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マンガで環境問題!SDGsや環境破壊|地球のために読んでおきたい10冊

マンガで環境問題!SDGsや環境破壊|地球のために読んでおきたい10冊

小学生の頃、歴史や科学テクノロジー、経済などをマンガで学んだという人は多いことでしょう。

こうしたマンガは「学習まんが」に分類され、50年程前から多くの子どもたちに親しまれてきました。近年では「環境問題」に関する学習まんがや大人向けの実用マンガなども加わり、環境問題のテーマが歴史や経済といったジャンルの1つとしてすっかり定着しています。

 

また誰もが知っている著名な漫画家が、ずいぶんと以前から環境問題の視点で作品を残すなど、漫画家たちにとっても環境問題が見過ごせない問題であったことがうかがえます。

 

この記事では「大人も学べる環境問題」がテーマのマンガ5冊と、「著名な作家たちによるレジェンド的なマンガ」5冊を紹介します。環境問題のことは気になっているけど、今までなかなか腰をすえて勉強できなかったという人ほど、マンガで環境問題を学ぶことをおすすめします。

マンガで環境問題を学ぶメリットとは

漫画(マンガ)で環境問題を学ぶメリットとは

 

環境問題について知りたいと思っても、関連する用語が難しくてなかなか内容が入ってこなかったり、文章だけでは理解しづらいということもあるでしょう。そんな時こそマンガでの学習がおすすめです。マンガで環境問題を学ぶメリットとしては次の3つが挙げられます。

1.流れが理解しやすい

世界で環境問題が取り沙汰されたのは、19世紀の終わり頃からといわれています。イギリスで興った産業革命で人類が石油由来の化石燃料を使い出してから現在まで、約200年あまりの間に起こった出来事です。こうした歴史的な「流れ」もマンガだと時代背景や登場人物などが見やすく構成され、より内容を理解しやすいでしょう。

2.記憶に残りやすい

マンガは視覚に訴える「ビジュアルコンテンツ」として有効だという研究もあるほど、人の「記憶に残りやすい」表現方法といわれています。

3.組み合わせでより深く理解できる

静止画であるマンガから発展した「アニメーション」は、ANIME(アニメ)と短縮化され、今や「MANGA(マンガ)」と並び世界中で支持されています。マンガやアニメなど「視覚的コミュニケーション」に注目した最近の研究では、マンガと映像などを組み合わせて学習することで、より理解が深まるということがわかっています。

読む前に少し知っておきたい身近な「環境問題」とは?

環境問題の漫画(マンガ)を読む前に少し知っておきたい身近な「環境問題」とは?

 

ここでは環境問題をマンガで学ぶ前に知っておきたい「環境問題の関連キーワード」を3つ紹介します。

地球温暖化対策や脱炭素、SDGs(エス・ディー・ジーズ)など、聞いたことはあるけど、意外とちゃんと知らないことがあるかもしれません。環境問題がテーマのマンガを選ぶときの参考にするなど、事前準備としてチェックしておきましょう。

地球温暖化とは

環境問題というと一番に思い浮かぶのが「地球温暖化」でしょう。

地球温暖化が科学者たちの間で取り沙汰されたのは19世紀末。「大気中のCO2濃度が上がると気温が上昇する」という原理は、18世紀の産業革命で石油などの化石燃料の使用が本格化するとどんどん深刻化しました。

 

1985年にオーストラリアで開かれた国際的な会議を皮切りに「21世紀の前半には、地球の平均気温の上昇が人類未曾有の規模で起こり得る」と警鐘が鳴らされ、現在まで続く異常気象や生態系への影響などを世界各地にもたらしています。

日本では地球温暖化が原因といわれる気温上昇での「熱中症関連死」が近年の身近な問題となっています。

 

脱炭素とは

脱炭素は「カーボンニュートラル」とも呼ばれ、地球温暖化の要因とされる二酸化炭素(CO2)などの温室効果ガスを削減する取り組みのひとつです。

二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスの「排出量」から、森林などに植林をしたり管理することによる「吸収量」を差し引いて、実質的な合計をゼロにすることをいいます。

 

カーボンニュートラルを達成するためには、温室効果ガスの排出量の削減と同時に森林などの吸収作用を保全したり強化する必要性があるのです。

地球規模の課題である気候変動の解決に向けて、世界の120以上の国と地域が「2050年カーボンニュートラル」という目標を掲げて取り組みを進めています。

 

SDGs(エス・ディー・ジーズ)とは

SDGsとは2015年に開催された国連サミットで採択された「Sustainable Development Goals」の略称で、日本語に直訳すると「持続可能な開発目標」という意味を表しています。

 

SDGsには「2030年までに達成すべき17の目標」が掲げられており、それぞれの目標と達成するために起こすべき行動について明記されています。ユニセフのサイトによると、「持続可能とは、何かをし続けられる、ということです。SDGsは、私たちみんなが、ひとつしかないこの地球で暮らし続けられる『持続可能な世界』を実現するために進むべき道を示した、つまり、ナビのようなものです(以後省略)」としています。

 

よく耳にする「サステナブル」という言葉は、「持続可能な」「ずっと続けていける」という意味があります。

 

大人も学べる!|環境問題がテーマのマンガ5冊

大人も学べる!|環境問題がテーマの漫画(マンガ)5冊

 

環境問題に関する主なキーワードがわかったところで、環境問題がテーマのマンガを5冊紹介します。

ここでは子ども向けの「学習まんが」と実用書としての「書籍マンガ」をピックアップしましたが、学習まんがは大人でも読める本格的な内容で、ドラえもんや名探偵コナンといったおなじみのキャラクターが登場するのも親近感がわくでしょう。

 

書籍マンガにはマンガのストーリーの合間に解説ページなどもあり、環境問題の専門家が監修するなど、より専門的な内容がわかる構成になっています。

おすすめ環境マンガ1

ドラえもんの社会科おもしろ攻略 環境問題とわたしたちのくらし

 

「地球を環境問題から救えるのは、きみだけだ」という強いメッセージとともに、ドラえもんとのび太たち、おなじみのキャラクターが身近な生活の中から環境問題を見つけ出し、それに対して考えていくストーリーです。

ドラえもんの「ひみつどうぐ」も問題解決のために活用されるなど、本編のマンガやアニメ同様に楽しく環境問題を学べる1冊です。

 

ドラえもんの社会科おもしろ攻略 環境問題とわたしたちのくらし

著者・原作者:藤子・F・不二雄 出版社:小学館 発売日:2024年6月27日

おすすめ環境マンガ2

名探偵コナン推理ファイル 環境の謎

 

「コナンといっしょに地球の危機を徹底調査!」と題し、地球環境の実験施設を訪れたコナンと少年探偵団が、事件に巻き込まれるというストーリーです。

全192ページ中、120ページを特別マンガとしてストーリーを展開。その合間に地球温暖化や水や空気の汚染、ゴミ問題に食糧危機など、様々な環境問題のコラムを図解でわかりやすく挿入しています。

 

名探偵コナン推理ファイル 環境の謎

原作者:青山剛昌 作画:山岸栄一 構成:家崎晴夫 出版社:小学館 発売日:2006年2月27日

おすすめ環境マンガ3

マンガで学ぶSDGs 自然環境が危ない!衛生/気候変動/資源/多様性

 

慶應義塾大学 政策・メディア研究科教授の蟹江憲史氏が監修を担当しSDGsをテーマに全4巻をシリーズ化。

「マンガで学ぶSDGs 自然環境が危ない!衛生/気候変動/資源/多様性」では、全96ページを4章に分け、SDGsとは何かから始まり「気候変動」や「安全な水とトイレを世界中に」「海の豊かさを守ろう」「陸の豊かさも守ろう」など、SDGsの17の目標の中から4つの項目をピックアップして紹介しています。

マンガのストーリーの間にイラスト入りの解説ページを設けた見やすい構成です。

 

マンガで学ぶSDGs 自然環境が危ない!衛生/気候変動/資源/多様性

監修者:蟹江憲史 出版社:金の星社 発売日:2021年2月

おすすめ環境マンガ4

マンガでわかる 脱炭素(カーボンニュートラル)

 

「温室効果ガス排出削減」は本当に達成できるのか?をテーマに地球環境戦略研究機関の研究員やWWF(世界自然保護基金)など、環境問題の専門家に取材しながら、具体的な取り組みについて紹介する書籍マンガです。

 

ある日、ゲリラ豪雨に遭遇した親子が偶然、隣で雨宿りをしていた大学院で環境学を学ぶ女性と出会うことからストーリーが始まります。

「脱炭素」を進めないと、農作物の収穫に影響が出たり、絶滅する動物が出たりするということを親子二人が学ぶ中、読んでいる側もカーボンニュートラルの重要性を知ることができます。

 

マンガでわかる 脱炭素(カーボンニュートラル)

監修者:藤野純一 作画:サイドランチ 出版社:池田書店 発売日:2021年10月6日

 

おすすめ環境マンガ5

マンガで世界を救うぞ!

 

日本の文化であるマンガを通し、「マンガのチカラ」でSDGsの理念を伝えようと、出版社の枠を越えて17人の著名な漫画家による「SDGsの17の目標のマンガ化」が実現。

メンバーにはドラマ化もされ人気を博した『GTO』の作者、藤沢とおる氏や『Dr.コトー』の山田貴敏氏、『島耕作シリーズ』の作者、弘兼憲史氏などベテラン勢も参加。

それぞれの代表作のキャラクターが登場するなど、マンガファンも楽しみながらSDGsについて学べます。

 

マンガで世界を救うぞ!

編者:一般社団法人SDGs×マンガのチカラ 出版社:講談社エディトリアル 発売日:2020年11月30日

あの作家の作品も|レジェンド環境マンガ5冊

あの作家の作品も|レジェンド環境漫画(マンガ)5冊

 

マンガの神様と今も崇められる手塚治虫氏や、その後輩として「トキワ荘」でマンガを執筆していた藤子・F・不二雄氏、「スタジオジブリ」で様々な映画を制作してきた宮崎駿監督など、「レジェンド」たちも環境問題について憂いを抱え、このままではいけないと作品に反映していました。

 

こうした著名なマンガ家のほか、環境問題の専門家、かつハイムーンのペンネームで50年以上にわたり環境マンガを描き続けてきた高月紘氏など、マンガで環境問題を学ぶ際に、ぜひ知っておいてほしい作品と作者を紹介します。

レジェンド環境マンガ1

手塚治虫傑作選「瀕死の地球を救え」

 

『ジャングル大帝』や『ブラック・ジャック』などで知られる日本のマンガ創世記を牽引した漫画家で、マンガの神様と呼ばれたのが手塚治虫氏です。

実は手塚氏は環境破壊を題材にした作品を数多く残していています。まるで現在の環境危機を予言するかのように綴られたそのマンガを2007年に新書の形で復刻。

 

1960年代の公害問題の恐怖を描く『うろこが崎』や、人間のエゴで犠牲にされた自然への復讐をテーマにした『ディンゴ』(『ブラックジャック』に収録)、『鉄腕アトム』に収録された『赤いネコ』などの秀作を一冊にまとめた読み応えのある内容になっています。 

 

手塚治虫傑作選「瀕死の地球を救え」

著者:手塚治虫 出版社:祥伝社 発売日:2007年11月5日

レジェンド環境マンガ2

映画ドラえもん のび太と雲の王国 新装完全版

 

1992年3月に公開された映画『ドラえもん のび太と雲の王国』のアニメコミックス新装完全版として2011年に発売されました。この映画は原作者の藤子・F・不二雄氏が1991年から4ヶ月に渡り「月刊コロコロコミック」に連載した長編まんがをもとに構成されています。

脚本と制作総指揮を藤子・F・不二雄氏自身が務めるなど、ファンの間では伝説と呼ばれています。

 

ストーリーは、雲の上に暮らす「天上人」が、環境破壊を引き起こす「地上人」を滅亡させようとする中、それを阻止するためにのび太とドラえもんが戦うという内容です。環境破壊に対する自然界からの怒りを「天上人」という概念で描いているのも特徴です。

 

映画ドラえもん のび太と雲の王国 新装完全版

原作者:藤子・F・不二雄 出版社:小学館 発売日:2011年2月28日

レジェンド環境マンガ3

風の谷のナウシカ(上)豪華装丁本

 

1984年に公開され大ヒットしたアニメ映画『風の谷のナウシカ』には、原作マンガがあることが知られています。 この作品で宮崎駿監督は、環境問題に直面した人間の破綻をテーマに創作に取り組んでいますが、映画版の内容と原作マンガの内容が異なるというのも興味深いところです。

 

こちらは雑誌「アニメージュ」に1982年2月号から13年間に渡り連載されたオリジナルコミックスを上下全2巻に分け、豪華装丁本としてまとめた愛蔵版。上巻には第1章「風の谷」〜第4章「破局へ」が収録され、巻頭のカラーイラストや巻末には「風使いの腐海装束」などファン垂涎のイラストも収録されています。

 

風の谷のナウシカ(上)豪華装丁本

著者:宮崎駿 出版社:徳間書店 発売日:1996年11月28日

 

レジェンド環境マンガ4

ゴミック新作集17−3 地球ファーストを!

 

日本で最初に「環境マンガ」を描いた人物は、廃棄物管理や環境影響評価、環境教育を専門に京都大学で教鞭を取り、京エコロジーセンターの前館長でもあった「ハイムーン」こと高月紘(たかつきひろし)京都大学名誉教授です。

環境漫画家と名乗ったのもハイムーン氏が最初といわれ、それまで自費出版していた環境マンガを1982年雑誌「月刊廃棄物」(日報ビジネス株式会社)で連載開始しました。

 

環境問題を風刺したマンガはその後「漫画ゴミック 廃貴物第1集〜9集」などにまとめられます。(※コミックをゴミック、廃棄物を廃貴物と表現)

ハイムーン氏の活動は多くの漫画家にも刺激を与え、1991年には第1回環境マンガ展「地球が泣いている」を開催するまでになり、著名な漫画家が参加しました。ハイムーン氏は現在も作家活動を続け、2024年11月の大統領選挙で返り咲いたトランプ氏を風刺する作品を自身のサイトで発表しています。

 

ゴミック新作集17−3 地球ファーストを!

著者:ハイムーン 掲載:ハイムーン工房 ギャラリー(ウェブサイト)

レジェンド環境マンガ5

SEED(シード)

 

『SEED』は集英社の「ビジネスジャンプ」で連載されていたマンガで、漫画原作者のきむらはじめ氏(1946年〜2004年)が「ラデック・鯨井(くじらい)」名義で原作を担当。本庄敬氏の作画で1996年にスタートしました。 主人公は発展途上国の農業開発に携わる森野広。日本はもとよりベトナムやボルネオ島など世界各地をまわり、現地の人々とのやり取りや政府開発援助の実態など、その描写のリアルさで話題となりました。

 

『SEED』は現在、電子書籍などで読むことができます。原作者のきむらはじめ氏は歴史や文化人類学、動物行動学、環境保護など幅広い見識を持ち、ひそかに環境活動家として活動していたという逸話も残っているほど。全10巻88話にも渡るストーリーとその本格的な内容は、環境問題に関心が高い人々からの多くの支持を集めています。

 

SEED(シード)

著者:ラデック鯨井 作画:本庄敬 出版社:集英社(現在は取り扱いなし)

まとめ

「マンガで環境問題を学ぶ」というテーマでおすすめのマンガを紹介しましたが、いかがでしたか?

古くは平安時代末期から鎌倉時代初期に描かれた『鳥獣戯画(ちょうじゅうぎが)』から始まり、江戸時代には北斎などの浮世絵師が活躍。明治維新後の風刺画を経て、戦後に急速に発展した日本が誇る「マンガ文化」は21世紀の現在「MANGA」や「ANIME」へと進化して世界中で親しまれています。

 

ありとあらゆるジャンルのマンガが日々、生み出されている様はまさに「多様性」といえるでしょう。

手塚治虫氏や藤子・F・不二雄氏、宮崎駿監督などのレジェンドたちが以前から環境問題をテーマにした作品を発表していたという事実からも、マンガで環境問題を学んだり、表現することはこれから先の未来のスタンダードになるはずです。


(参考1)環境省|環境白書

(参考2)環境省|カーボンニュートラルとは - 脱炭素ポータル

(参考3)公益財団法人日本ユニセフ協会(ユニセフ日本委員会)|SDGsってなんだろう? | SDGsクラブ

(参考4)公益社団法人日本漫画家協会|日本漫画家協会の歩み

(参考5)国土交通省|第1章 日本のアニメ・マンガを取り巻く状況

マンガで環境問題!SDGsや環境破壊|地球のために読んでおきたい10冊

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