への適応」や「適応策」についてイラストとふりがな付きの大きな文字でわかりやすくまとめてあります。動画やダウンロード可能なワークシートなど、親子で一緒に楽しめます。
□WWFジャパン「生きている地球レポート2024 -自然は危機に瀕している-」
公益財団法人WWF(世界自然保護基金)によるウェブレポートで、地球の生物多様性の豊かさと健全性にどのような変化や傾向がみられるのかをまとめています。環境保全へ向けて食料やエネルギー、金融というシステムの変革の必要性を掲げ、実現することを目指しています。
□東京都環境局「TOKYO環境学習ひろば」
東京都環境局の環境に関して学べるサイトで、地球温暖化対策や自然環境、循環型社会についてや大気や水質など、イラスト入りの見やすい構成で楽しく学べるサイトです。◯とバツを選んで進む「環境クイズ」は一問一答式でテンポよく、間違えても復習できる点もおすすめです。
\環境問題のキーワードを1分で手軽に学べる!/
3.環境問題のテレビ番組をチェック!
集中して勉強する時間がなかなか取れないという人は、環境問題に関するテレビ番組をチェックしましょう。その多くが5分から30分前後と比較的短めで、要点がわかりやすくまとめられていることから、家事をしながらやその合間のちょっとしたスキマ時間に視聴できる内容です。番組関連サイトもチェックして、映像と共に活用してみてください。
【おすすめの環境問題に関するテレビ番組】
□NHK Eテレ「サイエンスZERO」
日曜日23:30〜0:00 土曜日11:00〜11:30(再放送)
「世の中をサイエンスの視点で見るともっと楽しくなる!」をテーマに、私たちの未来を変える可能性を秘めた、最先端の科学と技術を伝える番組。近年、深刻さを増す海洋プラスチック汚染について、海底調査の自動化プロジェクトを始動する様子など最新報告が満載です。
□BS朝日「バトンタッチ SDGsはじめてます」
土曜日18:30〜19:00
2020年4月から始まったSDGsをテーマとしたレギュラー番組。全国各地でSDGsに真っ向から取り組む人々を密着取材。課題解決のために取り組む姿勢やその苦労は、視聴者である私たちの胸を打ち、一歩、踏み出す勇気を与えてくれます。
□NHK総合「ダーウィンが来た!」
日曜日19:30〜20:00
世界中の生き物たちに密着。人が踏み込むことのない秘境や身近な街中まで、最新の撮影機材をフル活用した生き物たちのスクープ映像は、研究者をもうならすほど新発見が詰まっています。まさに生き物たちと「共存」する「生物多様性」に迫った番組です。
□フジテレビ「地球との約束〜心に刻む景色〜」
火曜日22:54〜23:00
日本や世界各地の美しい自然や風景を描きながら、そこで取り組まれている環境保全活動を取材。江戸時代初期に築かれた石垣を守る活動や、中東・アラブ首長国連邦でのウミガメの保護活動など見応えも十分。番組サイトでは過去の放送一覧から動画も閲覧できます。
□フジテレビ「体感!サステナWAVE」
火曜日21:54〜22:00
「SDGs(エス・ディー・ジーズ)」や「サステナブル」といったキーワードをベースに、フジテレビのアナウンサーが誰でも気軽にできて日々の暮らしを豊かにする「サステナ生活」を体感する番組。2024年8月には紙袋を用いて保冷バッグをハンドメイドする様子が放映されるなど、実践的なアイデアを紹介しています。
\TVでも紹介されて人気「紙袋リメイク」/
朝礼で困らない|環境問題スピーチネタ3選
いよいよ明日、朝礼のスピーチ当番が回ってきた!でも今から環境問題のウェブサイトを読んだり、テレビ番組を見る時間はないかもしれない。そんな時、ネタ探しに役立つ3つのアイデアを紹介します。この項目を読めば、環境問題の朝礼スピーチの「一夜漬け」が比較的簡単にできるかもしれません。
1.環境に関する時事問題をチェック
スピーチのネタに困った時は、NHKの「環境」ニュースサイトが便利でおすすめです。「ことしの平均気温 観測史上最高 ほぼ確実に」といった短い見出しが一覧で見られるので、興味のある見出しをクリックして記事をチェック。1記事は大体300字〜500字程度なので、そこから1分=300字を目安にスピーチに使えそうな要点をまとめてみましょう。この時、なるべく自分の周りで起こったことをエピソードに付け加えるなど、「自分ごと」につなげると聞き手も興味を持ってくれるでしょう。この記事の最後に例文をつけますので参考にしてみてください。
参考:NHK「環境ニュース」
2.環境関連「今日は何の日」をチェック
環境関連の「〇〇の日」や「〇〇デー」「〇〇月間」など、まだよく知らないという人もいるかもしれません。こうしたエコに関係する日は、4月から翌年3月まで毎月設けられ、関係省庁や地方自治体、環境団体が催事やキャンペーンを行っています。例えば4月から5月にかけては「みどりの月間」で林野庁や自治体などにより各地で緑化イベントが催されています。
また4月22日はアメリカが発祥の「地球の日(アースデー)」で、日本でも地球環境に関する様々なイベントが開催されています。スピーチを担当する月に合わせて、エコの日一覧をチェック。自分にフィットする「〇〇の日」を見つけたら、ぜひその日のことを中心にスピーチの内容を考えてみてください。
参考:EPO TOHOKU 東北環境パートナーシップ「エコの日一覧」
3.著名な環境活動家をチェック
世界では環境活動家と呼ばれる人々が、日々環境破壊や気候変動による危機を広く世間に伝え、環境や自然を守る活動に取り組んでいます。こうした環境活動家の言動をチェックして、朝礼スピーチに盛り込むのも1つのアイデアです。ここでは主な環境活動家とその人のことについて書かれた書籍や監修本を紹介します。スピーチに盛り込む時は「この本を読んでこう思った」と読後の感想を簡潔にまとめると、聞き手にも伝わりやすいでしょう。
□レイチェル・カーソン(1907〜1964)
アメリカで1960年代に環境問題について告発をした生物学者。農薬として使う化学物質の危険性を取り上げた著書『沈黙の春』は当時50万部を売り上げる大ベストセラーとなり、その後のアースデーや国連人間環境会議のきっかけを作った人物として尊敬されています。
\『沈黙の春』の概要を紹介/
□グレタ・トゥーンベリ(2003〜)
スウェーデン・ストックホルム生まれの21歳。2018年、当時15歳だったグレタさんは地球温暖化を食い止めるための行動を政府に迫るため、国会議事堂で一人でストライキを始めます。この抗議活動の様子は一気に世界中に報道され、大きな話題となりました。グレタさんはその後、COP24(気候変動に関する国連サミット)で各国のリーダーを前にスピーチし、2019年にはノーベル平和賞にノミネートされています。グレタさんの抗議活動は現在も続いており、2024年5月には反イスラエルデモに参加し逮捕の報道が出るなど、その動向は常に注目されています。
\映画で学んでみる/
□辻信一(1952〜)
文化人類学者、環境=文化NGO「ナマケモノ倶楽部」代表、明治学院大学名誉教授。1988年米国コーネル大学で文化人類学博士号を取得。1992年から2020年まで明治学院大学国際学部教員として「文化とエコロジー」などの講座を担当。「スローライフ」や「ハチドリのひとしずく」、「キャンドルナイト」「しあわせの経済」などのムーブメントを牽引するなど、アクティビストとして活動しています。
環境問題についての1分間スピーチ|例文3選
これまで朝礼で環境問題についてスピーチを行うコツやそのメリット、スピーチ成功のために準備しておきたいこと、環境スピーチのネタとなるアイデアソースについて紹介しました。この項目ではこれらのコツやアイデアを利用した「身近な環境問題」をテーマにした例文を3つ提案します。300字程度にまとめてあるので、1分=300字として、ご自身のスピーチの参考にしてください。
【例文1】テーマ:地球温暖化 熱中症
地球温暖化による気候変動で、毎年夏になると毎日のように熱中症で救急搬送された人数が報道されています。皆さんの中にも高齢のご両親など、熱中症が心配なご家族がいらっしゃると思います。2024年夏、熱中症による死亡者は東京都だけでも262人にのぼったそうです。
我が家でも実家に暮らす高齢の両親に、我慢しないで冷房をつけるように話していますが、熱中症で亡くなられた方の多くが冷房を適切に使用していなかったと聞き、胸が痛みました。実家では昨年、省エネ型のエアコンに買い替えましたが、電気代を気にする高齢者世代には、旧式のエアコンの場合と電気料金を比較して見える化するなど、納得してもらうということも大切だと感じました。
\話題になった「地球沸騰化」についておさらい/
【例文2】テーマ:海水温上昇 魚の漁獲量減少
突然ですが私はお寿司が大好きで、好きなネタを1つ選ぶならイワシと答えているのですが、先日NHKの環境ニュースをチェックしたら、本来日本周辺の東アジアの海にいたはずのマイワシが2022年以降、アメリカの西海岸に生息域を移したという記事を見かけました。海水温の上昇で、イワシが北大西洋を横断したのではないかという研究者の分析でしたが確かに最近、スーパーなどでイワシを見ることが少なくなったと感じていて、あと何年かしたらイワシのお寿司が食べられなくなるのでは?と思うと、ちょっと心配になりました。
日本周辺の海でも海水温が上昇したり、マイクロプラスチックによる海洋汚染も進んでいると聞きます。どうしたら海の環境がもっとよくなるんだろうと日々模索中です。
\「プラなし博士」にインタビュー/
【例文3】テーマ:環境問題 できること
実は最近、文化人類学者で環境活動をされている辻信一さんという方の『ハチドリのひとしずく』という本を読みました。タイトルだけは聞いたことがある方もいるかもしれません。森が燃え盛る中、ハチドリだけが逃げずに、小さいくちばしで水のしずくを一生懸命運んで火の上に一滴ずつ落とすのですが、一見無駄なことのように見える小さな努力を「私は、私にできることをしているだけ」と言うその姿勢に深く考えさせられました。
2005年に出版された本なのですが、今なお続く環境問題に関して、一人では何もできないと思い込んでいる自分がいるなと感じ、少しでもいいからできることから始めてみたいと思うきっかけになりました。
\「カンキョーダイナリーアンバサダー」の例をご紹介/
今すぐできること|アクション10
例文はいかがでしたか? 環境問題のスピーチと聞くと少し身構えてしまうかもしれませんが、最初にお伝えした通り「自分の身の回りに起きている」「身近な環境問題」をテーマに「できるだけ自分の言葉で話す」と、聞いている人たちからも共感を得られやすく、肩の凝らないスピーチができると思います。「私もそう思ってた」と共感を呼んだり、いつものスピーチより相槌を打つ人の数も増えるかもしれません。その次はぜひ具体的に行動を起こしてみましょう。「今すぐできること」として環境問題に関する10のアクションを紹介します。
【環境問題に関する10のアクション】
- 使ってない電気は消すなど、家庭での節電に努める
- 徒歩や自転車での移動、または公共の交通機関を利用する
- 輸入に頼る食生活や暮らしを見直し、地産地消を目指す
- 飛行機などでの長距離移動を見直し、オンラインなどを活用する
- 廃棄する食料をなくして燃やすゴミを減らしCO2排出を削減する
- 買う物を減らし、修理やリサイクルをしてより長く使う
- 風力や太陽光など、家庭の電力を再生可能エネルギーに切り替える
- ガソリン車の使用を減らし、電気自動車やカーシェアに切り替える
- 環境に配慮した製造工程や原材料を使用している企業を応援する
- 環境問題に関して家族や友人、職場で気軽に話せる関係性を築く
\興味が出てきたらボランティアもおすすめ/
まとめ
朝礼のスピーチをきっかけに、今ある身近な環境問題について考えると共に、スピーチを成功させるためのアイデアを紹介しました。この記事を読んで環境問題へ対する興味がこれまで以上に増したなら、スピーチは半分、成功したも同然です。あとは落ち着いて「自分の言葉で」書いて話すだけでOKです。
環境問題に関するテーマは私たち全員に身近であり、解決しなくてはならない喫緊の課題です。一人ひとりが「できること」を見つけ、家族や仲間と共有しながら「始める」ことで、きっと今よりまた一歩、解決へと進めることでしょう。
参考・引用文献
環境省 | 平成9年版環境白書 第1節 1 地球温暖化が認識されてきた経緯
国立研究開発法人 国立環境研究所 | 過去100年の気温の変化
WWFジャパン | はじめての『生物多様性』
環境省 | 生物多様性(2019年7月)
国際農林水産業研究センター(JIRCAS)| 951. 水不足の解決へ~水資源の拡充と多様化
国際連合広報センター | 個人でできる10の行動