電気は私たちの生活に欠かせない存在です。しかし、電気の利用が環境問題に与える影響を考えたことはあるでしょうか?現在、日本の発電のほとんどは化石燃料による火力発電に依存しています。これは、地球温暖化や大気汚染などの原因となります。
電気と環境の関係について知識を深め、環境にやさしい社会を実現するための、私たちにできる行動を考えてみましょう!
電気の利用が環境に与える影響とは?
電気はその発明以来、私たちの生活に大きな影響を与えてきました。現代、私たちが電気によって受けている恩恵は計り知れません。
しかし、近年では気候変動の主な原因として温室効果ガスの排出量が問題になり、これまでの大量生産・大量消費・大量廃棄の経済や、環境への影響を無視した生活スタイル、産業構造を見直す動きが加速しています。
それでは、電気の利用が世界の温室効果ガス排出量と地球環境に与える影響は、実際どれほどなのでしょうか?
2024年、世界の温室効果ガス排出量は、依然として過去最高を上回ると予想されています。2020年には、世界全体で約540億トンのCO2が大気中に放出されたと報告され、この結果は2015年に採択されたパリ協定の目標を達成するには程遠いものだと評価されました。
日本では2021年度、温室効果ガスの排出量は11.7億トン(CO2換算)で、そのうち発電など燃料を燃やすことで発生するエネルギー起源の温室効果ガスの排出量が84%を占めます。このことからも、私たちが利用する電気が、環境に与える影響は大きいと考えられます。
電気の使用は環境に良くないの?
電気を使う時、多くの場合ほとんど温室効果ガスを排出しないので、電気の利用自体が環境に悪影響を及ぼしているわけではありません。問題はどのように発電されたか、という点にあります。
出典:資源エネルギー庁『エネルギーを巡る状況について』p12(2024年5月)
上のグラフは世界各国の電源構成(※1)を表したものです。ヨーロッパを中心とした国々やカナダでは原子力・水力・再生可能エネルギーの割合が多いのに対し、そのほかの国では、まだ温室効果ガスを多く排出すると言われる化石燃料での発電に依存していることがわかります。
「世界の先進国の中で日本は再生可能エネルギーの導入が遅れている!」と思う人もいるのではないでしょうか。しかし、電源構成の割合だけをみて一概に導入が遅れていると判断するのではなく、別の視点で捉える必要があります。
(※1)電源構成
電源構成とは、電力を生み出す源泉(=発電属性)の構成比のことを指します。上のグラフでは天然ガス・石油等・石炭・原子力・水力・水力を除く再生可能エネルギー(風力・地熱・太陽光など)が挙げられています。
【各国の再エネ発電導入容量(2021年実績)】
出典:資源エネルギー庁『日本のエネルギー 2023年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」7.再エネ』
上のグラフは、各国の発電量で見たグラフです。
再生可能エネルギーによる発電量で見ると、再エネによる発電比率が高いフランスやイタリアに比べて、日本の方が再生エネによる発電量は多いことがわかります。
人口や産業などの様々な要因によって電力の需要量は大きく左右され、電力の需要量によって再生可能エネルギーの発電量も変わってきます。エネルギー問題は多角的な視点で考えなければ誤った解釈をしてしまうことがあります。
また、地球の大気に国境線はありませんから、温室効果ガスの削減も、排出量の多い国や再生可能エネルギー割合の低い国を批判するばかりでは解決になりません。
第一歩として、「人類と地球のために、世界全体が協力して取り組まなければならない課題」という理解が必要です。
化石燃料と非化石燃料
まずは化石燃料と非化石燃料について、明確にしておきましょう。
化石燃料の一般的なものとして、石炭、石油、天然ガスなどがあります。これらは地下から採掘されて発電に使われています。
最近では、シェールガスと呼ばれる新しい天然ガスも注目されています。従来の採掘方法とは異なり、岩盤の隙間からガスを取り出す方式なので、より多くのガスを得られるのが特徴です。
非化石燃料としては、近年注目されている再生可能エネルギーが代表的です。太陽光発電、風力発電、水力発電、地熱発電、バイオマス発電などがこれに当たります。
さらに、原子力発電も非化石燃料の一種です。原子力発電所では核分裂反応を利用して発電しており、CO2を排出しません。
そして最新の技術として、水素発電も注目されています。温室効果ガスが発生しない方法で作られた水素(=グリーン水素)(※2)を燃料として発電する仕組みで、CO2排出ゼロを実現できます。
(※2)グリーン水素
グリーン水素とは、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを利用して、電解法と呼ばれる水を電気分解する方法で製造される水素です。従来の水素(=グレー水素)は、化石燃料を改質して製造されるため、CO2を排出しますが、グリーン水素は製造過程でCO2を排出しないため、クリーンなエネルギー源として注目されています。
\電気にも種類がある?/
第一次オイルショックが起きた1973年には、日本の発電は94%も化石燃料に依存していましたが、東日本大震災が起きる前年の2010年には原子力や再生可能エネルギーの割合が増え、化石燃料への依存度は81.2%にまで減少します。
しかし震災の影響により福島第一・第二原子力発電所が全基停止したほか、全国の原子力発電所も一時停止して安全確認が行われ、2011年には電力全体の25.1%を占めていた原子力発電は、2014年には0%にまで減少します。2024年4月時点では、全国の原子力発電所50基中、24基が廃炉となり再稼働しているのは12基にとどまっています。
このような影響により、減少傾向にあった日本の化石燃料への依存度は再び増加しました。
出典:資源エネルギー庁『エネルギーを巡る状況について』p60(2024年5月)
震災後の日本では、原子力発電所の再稼働が検討される一方で、より災害に強く、持続可能な社会を目指して、再生可能エネルギーの導入が加速しています。
日本はこれまで、発電のほとんどを化石燃料による火力発電に頼ってきました。そのような状況からの化石燃料からの脱却は、簡単なことではありません。
日本の電力消費とエネルギー自給率
次は「エネルギー自給率」という視点から考えてみましょう。エネルギー自給率とは、ある国や地域で消費されるエネルギーのうち、その国や地域で生産されたエネルギーの割合を示す指標です。エネルギー自給率が高いほど、その国や地域が自国内でエネルギーを賄えている度合いが高いということを意味します。
【主要国の一次エネルギー自給率比較(2021年)】
出典:資源エネルギー庁『日本のエネルギー 2023年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」1.安定供給 エネルギー自給率の推移』
日本のエネルギー自給率がOECD諸国(※3)の中で最も低い理由は、化石燃料に乏しい地理的条件にあります。一方で、ノルウェーやカナダ、オーストラリアなどは、豊富な国内資源を活用できるため、自給率が極めて高くなっています。 また、ドイツやフランスなどの欧州諸国は、原子力発電の活用により、日本よりも高い自給率を達成しています。
エネルギー自給率が低いと、海外からの輸入に頼らざるを得なくなります。すると、国際情勢の変化によってはエネルギー供給が不安定になる可能性があります。
実際、ロシアのウクライナ侵略によって、LNG(※4)をはじめとするエネルギー情勢が大きな影響を受けています。エネルギー安定供給の確保は、日本にとって喫緊の課題なのであり、そのためにはエネルギー自給率を増加させることが必須なのです。
(※3)OECD
OECD(Organisation for Economic Co-operation and Development:経済協力開発機構)は、先進国が中心となり、経済、社会、環境に関する政策の調整や協力、研究を行う国際機関です。1961年に設立され、38カ国が加盟しています。
(※4)LNG
LNGとは、Liquefied Natural Gasの略で、液化天然ガスのことです。常温常圧では気体である天然ガスを液化することで、体積を約600分の1に減らすことができ、輸送や貯蔵が容易になります。
日本の再生可能エネルギー導入
近年、世界的に再生可能エネルギーの導入が加速しています。COP28の決定文書では、各国の状況に応じて、「1.5度目標」の実現に向けて、再生エネ発電容量を3倍、省エネ改善率を2倍にするという目標が掲げられました。
日本の再生可能エネルギー導入状況
日本における再生可能エネルギーの導入は、2012年に導入されたFIT制度(固定価格買取制度)によって大きく加速しました。FIT制度では、再生可能エネルギーで発電された電力を一定価格で買い取る仕組みとなっており、太陽光発電を中心に急速に導入が進みました。
2022年度における日本の再生可能エネルギーの発電量は121TWhに達し、電源構成における再生可能エネルギーの比率は21.7%となりました。2030年度には電源構成比で36~38%の再エネの導入を目指しており、より一層の再エネ導入が期待されます。
【2030年度エネルギーミックスにおける再エネの目標導入量】
出典:資源エネルギー庁『2023―日本が抱えているエネルギー問題(中編)』(2024年5月)
太陽光発電の導入状況
日本で最も導入が進んでいる再生可能エネルギーは太陽光発電です。2022年度の太陽光発電の発電量は926億kWhに達し、電源構成における太陽光発電の比率は14.2%となりました。
太陽光発電は、設置場所に制約があるものの、初期費用が比較的安価で、小規模なシステムでも導入しやすいというメリットがあります。近年では、住宅の屋根などに太陽光パネルを設置する家庭が増加しており、分散型電源としての役割も期待されています。
さらに現在、次世代型太陽電池であるペロブスカイト太陽電池(※4)の実用化に向けた取り組みも進められており、太陽光発電の効率やコストのさらなる向上が期待されています。
(※4)ペロブスカイト太陽電池
軽量で柔軟性に優れ、従来の太陽電池とは異なり、重量が軽く、曲げられるという特性を持つ次世代型の太陽電池です。これにより、これまで設置が難しかった場所にも、太陽電池を導入できるようになります。また、ペロブスカイト太陽電池の主要材料の一つであるヨウ素は、日本が世界シェアの30%を占めるという強みを持っています。
風力発電にも注目
風力発電は、陸上・海上に設置される風車の回転力によって発電する再生可能エネルギーです。日本では、風力発電の導入は陸上よりも海上の方が進んでおり、2022年度の海上風力発電の発電量は17TWhに達しました。
海上風力発電は、陸上風力発電に比べ、風量が安定しており、発電効率も高いというメリットがあります。近年では、浮体式風力発電の技術も開発されており、水深の深い場所にも風車を設置することが可能になりつつあります。
\エネルギーについてもっと知りたい/
省エネ・節電はなぜ必要なの?
省エネ技術が目覚ましい発展を遂げていますが、IT機器の爆発的な普及など、新しいライフスタイルの変化によって、再び家庭の電力消費は増加に転じる可能性もあります。今後も、私たち一人ひとりが、無駄な電力使用を避け、効率的な家電の利用を心がける努力がますます重要になります。
パリ協定のCO2削減目標
地球温暖化問題に本腰を入れて取り組むことを目的に、2015年にパリ協定が採択されました。この協定では、今世紀末までに地球の平均気温上昇を産業革命前に比べて2度未満に抑えることが目標に掲げられています。
さらに、1.5度にまで抑えるよう努力を続けるということも定められています。この目標を達成するためには2050年までにカーボンニュートラルを達成する必要があると言われています。
温室効果ガス排出削減目標
日本政府は、地球温暖化対策に本腰を入れています。2020年10月には、菅内閣総理大臣(当時)が2050年までにカーボンニュートラル、つまり脱炭素社会の実現を宣言しました。
そして2021年4月には、2030年度までに2013年度比で46%のCO2削減を目指し、さらに50%の高みを目指すことを表明しています。2021年に閣議決定された内容では、家庭部門のCO2削減目標は、2013年度比で66%減とされています。
家庭のCO2排出量と電力消費
電気は、今や私たちの生活に欠かせないエネルギーです。私たちの日常生活で使うエネルギー量や、それによるCO2排出量を見ていきましょう。
家庭からのCO2排出量
【エネルギーミックスにおける最終エネルギー需要の推移】
出典:資源エネルギー庁『2023―日本が抱えているエネルギー問題(後編)』(2024年5月)
家庭部門からのCO2排出量は、全体の14.6%を占めています。この数値は産業や運輸部門と比較すると、確かに割合としては小さいですが、この部分は私たちの生活習慣や行動次第で増えたり減ったりします。
つまり私たちの行動次第で、直接的に減らせる部分なのです。
家庭からのCO2排出量のうち、電気由来の排出は47.2%です。また、ガソリン由来の排出が24.1%、都市ガス由来が9.1%、灯油由来が7.8%と続いています。(2022年実績)
家庭部門の電力消費は、1965年頃までは主に灯油やガスなどの利用が中心でしたが、その後、家電製品の普及により大きく増加してきました。最近では、省エネ性能の高い製品の登場や節電意識の向上で、少しずつ減少傾向にあります。
家庭における消費電力
2021年度の家庭部門のエネルギー消費を用途別にみると、最も大きなシェアを占めているのが「動力・照明他」の32.9%です。これは家電製品の使用などによる電力消費が主な内訳となっています。
冷房は2.4%と、まだまだ小さな割合ですが、近年の夏の猛暑への対策として、エアコンなど冷房器具への需要が高まるにつれて、増加が予想されています。
【主要家電製品のエネルギー消費効率の変化】
出典:資源エネルギー庁『令和4年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2023)第2節 部門別エネルギー消費の動向』
上のグラフは主要家電製品ごとのエネルギー消費効率の推移を表したものです。このグラフからも、エアコンと冷蔵庫に関しては、省エネ化が進んでいるので、あまりに古いモデルを使い続けるのは非効率と考えることができます。
家庭でできる省エネ・節電
家庭でも、日々の生活の中で様々な省エネ・節電の取り組みができます。実は、このような普段の生活の中の小さな心がけの積み重ねが、温室効果ガス排出削減に向けた最も基本的かつ重要な行動なのです。
家電による省エネ
省エネにはいくつかの方法がありますが、まず押さえておきたいのは「家電の買い換え」です。家電製品は年々どんどん省エネ性能が向上しているので、古い製品から新しい省エネ性能の高い製品に交換することで、大きな節電効果が期待できます。
特に、冷蔵庫やエアコンなどの家電は、長期間使い続けることで電気代の無駄が蓄積していきます。家電の買い換えはトータルコストで見れば、高額投資に見えても、長期的な電気代の節約で十分に元が取れるのです。
省エネ性能の目安となるのが、家電製品に表示されている「統一省エネルギーラベル」です。このラベルでは、製品の省エネ性能が最大5つ星で表示されています。星の数が多いほど省エネ性能が高いと言えます。
5つ星製品は本体価格がやや高めになりがちですが、毎月の電気代を大幅に節約できるので、トータルコストではお得になります。例えば、冷蔵庫の場合、5つ星製品と2つ星製品を比べると、年間の電気代が約4,200円も違います。また、製品の省エネ性能は年々向上しているため、10年前の製品と今の製品では大きな差がついています。20年前の製品と今の製品を比べると、なんと年間14,000円もの電気代の差がつくのです。
住宅づくりによる省エネ(ZEH)
快適な暮らしと、光熱費の削減、地球温暖化対策に一石三鳥。そんな夢のような暮らしを実現できるのが、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)と呼ばれる省エネ住宅です。
ZEHとは、高断熱・高気密化や高効率設備の導入によってエネルギー消費を抑えつつ、太陽光発電などでエネルギーを作り出し、年間の正味エネルギー消費量をおおむねゼロ以下にする住宅のことを指します。
省エネ性能が高いZEHでは、少ないエネルギーで室温を快適に保てるので、冷暖房によるCO2排出量を大幅に削減できます。さらに、室温差によるヒートショックなどのリスクを軽減でき、健康面でのメリットも期待できるのです。 また、ZEHは電力の自給自足が可能なので、停電時にも自宅の発電設備を使えるという防災面の強みもあります。
出典:環境省『暮らしの10年ロードマップ』p3(2024年2月)
\家計にもやさしいエコハウス/
\エネルギーを自給自足する生活ってどんな感じ?/
家庭でできる節電
節電は工夫次第で様々な方法があります。ここでは環境省が推奨する節電7つのポイントを紹介します。
①こまめに電源オフ
- テレビ、パソコン、エアコンなど、使用していないときは電源をこまめにオフにする
- 充電器やコンセントタップは、使用していないときはプラグを抜く
- 照明は必要な場所だけ点灯する
- 外出時や就寝時は、部屋全体の照明を消す
②待機電力を削減
- テレビ、パソコン、エアコンなどの家電製品は、電源オフにするだけでなく、コンセントを抜く
- 充電器やコンセントタップは、使用していないときはプラグを抜く
- 家電製品の電源コードは、束ねて整理する
- 待機電力削減機能付きのコンセントタップを使う
③エアコンで節電
- まずは窓のカーテンを活用
- エアコンのフィルターは2週間に1度程度、掃除を行う
- 室外機の周りには物を置かないようにする
- 室内で扇風機やサーキュレーターを組み合わせる
- 夏は28度、冬は20度を目安に設定
④冷蔵庫で節電
- ドアの開閉時間を短く、頻度を減らす
- 設定温度を夏は「中」、冬は「弱」に設定する
- 物を詰め込みすぎずに、中身を整理整頓する
- 熱いものは冷ましてから入れる
- 冷蔵庫を壁から5cm以上離して設置する
- 傷んだパッキンは交換する
⑤照明で節電
- 照明器具を定期的に掃除し、明るさを維持する
- 不要な照明はこまめに消灯する
- 待機時消費電力を抑えるため、スイッチを確実にOFFにする
- インバーター式の省エネ型照明器具に買い換える
- 白熱電球を電球型蛍光灯やLED電球に交換する
⑥テレビで節電
- 視聴していないときは、主電源をOFFにする
- ゲーム機の電源を消した後は、テレビの電源も忘れずにOFFにする
- 定期的に画面を乾いた布でふき、汚れを取り除く
- 必要以上に音量を上げないようにする
- 画面モードを省エネモードに設定する
⑦生活スタイルで節電
- 早寝早起きで夜の電力消費を抑える
- 家族みんなで一つの部屋に集まる
- 外出時はこまめに電源オフ
- 洗濯物はまとめて洗う
- 節水は節電にもつながる!
\使う時の一工夫!/
家庭での創エネ・蓄エネ
低炭素社会の実現には、「創エネ」「蓄エネ」「省エネ」「熱エネ」の4つの取り組みが重要とされています。
「創エネ」とは、太陽光や風力、地熱などの自然エネルギーを利用して、CO2排出を抑えた電力を生み出すことです。太陽光発電パネルの設置など、家庭でも創エネに取り組めます。 自宅で発電し、発電時の熱も利用できる「エネファーム」も創エネに分類できます。
「蓄エネ」は、発電量が変動する自然エネルギーを安定的に活用するために重要な技術です。蓄電池の活用により、エネルギーを貯めておくことがことができるのです。 省エネとの組み合わせにより、家庭でも創エネと蓄エネを推進することで、エネルギーの自給自足に近づくことができます。
もうひとつの「熱エネ」は、熱をエネルギーとして有効活用することです。先ほど紹介したエネファームの発電時の熱を給湯に使ったり、屋根の上に設置する「太陽光熱温水システム」や、地下から熱エネルギーを取り出しヒートポンプと組み合わせて暖房や給湯に利用するなどの例が熱エネに当たります。
出典:環境省『ZEBを実現するための技術』
\創エネ・蓄エネについて簡単に解説/
まとめ
電気は現代社会にとってなくてはならない存在です。しかし、化石燃料を利用した発電方法は温室効果ガスの排出だけでなく、酸性雨、大気汚染、水質汚染などの原因にもなり、問題となっています。
日本は高度成長期の急速な発展とともに、非常に高い割合で化石燃料による火力発電に電力供給を頼ってきました。このような状況から、2050年カーボンニュートラルは簡単な目標ではありませんが、それに向けての日本の技術力向上や取り組みの促進は、他国のカーボンニュートラルへの取り組みを助けることにもなります。
最近、よく日本の縄文時代の生活や、江戸が資源循環型都市だったことが注目されています。日本人は本来、自然と共存する暮らしを送っていたのです。 今後、環境に配慮した電気利用は、社会全体でさらに進んでいく流れです。再生可能エネルギーの導入が進み、再生可能エネルギーの比率は高まっていくでしょう。また、日本では水素エネルギーの利用も推進されており、化石燃料に頼らない低炭素社会の実現に向けて着々と準備が進んでいます。
しかし、環境問題は政府や企業の取り組みばかりでは解決できません。私たち一人ひとりが、生活の中でできることから始めていくことが大切です。 家庭での節電や省エネ家電の活用、創エネと蓄エネへのチャレンジなど、将来の環境にやさしい暮らしのビジョンを持って、ライフスタイルを見直してみてはいかがでしょうか。地球と未来のために、できることから継続的に実践して、自然と共生しながら循環していく、持続可能な社会を実現しましょう。
参考・引用文献
【電気の利用が環境に与える影響とは?】
IEA『World Energy Outlook 2023』(2023年10月)
Climate Action Tracker『RELEASE: EU Commission's proposed 2040 target not quite 1.5°C compatible, pre-2030 action is key』(2024年2月)
気候変動適応情報プラットホーム『IPCC 第2作業部会 第6次評価報告書 特集ページ』
資源エネルギー庁『日本のエネルギー 2023年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」』(2024年2月)
環境省『令和5年版 環境・循環型社会・生物多様性白書 第2節 世界と我が国の気象災害と科学的知見から考察する気候変動』
資源エネルギー庁『2022—日本が抱えているエネルギー問題(前編)』(2023年9月)
資源エネルギー庁『2023―日本が抱えているエネルギー問題(前編)』(2024年4月)
資源エネルギー庁『2023―日本が抱えているエネルギー問題(中編)』(2024年5月)
資源エネルギー庁『2023―日本が抱えているエネルギー問題(後編)』(2024年5月)
資源エネルギー庁『「CO2排出量」を考える上でおさえておきたい2つの視点』(2019年6月)
資源エネルギー庁『エネルギーを巡る状況について』(2024年5月)
国立社会保障・人口問題研究所『人口統計資料集(2024)』(2024年2月)
資源エネルギー庁『次世代エネルギー「水素」、そもそもどうやってつくる?』(2021年10月)
資源エネルギー庁『原子力発電所の現状』(2024年2月)
経済産業省『OECD(経済協力開発機構)』
【日本の再生可能エネルギー導入】
資源エネルギー庁『2023―日本が抱えているエネルギー問題(前編)』(2024年4月)
資源エネルギー庁『2023―日本が抱えているエネルギー問題(中編)』(2024年5月)
資源エネルギー庁『日本の再エネ拡大の切り札、ペロブスカイト太陽電池とは?(前編)~今までの太陽電池とどう違う?』(2024年2月)
資源エネルギー庁『日本の再エネ拡大の切り札、ペロブスカイト太陽電池とは?(後編)~早期の社会実装を目指した取り組み』(2024年2月)
資源エネルギー庁『日本の多様な再エネ拡大策で、世界の「3倍」目標にも貢献』(2024年3月)
日経XTECH『2024年の太陽光導入量、発電事業用だけで36GW超』(2024年3月)
資源エネルギー庁『太陽光発電について』(2023年12月)
【省エネ・節電はなぜ必要なの?】
資源エネルギー庁『令和2年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2021)第2節 諸外国における脱炭素化の動向』
資源エネルギー庁『令和元年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2020)第1節 温暖化をめぐる動き』
資源エネルギー庁『令和4年度 家庭部門の CO2排出実態統計調査 結果について(確報値)』(2024年3月)
資源エネルギー庁『2050年カーボンニュートラルの実現に向けたZEB化の必要性』
【家庭のCO2排出量と電力消費】
資源エネルギー庁『2023―日本が抱えているエネルギー問題(後編)』(2024年5月)
JCCCA『4-06 家庭からの二酸化炭素排出量(2022年度)』
地球環境研究センター『日本国温室効果ガスインベントリ報告書 2024年』(2024年4月)
環境省『令和4年度 家庭部門のCO2排出実態統計調査事業委託業務(令和3年度調査分の集計等)報告書 』(2024年3月)
資源エネルギー庁『令和4年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2023)第2節 部門別エネルギー消費の動向』
環境省『2022年度の我が国の温室効果ガス排出・吸収量について』(2024年4月)
資源エネルギー庁令和4年度(2022年度)エネルギー需給実績を取りまとめました(確報)(2023年11月)
【家庭でできる省エネ・節電】
資源エネルギー庁『統一省エネラベルを見てみよう!』
環境省『脱炭素につながる新しい豊かな暮らしの10年後』(2024年2月)
環境省『COOL CHOICEエコ住キャンペーン〜家の断熱性能を高め、冬は暖かく、夏は涼しい家で暮らそう〜』
環境省『冬暖かく夏涼しい快適な暮らしを実現 健康や経済性、防災面のメリットも』(2019年6月)