再生可能エネルギーの種類とメリット・デメリット
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再生可能エネルギーって何?

この前「非化石証書とグリーン電力証書」について教えてもらったけど、そもそも「再生可能エネルギー」ってどんなものを指すのかしら。日本では太陽光発電が一番多いことは知ってるんだけど、他にもたくさんあるのよね?

そうだね、太陽光発電以外にもたくさんあるよ。じゃあ今日は、再生可能エネルギーについて勉強していこうか!

初歩から分かりやすく解説をお願い!

OKだよ!再生可能エネルギーとは、自然の力を利用したエネルギーのことだよ!
日本で再生可能エネルギーは「エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用および化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律」(エネルギー供給構造高度化法/平成21年8月施行)という法律で定義されていて、「太陽光、風力その他非化石エネルギー源のうち、エネルギー源として永続的に利用することができると認められるものとして政令で定めるもの」とされているんだ。

非化石エネルギー源というのは、石油や天然ガス、石炭などの化石燃料ではないエネルギー源のことで合ってるかしら?

よく覚えていたね!再生可能エネルギーのメリットは、化石燃料と違って太陽光や風など自然に存在するものだから枯渇しないこと。あとは化石燃料を燃やさずに済むからCO2を排出しないことが挙げられるよ!

環境にやさしいだけでなく、枯渇しないのね!化石燃料がなくなったらどうしようって心配しなくて済むのは良いわね!

その通り!電力会社や国・各自治体の政策で積極的に推進されていて、日本では約21.9%(2022年度)の割合で再生可能エネルギーが採用されているんだ。割合は年々増えているんだよ。
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再生可能エネルギーにはどんな種類がある?

再生可能エネルギーにはどんな種類があるのかしら?

日本の再生可能エネルギーは「エネルギー供給構造高度化法」の施行令で定義されているよ。①太陽光、②風力、③水力、④バイオマス、⑤地熱、⑥太陽熱、⑦大気中の熱その他の自然界に存在する熱の7種類があるんだ。順番に見てみよう!
①太陽光発電

太陽光発電は、日本で一番取り入れられている再生可能エネルギーだよ!世界で見ても日本での太陽光発電導入量は多い方で、中国、アメリカに次いで世界第3位になっているんだ。

お家やビルの屋根とか、郊外の空き地などに設置された太陽光パネルをよく見かけるわね。太陽が出ていれば発電できるから、場所さえあればとっても手軽だもんね。

最近では薄型・軽量で、しかも曲げられる太陽光パネルも普及してきていて、建物の壁や窓にも設置されているんだ!発電効率もどんどん改善されていて、今後も研究・開発が期待される発電方法なんだよ!
②風力発電

風力発電は2000年以降導入件数が急激に増えてきているよ。風力エネルギーは発電コストが火力発電並みで、太陽光発電と比較して高効率で電気エネルギーに変換できるんだ。

海のそばの小高い山などで風力発電の風車をよく見るわね。太陽光とは違って、風があれば夜でも発電できるのが良いところよね。

そうだね!ママの言うように日本では陸上風力発電が多いんだけど、今は海の上に風車を設置する「洋上風力発電」の計画も進みつつあるよ。洋上風力発電の方が安定した風のエネルギーを利用できるんだ。日本各地で少しずつ導入されてきているよ。
③水力発電

日本は水資源に恵まれているから、水力発電は昔から盛んだよ。自然条件によらず一定量の電力を確保できるのが魅力なんだ。水力発電というと大きなダムを想像するけど、最近は「中小水力発電」といって、農業用水や上下水道、堤防などを利用した小規模な水力発電の建設が増えているんだ。

用水路や上下水道も利用できるの?!そういえば前に教えてもらった「ゼロカーボンパーク」でも砂防堰堤を利用した小水力発電施設を持っているところがあったわね。土砂災害を防ぎながら発電もできるなんて一石二鳥ね!

水力発電はエネルギーの変換効率が約80%もあって、化石燃料による火力発電よりも効率が良いんだよ。効率よく電気に変えられるエネルギーなんだ!
④バイオマス発電

バイオマス発電とは、動植物由来のバイオマス資源を燃やしたり、ガスにしたりして発電する方法だよ。バイオマス資源は光合成によってCO2を吸収しているから、燃やしてもCO2を排出しないものとされているんだ。

カーボンニュートラルの考え方ね!バイオマス発電に使われる燃料にはどんなものがあるのかしら?

建築廃材や間伐材などの木質燃料や、家畜の糞尿、生ごみ、食品廃棄物などの廃棄物が燃料として使えるんだ!CO2排出を抑えるだけではなく、資源が循環しているというところも環境にやさしいポイントだよ!
⑤地熱発電

日本は火山がたくさんあるから、地熱発電は昔から注目されていたんだ。蒸気でタービンを回して発電する仕組みで、地下にある高温の蒸気や熱水を井戸からくみ上げて使っているんだ。風力発電と一緒で、夜も連続して発電できるのがポイントだよ!

温泉を組み上げるのに似ているわね!やっぱり温泉地に多いのかしら?

そうだね!「ゼロカーボンパーク」にも温泉熱を使った発電を行っているところがあるし、温泉地と場所が重なっているケースが多いんだ。発電に使った高温の蒸気や熱水は農業用ハウスや魚の養殖、地域の暖房に再利用ができるのも魅力だよ!
⑥太陽熱利用

実は太陽熱も、非化石エネルギー、かつ永続的に利用できるエネルギーとして政令で認められているよ。太陽の熱エネルギーを太陽集熱器に集めて熱媒体を温めて、給湯や冷暖房に活用するシステムだよ。日本でも会社の冷暖房として取り入れられていたり、温水プールの水を温めたり、床暖房に使われたりするケースがあるんだ。

太陽光って発電するだけじゃなくて、熱自体も利用できるのね!考えたこともなかったけど、色々と利用できるものなのね。
⑦大気中や自然界に存在する熱エネルギーの利用

大気や自然界に存在する熱も再生可能エネルギーとして政令で認められているよ。冬の間に降った雪や氷を保管して、冷熱が必要な時に利用される「雪氷熱利用」や、地下水などの水源の熱を冷暖房として使う「温度差熱利用」、浅い地盤にある熱エネルギーの外気温との差を利用して冷暖房に活用する「地中熱利用」など、色々な熱エネルギーが利用されるんだ。

結構身近なものもエネルギー源として利用できるのね!実際に日本で導入されている事例はあるの?

保育園や病院の空調や床暖房に地中熱利用がされていたり、工場で井戸水を使って温度差エネルギー利用がされていたりと、色々な事例があるよ。
僕が面白いと思ったのは、空港での雪氷熱利用の事例!空港に積もった雪を貯蔵しておいて、夏場の冷房のエネルギー源として使っているんだって。空港で使う除雪剤が河川へ流れ込んでしまうことも防げて、水質保全にもつながっているのがすごいよね!

なるほど。CO2排出削減だけではなくて、他にも様々なメリットがあるのも魅力なのね。熱利用も地域によって個性があって面白いわね!
\電気の利用って環境に悪いの?/
再生可能エネルギーの課題は?

再生可能エネルギーの良いところを見てきたけど、もちろん課題もあるわよね?

そうだね。大きな課題としては、安定した発電量の確保が難しいことがあげられるよ。特に太陽光発電や風力発電は天候に大きく左右されてしまうよね。

自然由来のエネルギーならではの問題よね。こればっかりは仕方がないわね。

2つめはエネルギーの変換効率が低いこと。化石燃料を使った火力発電と比べると、水力発電を除く再生可能エネルギーの発電効率は低いんだ。太陽光発電が約20%、風力発電が30〜40%で火力発電と同程度、地熱発電・バイオマス発電は約20%程度とされているよ。ただ、研究開発は続けられていて、変換効率アップが今後期待されているんだ。

自然界にあるエネルギーでも、それを使える形にしなければならないものね。研究が進むことを期待したいわね!

3つめは設置場所が限られること。地形や気象条件によって設置に向く土地がなかなか見つからない場合があるんだ。さらに日本は地震や豪雨などの災害も多いし、生態系への影響も考慮する必要があるから、どうしても設置場所は限られてしまうんだ。

地域の特徴を上手に活用して、その土地にあった再生可能エネルギーの利用を考えていく必要があるわね。

4つめはコストが高いこと。さっき挙げた地形や気象条件の問題もあって、大規模な施設の建設・運用をしようとするとどうしてもコストが高くなってしまうんだ。他にも、発電・送電や配電設備など電力系統の空きがないといった制約があるから、それを解消しようとするとやはりコストが上がってしまうんだ。

コストが高いと手は出しにくいわよね…。日本では再エネ化が推奨されていると思うけど、目標は何かあるのかしら?

日本では2030年までに、再エネの電源構成比を36〜38%にすることが目標となっているよ。政府は様々な補助金や促進制度で導入を支援しているんだ。再生可能エネルギーは環境に良いのはもちろん、日本でほとんどの燃料を輸入に頼っている現状や、災害時のエネルギー問題の解消にもつながってくるんだ。

課題はあるけど、環境に優しい以外にも色々とメリットがあるし、どんどん再エネ利用が進むと良いわね。再生可能エネルギーについて初歩から勉強することが出来て良かったわ。教えてくれてありがとう!
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キーワードのまとめ
- 「再生可能エネルギー」とは、自然の力を利用したエネルギーのこと。化石燃料とは異なり枯渇しないこと、CO2を排出せず環境にやさしいことがメリット。
- 日本で定義されている再生可能エネルギーは①太陽光、②風力、③水力、④バイオマス、⑤地熱、⑥太陽熱、⑦大気中の熱その他の自然界に存在する熱の7種類。
- 安定して発電することが難しい、エネルギー変換効率が低い、設置場所が限られる、コストがかかるなどの課題がある。
\環境問題に関する「英略語」を調べよう/
(参考)
e-GOV 法令検索 | エネルギー供給事業者による非化石エネルギー源の利用及び化石エネルギー原料の有効な利用の促進に関する法律
資源エネルギー庁 | なっとく!再生可能エネルギー
資源エネルギー庁 |日本のエネルギー 2024年度版 「エネルギーの今を知る10の質問」
経済産業省 | 次世代型太陽電池戦略(2024年11月)
国土交通省 | 洋上風力発電の導入促進に向けた最近の動向(2023年10月)
環境省 | 再生可能エネルギー熱利用の概要・導入事例(2022年3月)
東京電力 | 太陽光発電の「変換効率」とは?計算方法や発電量を増やす方法を解説(2023年3月)
資源エネルギー庁 | 日本の多様な再エネ拡大策で、世界の「3倍」目標にも貢献(2024年3月)