5月30日が「ごみゼロの日」ということを知っていますか?
本記事では、ごみゼロの日の誕生の背景、実際にごみゼロを目指して取り組まれている活動のほか、日本が直面するごみ問題や解決方法について解説します。また、後半には、2025年に開催されるごみゼロイベントの情報も紹介します。
ごみについて詳しく知り、環境問題解決を目指して行動を起こすきっかけにしてみてください。
ごみゼロの日って?
「ごみゼロの日」は、環境保護や街の美化を促進するために設けられた記念日です。毎年5月30日に定められており、「ご(5)み(3)ゼロ(0)」という語呂合わせが由来となっています。
この日は、ゴミの削減やリサイクルの推進、そして持続可能な社会の実現を目指して、全国でさまざまな活動が展開されます。ここでは、ごみゼロの日の誕生の背景や、ごみゼロの日に実施されている取り組みについて詳しく紹介します。
それではさっそく見ていきましょう。
ごみゼロの日の由来と背景
ごみゼロの日の起源は1970年代にまで遡ります。
愛知県豊橋市において「自分のゴミは自分で持ち帰る」ことを合言葉に、「530(ごみゼロ)運動」がはじまりました。そしてこの活動は、次第に地域社会や全国にも広がっていきます。
1993年には、厚生省(現:厚生労働省)が5月30日を初日とする「ごみ減量化推進週間」を制定し、全国的な環境保護活動の機運が高まりました。
ごみゼロの日に行われている取り組み
ごみゼロの日には、全国各地で環境保護を目的とした活動や啓発イベントが行われています。実施主体は、自治体や企業、学校、地域住民などさまざまです。
以下に、具体的な取り組みの例を紹介します。
「ごみ減量・リサイクル推進週間」
1993年に厚生省(現:厚生労働省)が制定した全国的な環境啓発週間です。毎年5月30日から6月5日までの1週間、自治体や企業、学校などが協力して、ごみの分別・リサイクルの啓発活動や清掃活動、不法投棄パトロールなどが実施されます。
環境省と公益財団法人日本財団「春の海ごみゼロウィーク」
環境省と公益財団法人日本財団が共同で実施する全国規模の清掃キャンペーンです。毎年5月30日を含む一定期間に、海岸や河川、街中のごみ拾い活動をおこない、海洋ごみの削減を目指します。
2023年度には、全国約1,100カ所で約46万人以上が参加し、大規模な清掃活動が実施されました。活動は自治体や企業、市民団体が主体となり、ボランティアの協力を得ながら進められています。
なお、毎年9月にも、「秋の海ごみゼロウィーク」として同様の活動が展開されています。
埼玉県「春のプラごみゼロウィーク」
埼玉県が主催するプラスチックごみ削減を目的としたキャンペーンです。埼玉県は県土に占める河川の割合が大きいことから、河川から海洋に流れ出るゴミ問題について県民の環境意識向上を目指した取り組みがおこなわれています。
期間中、県内の自治体や企業、学校が協力し、プラスチックごみの回収・分別活動や啓発イベントを実施します。
神奈川県逗子市「逗子530ごみゼロアクション」
神奈川県逗子市の市民団体「逗子ゼロ・ウェイスト」が主導する、ごみ削減を目的とした地域密着型の活動です。JR逗子駅から逗子海岸までの道のりを歩きながら、ごみ拾いをおこないます。
逗子ゼロ・ウェイストでは、ゴミ拾いイベント以外にも住民参加型のワークショップや学習会を開催するなど、ゴミ削減への意識を高める機会を提供しています。
日本が直面するゴミ問題
ごみゼロの日の制定をはじめ、ゴミの減量やリサイクルが社会全体で推進される背景には、ゴミの排出量増加に伴う処理施設の不足や環境への負荷といった課題があります。
ここでは、日本が直面するゴミ問題について、原因、影響、現状の3点から解説します。
詳しく見ていきましょう。
ゴミ問題の原因
ゴミ問題の主な原因は、大量生産・大量消費・大量廃棄の経済システムが発展したことにあります。
かつて日本には、ゴミを回収・修理・再生する文化が根付いており、排出量を抑える仕組みが整っていました。しかし、戦後の高度経済成長にともない、所得の向上とともに消費行動が変化し、大量生産と大量消費が当たり前となった結果、ゴミの量が急増します。
また、利便性を重視する考え方の広がりや、安価で手に入る商品の増加によって、ものを大切にする意識が薄れたことも影響しています。使い捨て商品の普及や過剰包装が、その代表例です。
環境や社会への影響
ゴミ問題は、環境や社会にさまざまな悪影響を及ぼしています。
例えば、ゴミの焼却や運搬時に発生する温室効果ガスは、地球温暖化を加速させる原因のひとつです。また、海洋ゴミの増加は、生態系に深刻な影響を与えており、誤ってプラスチックを飲み込んでしまう海洋生物の被害が報告されています。また、マイクロプラスチックの問題も深刻化しており、人間の健康被害につながっているという研究もあります。
さらに、不適切なゴミ処理は、公衆衛生の悪化を引き起こし、害虫の発生や感染症の拡大につながる可能性もあります。
ゴミ問題の現状
日本では、2017年度から2021年度の5年間でゴミの総排出量が約200万トン減少し、最終処分量も毎年減少傾向にあります。
しかし、リサイクル率は毎年20%前後で横ばいが続いており、最終処分場の残余容量も年々減少しています。さらに、新たな最終処分場の建設が進まないこともあり、最終処分場の数や残余容量の確保は引き続き大きな課題となっているのが現状です。現在のゴミの排出量のまま推測すると2040年には埋立地がなくなるとも言われています。
こうした状況に対応するためには、国や自治体、企業、そして個人が一体となって取り組む必要があります。ゴミの削減やリサイクルの促進を強化し、持続可能な社会の実現に向けた具体的な対策が求められています。
ゴミ削減のための企業の取り組み
令和4年度の産業廃棄物の排出量は、約3億7,000万トンに上りました。その大半を、汚泥やがれき、動物のふん尿などが占める一方で、プラスチックや金属くずといった廃棄物も発生しています。
このような状況を受け、多くの企業が資源の有効活用や廃棄物の削減に向けた施策を進めています。ここでは、企業のゴミ削減のための取り組み事例を3つ紹介します。
詳しく見ていきましょう。
事例1:ユニクロ
ユニクロでは、不要になった衣類を回収し、リユースやリサイクルをおこなう「RE.UNIQLO」プログラムを展開中です。
回収された衣類のうち、まだ着用可能なものは難民キャンプや被災地への支援などに活用されます。着用が難しいものは新たな衣類の原料となったり、断熱材や防音材などの素材に再利用されたりします。
衣類のリユースやリサイクルの取り組みは、ゴミの削減だけでなく、資源循環型の生産システムの構築にも貢献しているといえるでしょう。
事例2:パナソニック
パナソニックは、使用済み家電製品のリサイクルに積極的に取り組んでいます。
エアコンやテレビ、冷蔵庫、洗濯機などの家電製品を回収し、素材ごとに分別・再資源化する仕組みを構築することで、廃棄物の削減と資源の有効活用を両立させているのが特徴です。
また、自社工場においても廃棄物ゼロを目指し、製造工程で発生する廃棄物を徹底的に分別し、再利用できる仕組みを導入しています。
事例3:イオン
イオンは、食品ロス削減を目的としたさまざまな施策を展開しており、2025年までに食品廃棄物の発生原単位(売上百万円あたりの食品廃棄物発生量)を2015年度比で50%削減する目標を掲げています。
具体的には、以下のような取り組みを実施しています。
・ライフスタイルの変化に合わせたサイズや容量の見直し
・AIを活用した最適価格の設定による商品の売り切り促進
・店舗から出るゴミの分別と「見える化」による排出量の把握
・食品残さの飼料化・燃料化によるリサイクルの推進
これらの取り組みにより、企業としての社会的責任を果たしながら、廃棄物削減と持続可能な社会の実現を目指しています
個人でもできるゴミ問題解決アクション
ゴミ問題の解決には、企業や団体だけでなく、個人の取り組みも重要です。ここでは、誰でも簡単にはじめられるゴミ問題解決のためのアクションを紹介します。
これらの活動に一人ひとりが取り組むことで、ゴミ問題の改善に貢献できます。
ゴミ拾い
ゴミ拾いは、個人でも団体でも取り組めるゴミ問題解決アクションのひとつです。
個人でのゴミ拾いは、散歩や通勤時にも気軽におこなえます。ゴミ袋やトング、軍手などを持ち歩き、目についたゴミを拾うだけです。小さな行動が、街の美化につながります。
団体でのゴミ拾いは、より大きな成果が期待できます。例えば、地域のクリーンアップ活動に参加したり、職場や学校でイベントを企画したりすることで、楽しみながら環境保護に貢献できます。
3R
3Rとは、リデュース(Reduce)、リユース(Reuse)、リサイクル(Recycle)の頭文字をとったものです。
リデュース (Reduce) |
ゴミの発生を抑えること。 <例> マイボトルを持ち歩いてペットボトル飲料の購入を控える 過剰包装を断る など |
リユース (Reuse) |
繰り返し使うこと。 <例> マイバッグやマイ箸を使用して使い捨て品の使用を減らす フリマアプリや中古品販売店を利用する など |
リサイクル (Recycle) |
資源として再利用すること。 <例> 適切に分別し、資源回収に出す 生ゴミを退避や資料に加工する など |
3Rには優先順位があります。まずリデュースでゴミの発生量を減らし、次にリユースでものを大切に使い、最後にリサイクルして再利用するという順番で取り組むことが大切です。
新しいR
従来の3Rに加え、以下のような新しいRの概念も注目されています。細かく挙げるとその数は25個以上になります。
リフューズ (Refuse) |
不要なものを断ること。 <例> 不要なチラシやサンプルを受け取らない 使用頻度の少ないものは購入せずにレンタルを利用する |
リニューアブル (Renewable) |
再生可能な素材を選ぶこと。 <例> 自然に分解されるバイオマスプラスチック製品を選ぶ プラスチック製品の代わりに、竹や紙などの環境に優しい素材を使用する |
リペア (Repair) |
修理して使い続けること。 <例> 壊れたものをすぐに捨てずに、修理して長く使う |
リメイク (Remake) |
別のものにつくり変えること。 <例> 古い服を分解してバッグをつくる |
これらの新しいRを意識して生活に取り入れることで、さらに効果的にゴミ問題の解決に取り組むことができます。
\取り入れるべきRは20個以上!?/
2025年ごみゼロの日に開催の注目イベント!

日本橋チーム発足!一緒にゴミ拾いボランティアに参加しませんか?
環境問題解決カンパニーと銘打って事業活動を行うのが、紙加工メーカーでWebメディア「カンキョーダイナリー」を運営する大昭和紙工産業。事業で紙を扱うことから、環境問題やサステナブルなコト・モノにもアンテナを張り、事業活動に取り組んでいます。
そんな大昭和紙工産業が2025年のごみゼロの日(5月30日)から運営を開始するのが「ゴミ拾いボランティア日本橋チーム」。ゴミ拾いボランティアのNPO法人「グリーンバード」のスポンサーとなり、同団体の新たな拠点として「日本橋チーム」を発足し、カンキョーダイナリーのスタッフがチームリーダーを務めます。
ゴミ拾いのトングや軍手、ゴミ袋など必要なものは運営スタッフが用意するので「街のゴミ拾いが初めて」という方も非常に参加しやすいイベント形式のボランティアとなっています。環境問題解決やサステナブルな取り組みに携わりたい個人の方や日本橋勤務の企業の方にぜひ参加してほしいボランティアです。
ゴミが関係する日は他にも
ごみゼロの日以外にも、環境保護やゴミ問題に関連する記念日があります。これらの日を知ることで、年間を通じて環境問題への意識を高めることができます。
順番に紹介します。
世界環境デー(6月5日)
国連が定めた、環境保護について考える国際デーです。世界各地で、環境保全の重要性を認識し、アクションを起こすきっかけとなるさまざまな行事が開催されます。
毎年テーマが設定されるのが特徴で、2025年は世界的なプラスチック汚染問題の解決に焦点が当てられています。
海の日(7月第3月曜日)
海の恩恵に感謝するとともに、海に囲まれた海洋国である日本の発展を願う日とされています。
近年は海洋プラスチック問題にも注目が集まり、この日を中心に海岸清掃活動なども盛んにおこなわれています。海洋ゴミ問題を考えるよい機会となっています。
3R推進月間(10月)
3R(リデュース・リユース・リサイクル)の取り組みを集中的に呼びかける月間です。環境省が中心となり、関係府省とともにさまざまな情報発信をおこなっています。
全国各地でも3R推進のためのイベントやキャンペーンが実施され、日常生活での3Rの実践を考え直す機会として活用できます。
まとめ
この記事では、ごみゼロの日が誕生した背景や、ごみゼロの日に関連した取り組み、ゴミ問題の現状などについて解説しました。ごみゼロの日は、環境保護とゴミ問題への意識を高めるために最適な機会です。
ゴミ拾いや3Rの取り組み、さらには新しいRの概念を日常生活に取り入れることで、持続可能な社会の実現に貢献できます。また、記念日だけでなく、日常的にゴミの削減を心がけることで、環境保護の促進や住みよい地域づくりにもつながるでしょう。
ゴミ問題は一朝一夕には解決できませんが、継続的な取り組みと意識の向上によって、よりよい環境をつくり出せる可能性があります。
ごみゼロの日を機に、自分にできる環境保護活動をはじめてみてはいかがでしょうか。
【参考】
海ごみゼロウィーク|全国一斉清掃!海洋ごみをなくそう|公益財団法人日本財団
埼玉県春のプラごみゼロウィーク|SAITAMAリバーサポーターズ
令和5年度事業 産業廃棄物排出・処理状況調査報告書 令和4年度速報値(概要版) 令和6年3月|環境省環境再生・資源循環局廃棄物規制課
RE.UNIQLO:あなたのユニクロ、つぎにいかそう。|UNIQLO
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