生物ポンプ(Biological pump)
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二酸化炭素を吸収する海の仕組みって?
前にエコすけが教えてくれた、「実は陸上の生物より、海洋の生物の方が二酸化炭素をたくさん吸収してる」っていう話、びっくりしたわ。
大気中の二酸化炭素が増え続けていることが問題になっているけど、海藻や湿地帯などの海洋に生息する植物によって吸収された二酸化炭素「ブルーカーボン」が今注目を集めてるっていう話だね?
実は、ブルーカーボン生態系と呼ばれる海の浅いところで暮らす動植物だけじゃなくて、海中の他の生物も二酸化炭素を吸収し、蓄えてくれているんだよ。
そんな生物たちが「生物ポンプ(Biological pump)」という仕組みを作っているんだ!
生物ポンプ?はじめて聞いた。二酸化炭素を吸収・貯蔵する海洋生物って、どんなものがあるのかしら。
海の中で運ばれた二酸化炭素は、最終的に生物のフンや死骸に含まれて、暗くて冷たい海底深くへ沈んでいくんだ。
漆黒の深海では、そうした有機物はほとんど分解されないため半永久的に貯蔵されることになるよ。
\数百年以上CO2を固定!?/
生物ポンプの危機
生物ポンプの仕組みがあれば、大気中の二酸化炭素が少しくらい増えても問題なさそう!
ところが、そんな簡単には行かないんだ。実はその生物ポンプが危機に晒されているんだよ。
大気中の二酸化炭素は海洋生物に吸収されるだけでなく、海水にも溶け込んでいるんだけど、二酸化炭素を吸収することによって海水は酸性化するんだ。
この「海洋酸性化」が問題になっていて、ある研究で、大気中の二酸化炭素の増加に伴って海水に溶ける二酸化炭素の量が増えると、生物ポンプの役割を担う海洋生物に異変が起こることが明らかになっているよ。
生物ポンプを健全な状態で保つためにも、大気中の二酸化炭素を減らし、海洋酸性化を防ぐ取り組みを続ける必要があるということなんだ。
生物ポンプを健全な状態で保つためにも、大気中の二酸化炭素を減らし、海洋酸性化を防ぐ取り組みを続ける必要があるってことね。
アマモなどの生物ポンプとしての役割が期待される海洋植物を守ることにも注目してほしいんだ。
ママはゴミの焼却時に排出される二酸化炭素を減らすために、生ゴミの水気を切ってるよね?
他にも、プラスチックフリーの容器や海洋生物に配慮した成分を使った、海の環境を守れる商品を選ぶことも心がけているみたいだけど、全部とっても大切なことだね!
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キーワードのまとめ
- 海中の生物が二酸化炭素を吸収し、蓄えてくれている仕組みが「生物ポンプ」
- 二酸化炭素を過剰に吸収した海水は酸性化し、海洋生物に異変が
- 生物ポンプとしての役割が期待される海洋植物を守ることに注目!
(参考1)東京海洋大学プレスリリース「南極海の⼆酸化炭素吸収︓微細藻類の量だけでなく種類が鍵となる-優占群集の違いが夏期の炭素収⽀を左右していた-」
(参考2)刑部真弘(2017)「ブルーカーボンとリソース」日本マリンエンジニアリング学会誌 第52巻 第6号
(参考3)NHKスペシャル「海の異変 しのびよる酸性化の脅威」
(参考4)気象庁「海洋酸性化」
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