持続可能性や倫理性を軸にした「エシカル就活」に注目が集まっています。SDGsやCSR活動に共感し、未来志向のキャリア形成を目指す人々の間では、今後「あたりまえ」になると予想されている就職活動に対する新しい価値観です。
しかし、エシカルな企業選びには情報リテラシーや多角的な視点が必要です。搾取ではなく循環を目指すこれからの時代に、充実した職場と社会貢献を両立させるためには何が必要なのでしょうか?
エシカル就活とは?
単に給与や福利厚生だけでなく、企業の社会的責任や環境への取り組みを重視する「エシカル就活」は、従来の就職活動の枠を超えた新しい価値観に基づく就職活動です。
「エシカル就活」という言葉には「倫理的な観点から企業を選び、社会貢献を重視する就職活動」という意味合いがあります。 それでは、エシカル就活の具体的な内容について見ていきましょう。
エシカルの定義と普及
エシカル就活の「エシカル」とは「倫理的」「道徳的」という意味を持つ言葉です。例えば、消費行動(エシカル消費)においては、物の購入の際などに、人・社会・地域・環境に配慮した選択をします。
エシカル消費の実践度は年々上昇しており、令和5年度の調査では全体の27.4%が実践していると回答しています。
出典:消費者庁『令和6年度第3回消費生活意識調査結果について』p.3(2024年11月)
エシカルな企業とは?
エシカルな企業とは、利益追求だけでなく、社会や環境に対して積極的に貢献する企業のことです。さらに具体的に言えば、環境保護活動、人権尊重、地域社会への貢献、公正な取引、従業員の労働条件改善などに取り組んでいる企業が「エシカルな企業」に当たります。このような企業は、SDGs(持続可能な開発目標)の達成にも貢献しています。
マッチングサイト「BaseMe」について
社会課題に取り組む企業と学生をつなぐ「BaseMe」(旧:エシカル就活)というマッチングサイトも存在します。このサービスは、従来の就職活動で業種や職種だけでは見えにくかった「社会課題への取り組み」などの「価値観」を軸に企業を選べる点が特徴です。
創設者の勝見仁泰氏は、自身の就職活動で感じた理想と現実のギャップからこのサービスを立ち上げました。環境や社会への配慮が企業の評価基準となり、登録企業は厳選されています。
また、学生は社会課題ごとに企業を検索でき、企業との直接的なコミュニケーションも可能です。特に、持続可能な社会を目指す若者の視点を反映し、SDGsやESGに関心の高い学生と企業のマッチングを促進しています。
このようなサイトは現在複数あるので、就職先の候補を探す際には、いくつかのサイトを比較検討するとよいでしょう。
エシカル就職はSDGsにも貢献
エシカル就活を通じて就職することは、SDGsの達成にも貢献します。特に目標12「つくる責任 つかう責任」に関連が深く、持続可能な生産と消費のパターンを確保することにつながります。また、人権経営を重視する企業を選ぶことで、他のSDGs目標の達成にも間接的に貢献できます。
出典:内閣府『消費生活の未来に関する調査報告書』p.18(2024年4月)
2030年以降はZ世代(※1)が社会の中心となり、エシカルな消費や就職がより一般的になると予想されています。エシカル就活は、単なる一時的なトレンドではなく、社会全体の持続可能性を高める社会の変化と考えてもいいでしょう。
この消費者のエシカル志向に応えるため、経済産業省主導のもと、大企業だけでなく中小企業の間でも社会貢献活動や環境保護への取り組みが広がっています。
(※1)Z世代
1990年代半ばから2010年代前半に生まれた世代のこと。特徴として、デジタルネイティブとして生まれ、高いデジタルリテラシーを持つ人が多い。また、多様性を重視し、自分らしさや個性を大切にする傾向があると言われている。
エシカル就活が注目される背景
エシカル就活が注目される背景には、現代社会が直面する多くの課題と、それに対する若い世代の価値観の変化が大きく関係しています。特にZ世代を中心に、環境問題や社会的課題への意識が高まり、企業選びの基準として「持続可能性」や「倫理性」が重視されるようになっています。
かつては、企業規模や給与水準が就職先選びの主な基準でしたが、近年、社会情勢の変化とともに、人々の価値観は多様化しています。エシカル就活が注目されるようになった主な背景を、さらに具体的に確認していきましょう。
環境問題や社会的課題への関心の高まり
環境問題や社会的課題は、エシカル就活が注目される大きな要因です。気候変動や資源枯渇、人権侵害など、地球規模の問題に対して多くの人が強い危機感を抱いています。
特にZ世代は、SDGs(持続可能な開発目標)やCSR(企業の社会的責任)といった概念が広まった社会で育ち、それらに共感する傾向があります。例えば、令和5年度の調査では、多くの学生が「地方創生」や「省エネ」といったエシカルな企業活動に注目していることがわかっています。
\CSRってどんな意味?英略語を調べよう/
社会全体の価値観の変化
近年、物質的な豊かさよりも心の豊かさを求める価値観が広がっています。Z世代を中心とした若者たちは、自分たちが働く企業にも同じ価値観を求めるようになってきました。
また、「企業が学生を選ぶ時代」から「学生が企業を選ぶ時代」へと転換していることも背景にあります。そのため、企業側も求職者から選ばれるために、自社のエシカルな取り組みを積極的にアピールする必要性が高まっています。
出典:内閣府『消費生活の未来に関する調査報告書』p.16(2024年4月)
情報の透明性向上
インターネットやSNSの普及により、企業活動の透明性が求められる時代になりました。消費者や求職者は、企業のCSR活動やESG評価(環境・社会・ガバナンス)などを簡単に調べることができるようになり、それらの情報は企業選びの重要な指標となっています。
例えば、大手家具メーカーIKEAはサプライチェーンでの児童労働問題への取り組みを公開し、多くの支持を集めています。また、日本国内でも「B Corp認証」(※2)など第三者評価によって、エシカルな企業として認知される企業が増加しています。
(※2)B Corp認証
環境や社会への配慮、従業員や地域社会への貢献などを評価する国際的な民間認証制度。アメリカの非営利団体「B Lab」が運営し、厳しい基準を満たした企業だけが取得可能。認証は「ガバナンス」「環境」「従業員」「顧客」「コミュニティ」の5つの視点から評価される。取得企業にはパタゴニアやダノンジャパンなどがある。
\商品のライフサイクルに合わせた対策を見える化/
企業の持続可能性が問われている
エシカル就活への注目は、企業側にも大きな影響を与えています。持続可能性を重視する経営戦略は、ブランドイメージ向上だけでなく、優秀な人材確保にも直結するようになってきました。
例えば、「人権経営」や「健康経営」を掲げ、公正な採用プロセスや労働環境改善に取り組む企業が増加しています。さらに、日本経済団体連合会による「人権尊重経営」(※3)の推進もあり、多くの企業がエシカルな取り組みを強化しています。また、企業活動におけるエシカルへの配慮は、消費者や投資家からも支持される傾向があります。
このような要因のすべてが相互に作用し合い、新しい就職活動の形態としてエシカル就活が広まっていると言えるでしょう。
(※3)人権尊重経営
人権尊重経営で企業は、企業活動により影響を受ける従業員、取引先、投資家、消費者、地域住民などさまざまなステークホルダーの人権を保護・尊重する責任を持つとされる。企業活動における人権尊重は、ESG投資においても重要な取組の1つと捉えられている。日本では2020年に「『ビジネスと人権』に関する行動計画(2020-2025)」が策定され、2022年に「責任あるサプライチェーン等における人権尊重のためのガイドライン」が公表された。
エシカル就活のメリット
エシカル就活には、求職者個人だけでなく企業、社会にもさまざまなメリットがあります。この章では、エシカル就活の主なメリットを紹介します。
自身の価値観と企業のビジョンを一致させやすい
エシカル就活では、自分の価値観と企業の理念や取り組みとの一致を重視します。これがうまく一致すれば、働きながら長期的な視点で自己実現を図ることができます。
例えば、環境保護とエネルギー問題に関心がある人であれば、再生可能エネルギーの利用を推進する企業を選ぶことで、日々の業務を通じて自身の価値観に沿った活動を実践できます。また、人権尊重を重視する人は、フェアトレードを推進する企業で働くことで、自身の信念を仕事に反映させることができます。
持続可能な社会の実現に貢献できる
エシカル就活を通じて選んだ企業で働くことは、持続可能な社会の実現に直接的に貢献することにつながります。SDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けて積極的に取り組む企業で働くことで、個人レベルでは難しい大規模な社会貢献を実現できます。
例えば、食品ロス削減に取り組む企業で働くことで、環境保護と資源の有効活用に貢献できます。また、途上国支援プロジェクトを展開する企業に就職すれば、グローバルな視点で社会課題の解決に携わることも可能になるでしょう。
社会貢献で自己効力感を実感できる
エシカル就活で選んだ企業では、日々の業務を通じて社会に良い影響を与えている実感を得やすくなります。例えば、環境保護に取り組む企業では、リサイクル率の向上や資源削減といった企業の成果が、自分の働きが社会に役立っている証として感じられます。
また、地域活性化を目指す企業では、地元住民との交流やイベント企画を通じて、地域社会の発展に貢献している実感を得られるでしょう。このような経験は、自己効力感(※4)を高め、仕事への意欲をさらに向上させる要因となります。
(※4)自己効力感
ある状況で必要な行動を自分が効果的に実行できるという信念のこと。単なる自信とは異なり、具体的な経験や根拠に基づく。自己効力感を高めることは、チャレンジ精神を養い、目標達成の可能性を高めるなど、個人と組織の両方にとって有益であると広く認められている。
仕事へのモチベーションの維持
エシカル就活を通じて選んだ企業で働くことで、社会貢献と個人の成長や自己実現が同時に叶います。例えば、食品ロス削減に取り組む企業で働く場合、新しい保存技術の開発や流通システムの改善など、創造的な課題解決に携わる機会が多くあります。
このような業務への取り組みで、専門性の向上と社会貢献の両立が実現し、キャリアアップと社会的意義の実感が相乗効果を生み出すことで、長期的に仕事へのモチベーションを維持することが期待できます。
企業文化との適合性が高まる
エシカル就活では、企業の価値観や文化を重視して選考を行うため、入社後の企業文化への適合性が高まります。例えば、ワークライフバランスを重視する企業を選んだ場合、従業員の健康や私生活を尊重する文化の中で働くことができます。
これにより、ストレスの少ない職場環境で長期的に活躍できる可能性が高まります。また、多様性を重視する企業を選べば、様々なバックグラウンドを持つ同僚と協働する機会が増え、グローバル社会で必要とされる柔軟性や異文化理解力を養うことができるでしょう。
エシカル就活は、企業側にとっても、志を同じくする人材を獲得できるというメリットがあります。個人と企業、そして社会全体にとって、持続可能な未来を築くための効果的な就職活動と言えるでしょう。
エシカル就活のデメリット・課題
エシカル就活にはメリットが多く、理想的な選択肢のように見えますが、実際には様々な課題や潜在的なデメリットも存在します。エシカル就活における主なデメリットや課題もしっかりと理解し、就職や転職の企業選びの際には留意しておきましょう。
エシカルな基準を満たす企業が限られる可能性
エシカルな基準を満たす企業は、現状ではまだ限られています。多くの企業がCSRやSDGsへの取り組みを始めていますが、十分に「エシカルな企業」となるには移行期間が必要です。
例えば、2024年の中小企業白書によると、SDGsへの取り組みを行っている中小企業は増加傾向にあるものの、まだ全体の約30%にとどまっています。このため、就職先の選択肢が狭まる可能性があり、特に地方や特定の業界では、エシカルな企業を見つけることが難しい場合があります。
企業選びに時間がかかる
エシカル就活では、企業の社会的責任(CSR)やサステナビリティへの取り組みを深く理解する必要があります。企業がどのように環境問題に取り組んでいるか、従業員の働きやすい環境を整えているかなどを調べることは欠かせません。
例えば、ある企業が「環境負荷削減」を掲げている場合でも、その取り組みが実際どれほど効果的かを見極めるには、公開情報だけでなく第三者評価や認証情報も確認する必要があります。このようなリサーチには時間がかかりますが、自分の価値観に合った企業を選ぶためには、とても重要なプロセスです。
一見手間に感じられるかもしれませんが、自分自身の納得感や将来のキャリア満足度につながる投資と考えると、時間を割いて取り組む価値は非常に大きいと言えるでしょう。
\環境問題解決カンパニーを探そう!/
グリーンウォッシュ企業
グリーンウォッシュとは、実際には環境に配慮していないにもかかわらず、環境に優しいと偽って宣伝する企業の行為を指します。近年でも、時々新聞などで一部の企業の環境配慮がグリーンウォッシュである可能性が指摘されています。
一般的に、このようなグリーンウォッシュ企業を見抜くことは難しく、エシカル就活においても誤って選択してしまう可能性があります。エシカルな企業を見極めるためには、より深い調査と批判的思考が必要となります。
キャリアパスの制限
エシカルな企業を選ぶことで、個人的なキャリアの構築が制限されたり、職業選択の自由度が制限されたりする可能性があります。これは「自身の成長の道が狭められる可能性がある」とも考えることができます。
2022年の厚生労働省の報告書によると、主体的なキャリア形成には多様な経験が重要です。しかし、エシカルな企業のみに絞って就職すると、経験できる業務や役割が限定される場合があります。
経済的な不利益
CSRへの取り組みは短期的には企業の利益を圧迫する可能性があると指摘されています。エシカルな企業は、社会貢献や環境保護に多くのリソースを投入するため、現時点では従業員の給与や福利厚生面で他の企業に劣る可能性があります。
エシカル就活には、このようなデメリットや課題も存在します。重要なのは、これらの課題を認識したうえで、自分の価値観や優先順位に基づいて判断することです。
一方で、サステナビリティやエシカルな事業実践は、今後ますます重要になると予想されます。このような分野でのキャリア構築は、将来的に価値ある経験となる可能性が高いと言えるでしょう。エシカル就活では、長期的な視点に立って、個人のキャリアと生活、社会貢献の間で無理のないバランスを取ることを心がけましょう。
\事業活動で社会課題解決を目指すCSV経営とは?/
エシカル就活の実践方法
エシカル就活は、従来の就職活動とは異なるアプローチが必要です。自分の価値観に近い企業理念や、社会問題解決への取り組みを行う就職先を見つけることが重要であり、そのためには綿密な準備と調査が欠かせません。以下4つのステップで実践してみましょう。
Step1.自身の価値観や興味のある分野を明確にする
エシカル就活の第一歩は、自己分析です。自分が大切にしている価値観や、関心のある社会課題、取り組みたい活動などを明確にしましょう。例えば、環境保護、人権尊重、地方創生などの中で、特に重視する分野を絞り込みます。
一言で「エシカル」と言っても、企業によって力を入れている取り組みは様々です。自分の価値観により近い企業を選び出すためにも、この過程で、自分の過去の経験や学びを振り返り、どのような取り組みに興味があるのか、なぜその分野に興味を持ったのかを具体的に言語化することが重要です。
Step2.企業の取り組みを調査
次に、企業のCSR活動やサステナビリティへの取り組みを調査します。企業のウェブサイト、CSRレポート、サステナビリティレポートなどを詳細に読みこみましょう。また、ニュースやプレスリリースもチェックし、最新の取り組みを把握することが大切です。
エシカルな取り組みを表面的にアピールしている企業もあるため、その本質を見極めることが重要です。企業の歴史、経営理念、実際の事業内容などを総合的に判断し、本当に自分の価値観と合致するかを慎重に検討しましょう。
また、現役社員の声や地域での評判なども参考にして、企業文化や実際の働き方について理解を深めることも大切です。
Step3.企業リストアップ
調査結果をもとに、自身の価値観に合う企業をリストアップします。この際、単に有名企業を選ぶのではなく、具体的な取り組みや成果を基準にしましょう。
例えば、再生可能エネルギーの導入率、ダイバーシティ推進の実績、地域貢献活動の内容などを比較検討します。また、業界全体の動向も把握し、その中での各企業の位置づけを理解することが重要です。可能であれば現地に赴いて、実際の事業や働く人の様子を確認すると効果的でしょう。
Step4.履歴書や面接で自身の価値観を伝える
エシカル就活では、履歴書や面接で自身の価値観を明確に伝えることが特に重要です。単に「環境に興味がある」といった抽象的な表現ではなく、具体的な経験や学び、将来のビジョンを交えて説明しましょう。
例えば、大学時代のボランティア活動や、関連する課外活動の経験などを挙げ、そこから得た気づきや成長を伝えます。また、その企業で実現したい具体的な目標を語ることで、自身の熱意と適性をアピールできます。
エシカル就活は、自分の価値観と企業の理念を一致させる素晴らしい機会です。しかし、同時に従来の就職活動で重視される要素(給与、福利厚生、キャリアパスなど)も忘れずに検討することが大切です。バランスの取れた視点で企業を評価し、長期的なキャリアを見据えた選択をすることで、自分に合った職場を見つけることができるでしょう。
エシカル就活を実践するときの注意点
エシカル就活によって理想的な就職を実現するために、いくつかの注意点を押さえて活動しましょう。エシカル就活における課題をふまえ、以下に注意点をまとめます。
自分のリテラシーを磨く
エシカル就活では、あなた自身が情報を正確に理解し、評価する能力が求められます。例えば、企業が公表するCSRレポートやサステナビリティ報告書を読む際には、その内容が具体的で実効性があるかどうかを判断する力が必要です。また、「グリーンウォッシュ」のように、見せかけだけの環境配慮を謳う企業も存在するため、それを見抜くための知識や批判的思考も重要です。
また、SDGsやESGといった概念について基本的な知識を持つことで、企業の取り組みをより深く理解できます。こうしたリテラシーは、自分自身のキャリア選択だけでなく、面接時に説得力のある質問や意見を述べる際にも役立ちます。
企業の本質的な取り組みを見極める
エシカル就活では、企業の表面的なアピールだけでなく、その本質的な取り組みを見極めることが重要です。例えば、CSR活動やSDGsへの取り組みが単なるマーケティング戦略にとどまらず、経営方針や事業運営に深く根付いているかどうかを確認しましょう。
エシカルな側面だけでなく、他の要素も考慮
エシカル就活では、自分の価値観に合った企業選びが重要ですが、それだけに偏らないことも大切です。例えば、給与や福利厚生、勤務場所、働き方(リモートワーク制度など)、キャリアアップの可能性といった基本的な条件も慎重に検討しましょう。
また、自分自身がその企業で長期的に働き続けられるかどうかも重要です。たとえエシカルな理念に共感できても、その企業文化や職場環境が自分に合わない場合、満足度が低下する可能性があります。できるだけ多くの情報を集め、多角的な視点で企業を評価することが必要です。
長期的なキャリアビジョンを描く
エシカル就活では、自分自身の長期的なキャリアビジョンを明確にすることも欠かせません。短期的には理想的な選択肢でも、将来的なキャリアパスが限定される場合があります。そのため、自分がどのようなスキルや経験を積みたいのか、その企業で実現可能なのかをしっかりと考えることが重要です。
例えば、その企業でどれだけ専門知識や実務経験が得られるのか、自分の特性は活かせるのかなどを確認しましょう。また、転職の際に評価されるスキルセットを身につけられるかどうかも検討材料となります。
エシカル就活は、自分自身と社会双方にとって意義のある選択肢ですが、その成功には情報収集力や批判的思考、多角的な視点などさまざまなスキルが求められます。このような注意点を押さえ、自分に最適な職場環境の条件と将来のキャリア形成計画を具体的にしておきましょう。
まとめ
エシカル就活は、個人の価値観と企業の理念を一致させ、社会や環境に貢献できる仕事を見つける新しいアプローチです。この動きによって、企業側も採用方針の見直しを迫られています。
エシカル就活の本質は、「仕事とは誰かの役に立った対価をもらうもの」という認識に立ち返ることです。つまり、その企業で仕事をするとき、それが社会全体に良い効果を与えるか、将来も持続可能でよりよい社会、豊かな地球環境につながるかも考慮して仕事を選ぶことが「エシカル就活」です。
エシカル就活を実践する人が増えるという動きは、搾取ではなく循環の時代への移行も示しています。短期的な利益を追求するための搾取から脱却し、個人と企業、そして社会全体が資源や労働力、お金など、あらゆることを循環させる持続可能な社会の構築が求められています。 エシカル就職について知識を深めることは、自分自身のキャリアだけでなく、社会全体の未来を考える上でも重要です。
あなた自身は、どのような価値観を大切にし、どのような社会に貢献したいと考えていますか?また、その実現のために、今できることは何でしょうか? エシカル就活は、個人の幸福と社会の発展の両立が期待できます。現代では、一人ひとりが自分の価値観を大切にしながら、よりよい未来のために行動を起こすことで、誰もが持続可能な社会の実現に貢献できるのです。
参考・引用文献
【エシカル就活とは?】
厚生労働省|公正な採用選考をめざして(2022年)
消費者庁|令和6年度第3回消費生活意識調査結果について(2024年11月)
内閣府|消費生活の未来に関する調査報告書(2024年4月)
消費者庁|エシカル消費とは
消費者庁|マイエシカル消費 勝見仁泰さん
消費者庁|マイエシカル消費 「企業のエシカル通信簿」プロジェクトが目指すもの
環境省 ecojin |エシカル消費(2021年8月)
経済産業省|通商白書2021 第Ⅱ部 第2章 共通価値を取り込む新たな成長の要請(2021年6月)
消費者庁|エシカル消費に関する消費者庁新未来創造戦略本部の取組(2024年2月)
日本農業新聞|学生「エシカル就活」重視 企業PR、自治体も後押し(2025年2月)
日本私立大学協会|私大の力 <43> 「エシカル就活」とは学生たちの挑戦企業が「選ばれる」時代に
日本経済新聞|「倫理的な就活」広めたい 学生と企業に新たな出会いを(2022年5月)
日経XTREND|Z世代に人気「エシカル就活」って何? “脱・大量消費”が加速(2024年1月)
東洋経済ONLINE|50%が上位校「エシカル就活」を生んだ22歳の正体(2021年11月)
日経XWOMAN|型にはまる就活に違和感「エシカル就活」開設への思い(2021年7月)
Indeed|企業倫理とは?その定義、種類、例(2023年6月)
【エシカル就活が注目される背景】
法務省|今企業に求められる「ビジネスと人権」への対応 「ビジネスと人権に関する調査研究」報告書(2024年3月)
環境省 |第6回グッドライフアワード 取組概要「選択してもエシカル」「選択しなくてもエシカル」、 多様なエシカル製品の供給をめざして。株式会社 山櫻
環境省|環境省における資源循環に向けた取組(再資源化事業等高度化法案)について(2024年5月)
経済産業省|成長志向型の資源自律経済戦略の実現に向けた制度見直しに関する中間とりまとめ(案)
一般社団法人 日本経済団体連合会|人権を尊重する経営のためのハンドブック(2017年11月)
エシカル市場規模調査実行委員会|2022年のエシカル消費は約8兆円(2024年10月)
日経ビジネス|金の卵が志向する“倫理的な就活” Z世代は人権ネーティブ 問われる企業の包容力(2023年3月)
日経BizGate|よくわかる「エシカル消費」 注目する企業の危機感とは(2023年11月)
東洋経済ONLINE|価値観を買う。エシカルの可能性と課題(2014年2月)
Indeed|これからの企業選びに影響?エシカルに取り組む企業が増えているワケ(2022年9月)
Indeed|企業倫理とCSRを推進するための8つのベストプラクティス(2024年1月)
株式会社マイナビ|「マイナビ 2025年卒 学生就職モニター調査 6月の活動状況」を発表(2024年7月)
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ|企業選びの重視事項は「組織の特徴・環境の魅力」から「自分に合った仕事・働き方」へ 2025年新卒採用 大学生の就職活動に関する調査(2024年11月)
BCorporation|About B Corp Certification
【エシカル就活のメリット】
厚生労働省|働く人を大切にするヒント
経済産業省|経営へのCSRの統合による企業価値創造と競争力強化について(2011年3月)
経済産業省|通商白書2021 第Ⅱ部 第2章 3節 サステナブルな価値創造を行う企業行動に向けて(2021年6月)
経済産業省|健康経営の推進について(2022年6月)
経済産業省|健康経営優良法人 取り組み事例集(2020年3月)
日本経済新聞|「エシカル就活」って? SDGs時代の学生が注目(2020年10月)
経済産業省中小企業庁|CSRと人権ー先進的な企業の取組(2024年)
経済産業省中小企業庁|2024年版 中小企業白書 第1部 第4章 第4節 良質な雇用の創出と働き方改革(2024年6月)
Indeed|社会的責任や倫理観とは?(2023年10月)
Indeed|社会人に求められる誠実さとは?(2022年7月)
経済産業省中小企業庁|「CSR」で会社が変わる、社会が変わる
NTTコミュニケーションズ docomo business Watch|企業がエシカル消費に取り組むメリットとは?(2022年5月)
株式会社セブンアンド&ホールディングス|CSR(企業の社会的責任)とは?概要から企業が取り組むメリット、注意点まで(2024年8月)
【エシカル就活のデメリット・課題】
一般財団法人 企業活力研究所|「サステナビリティ経営の推進に向けた従業員の共感拡充・行動変容を加速するための対策のあり方」に関する報告書(2024年3月)
経済産業省中小企業庁|中小企業白書 2024 第4章 中小企業・小規模事業者が直面する課題と今後の展望(2024年6月)
厚生労働省|令和4年版 労働経済の分析 第4章 主体的なキャリア形成に向けた課題(2022年)
株式会社マネーフォワード|経営にCSRは必要?取り組むメリット・デメリットをわかりやすく解説(2023年6月)
株式会社三菱総合研究所|文化の視点で見たサステナビリティ経営の課題(2024年6月)
BBC NEWS Japan|環境にやさしいと宣伝、でも実は……「グリーンウォッシング」を見抜く7つの知識(2021年11月)
日本経済新聞|企業の環境配慮 実は「グリーンウォッシュ」の可能性も(2023年1月)
【エシカル就活の実践方法】
株式会社リクルート 就職ジャーナル|企業選びの基準7つ|自分に合った就職先の選び方&重視すること【事例付き】(2024年2月)
Yahoo!ニュース|採用での「倫理」とは? 社会の入口に立つ就活生に、この世は「嘘」や「建前」ばかりと思わせてよいのか(2021年9月)
Indeed|企業倫理の定義と職場での実践例(2022年7月)
株式会社リクルート 就活準備ガイド|「世の中への影響や貢献度の高い企業」に興味がある人の企業選びのコツ
株式会社リクルート リクルートエージェント|転職で必要な「自己分析」をカンタンにする方法を紹介!
株式会社リクルート 就職みらい研究所|就職白書 2024(2024年4月)
日経XWOMAN|グリーンウォッシュって何?見抜く・防ぐ5つのチェック(2021年11月)
【エシカル就活を実践するときの注意点】
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ|2024年新卒採用 大学生就職活動調査(2023年11月)
株式会社リクルート 就職ジャーナル|先輩の事例から学ぶ、就活「失敗しない」ためのポイント(2023年4月)
株式会社リクルート 就職ジャーナル|入社3年以内に人気企業を退職した先輩たちの就活失敗体験談「こうしておけば良かった…」(2018年8月)
株式会社リクルート リクルートダイレクトスカウト|【転職先の選び方】転職して後悔しないために知っておきたい判断基準(2024年5月)
株式会社リクルート リクルートダイレクトスカウト|【2023年】環境・エネルギー(グリーン)/サステナビリティの転職市場は今後どうなる?(2023年3月)
日経BizGate|「SDGs」が共通言語 Z世代が就活で重視すること(2024年3月)
日経XWOMAN|知って損なし! 入社前にブラック企業を見分けるコツ(2019年8月)